【レポート】<MAJOR FORCE BE WITH YOU - 30TH ANNIVERSARY ->「早く帰りたいよね?」

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9月30日(日)、東京・ラフォーレミュージアム原宿で<MAJOR FORCE BE WITH YOU - 30TH ANNIVERSARY ->が開催された。当イベントは都市型音楽フェス<RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018>のプログラムのひとつ。MAJOR FORCEは1988年に日本初のクラブミュージックレーベルとして設立され、日本のクラブシーンのみならずアパレル界にも多大な影響を与えた、言うまでもないレジェンド的存在だ。

■「台風で帰りが大変だもんね、みんな。
■早く帰りたいよね?」

余談だが。自分が趣味でDJを始めたとき、MAJOR FORCEの洗礼を受けている年上の知人に「DJやるならファッションもなんとかしなきゃねえ。クラブカルチャーとファッションは繋がってるから」と言われ、ファッションセンスを持ちあわせていない自分は“ぐぬぬぬ”と唇を噛み締めた。海外の大物DJなんて、ヨレヨレのTシャツ一枚なのに……日本のクラブシーンにおいて音楽とファッションを繋げたのは、紛れもなくMAJOR FORCEだと思う。

ライブ開始の1時間半前には既に、会場の入口階段には長蛇の列ができていた。イベント時には珍しくない光景だが、この日に限っては、一般客の目には異様な光景に映っただろう。というのも、当日は大型台風が関東を直撃。公共交通機関も早々と運転見合せを発表し、街じゅうに「店じまいムード」が漂っていたのだ。「日曜の夜、台風が来て、20時以降は電車がほぼ無い」という状況下で、好きなアーティストのために原宿に集まるというのは、やはり“変態”にしかできないことだ。

会場のラフォーレミュージアム原宿に繋がる階段の先には、10代〜20代がメインターゲットの可愛いブランド・オリーブ デ オリーブや、ナチュラル要素の強い普通女子の味方・ローリーズファームなどが並んでいる。キュートなファッションに身を包んだ戦闘体制の店員や客がうろうろする一方、洒落たキャップをかぶるイカついストリート系のメンズや、大ぶりなアクセサリーを身につけたデザイナー風の女性が行列に並んでおり、あまりのギャップにその空間にはたくさんの「?」が浮かんでいた。


会場外にはMAJOR FORCEの懐かしい写真が飾られ、ファン達はまるで子供時代の自分の写真を見るかのような眼差しで、笑顔を浮かべて懐かしむ。ライブ開始まで、前方スクリーンではMAJOR FORCEの約12分間の貴重なドキュメンタリーが流された。その映像はRed BullのHPで既に公開されており、ファンなら既に見ていたはずだ。それにも関わらず、何度も流されるその映像を皆、食い入るように見つめていたのが印象的だ。



会場には、数十年来のファンと思しき人が多かったが、親世代となった彼らが連れてきた幼い子供も見受けられた。こうして、子供は音楽の洗礼を受けてクラブ通いをするようになるのだろう、わたしもそんな英才教育が受けたかったものである。



開演の15分前、暗転。高木完が登場し、冒頭の進行役をライター・DJで立教大学非常勤講師等としても活躍する荏開津広が務め、MAJOR FORCEの歴史を振り返る。オーディエンスからは、高木が紡ぎ出す言葉に聞き入り、彼の姿を目に焼き付けようという気持ちが感じられた。

「早く始めちゃおうか。だって、台風で帰りが大変だもんね、みんな。早く帰りたいよね?」

高木の言葉に、笑いが起こる。クラブミュージック界隈というのは、クールに気取ってナンボの世界だと思っていたのだが、高木は明らかに肩の力が抜けていて、「まあ何でもいいじゃん」という余裕を感じさせた。場数を踏んだからこそ、その境地に立てるのだ。

■「トシがいたずらでもしてんのかな。
■台風も来てるし。タイクーン・トッシュだけに」



1曲目、高木の独断場の「COPY88」が始まった。暑くなったのか、高木がひょいと上着を脱ぐと、ファンから小さな歓声が起こった。わたしも上着を脱いだだけでキャーと言われてみたい。はじめは静かにステージ上を見つめていたオーディエンスだったが、次第に身体が揺れていく。

2曲目「ACTION」でリズム隊にMELONを迎え、場がよりホットになった。演奏が終わって高木がトークを始めると、先ほどまで普通に使えていたマイクが、エフェクターをかけたような音になった。
「トシがいたずらでもしてんのかな。台風も来てるし。タイクーン・トッシュだけに」

高木が言うと、ファンから笑いが起こった。トシとは、元MAJOR FORCEのメンバーで、昨年その生涯を遂げた故・中西俊夫のことだ。彼はTYCOON TO$H(タイクーン・トッシュ)名義で活動していた。タイクーンとは英語で「実力者」や「大物」を意味するが、その響きはタイフーンとよく似ており、この晩に直撃した台風は本当に中西のいたずらだったのではないかと、つい繋がりを感じたくなってしまう。いや、中西のせいにすることで、台風が愛おしくも感じられるのだ。


新メンバー二人による、キュートでセクシーなORCHIDSをゲストに迎え、「LOVE FORMULA(BRIXTON BASS MIX)」が奏でられる。先程までのエッヂの効いた男性的な雰囲気とは異なり、二人の甘い歌声と、ピンクを基調としたカラフルなライトも相まって、キュートな空間に様変わりした。

「I WILL CALL U」は、前曲のポップさとは対照的な、しっとりして艶やかな曲調。ORCHIDSのハイトーンボイスやベース音、青色や緑色の自然的な照明。森の奥深くに連れて行かれたようなぼうっとした空気に、空間が満たされていく。縦揺れだったオーディエンスはゆったりした横揺れになり、妖艶なメロディを身体いっぱいに受けていた。

ライブ中盤、Group of Godsが登場。「KOKOKU」ではオレンジ色の光にステージが照らされ、うっとりする曲調で、静かな海のサンセットのような雰囲気に。自然と目に涙がにじむ、癒しのメロディだ。観客の横揺れも、波のようにゆったりと大きくなる。

「MOON HOTEL」で雰囲気が変わり、印象的な電子音が流れる。今度は照明が少し暗くなり、真夜中の海辺のような空気が漂う。スマートフォンの小さな光さえ申し訳なくなるような、壊してはいけないインストルメンタルでドープな空間が完成した。


お次は、ついに藤原ヒロシが登場し、「It's a new day」を披露。ロービートに藤原の高くメロウな声。思わず目を瞑り、心臓に響くベース音と彼の声に集中する。終盤のゲストは、EGO-WRAPPIN'だ。ボーカルの中納良恵が、「TOUCH ME」をオーラのある重厚な美声で、一言一言噛みしめるように歌う。ピンクと青のライトに照らされ、フェミニンなムードが醸し出される。「TRIBE OF LOVE」冒頭、中納はハイトーンのアカペラパートを見事に歌い上げ、オーディエンスから歓声が上がった。中納が完璧なグルーヴを作り上げ、観客は「踊っている」から「踊らされている」という空気感になった。アクト中であることを忘れたかのように、高木まで楽しげに身体を揺らしていた。

終演時間になり、照明が明るくなる。「嵐だから早くお帰りください。続きを観たい方はどうぞここで」と高木が呼びかけるが、多くの人がその場を離れようとしなかった。再び暗転した空間の中で、アンコールを期待する手拍子が止む気配はない。


オーディエンスの期待に応えたアンコールでは、故・中西俊夫の娘の花梨がボーカルとして参加。エネルギッシュなパフォーマンスで「TOP SECRET MAN」などを歌い上げた。最後は、高木が締めに叩こうとしたドラを倒してしまう。こうして驚きと歓声と強烈なインパクトのなか、ライブは幕を閉じた。「ドラを倒す」という出来事さえパフォーマンスかと疑ってしまうほど、高木、そしてMAJOR FORCEはやはり何か「持っている」。終始暖かい空気で余裕を感じさせる進行のなかに、どこかアナーキーでパンクな精神が垣間見えた、記念すべき30周年ライブ。それは日本のクラブシーンの先駆者となり、今もなお多くの人々の心を鷲掴みにし続けるMAJOR FORCEからの「つまらなく、まとまるな」といったメッセージの表れなのかも知れない。

取材・文:MORISAMA
撮影: So Hasegawa / Red Bull Music Festival Tokyo 2018


<Major Force be with you -30th anniversary->

日時:2018年9月30日(日)開場16:30/トークショー17:00/開演18:00
場所:東京・ラフォーレミュージアム原宿(原宿)
出演:Major Force(K.U.D.O+高木完+屋敷豪太)、藤原ヒロシ、SDP、森俊二、クニ杉本、田村玄一、momo、大西ツル、TOMOHIKO HEAVYLOOPER、EGO-WRAPPIN’、立花ハジメ、島武実、ORCHIDS
料金:前売 1,000 円
※未就学児は入場不可。小学生以下の方は保護者同伴のみご入場いただけます。
※小学生以下のお子様は耳を守るために必ず耳栓かイヤーマフを着用ください。
詳細/チケット購入:https://www.redbull.com/jp-ja/music/events/major-force

<RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018>

日程:2018年9月22日(土)〜10月12日(金)
会場:都内各所(渋谷・新宿・上野など)
オフィシャルサイト: www.redbullmusic.com/tokyo #REDBULLMUSIC
※会場内での出演者及びライブの撮影・録音・録画等は禁止となります。
※客席を含む、会場内のオフィシャル映像及び写真は公開される場合がございます。
※実施内容は予告なく変更となる場合がございます。
※前売券は各イベントのウェブサイトからご購入いただけます。
※前売券が規定枚数に達した場合、当日券の販売はございません。

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