【インタビュー】カイワレハンマー、2枚をそれぞれのコンセプトから作り上げたインディーズ最後のアルバム『Sequel』

■自分のやりたかった音楽が出来たっていうのが一番
■ビートによって声を使い分けて自分の声をつかめた感じも

――今回のアルバムの中でも、ディスク2の「硫酸の溜まった落とし穴」は唯一攻撃的な曲ですよね。

BEMA：トラックがトラップのビートだったので、タイトルも某カードゲームのトラップカードにあるものにしました。トラップって耳に残るワードをどれだけ詰められるかみたいな感じだと思ったんで、今まで持っていた歌詞を書く概念を捨てて、ホント頭を空っぽにして書いた。内容的には同業者を皮肉ったようなものですけど、ただのノリですね。

imiga：それについては、僕は頭を空っぽにすることが出来なくて、いつも通りラップしている感じになっちゃったんですけど、逆にそれが自分のスタイルなんだなっていうのを感じました。

――お互い曲作りの上で意見を交わしたようなことはありますか？

BEMA：リードの「grow up cycle」は、最近相方のラップの乗り方にちょっと口出すようにはなったかな。「もうちょっと違う乗り方のほうがカッコよくない？」みたいのとか。「grow up cycle」もそう。

――その「grow up cycle」には、一部卒業式の「門出の言葉」を思わせる作りもありますね。

BEMA：卒業式の「門出の言葉」みたいにしたのはこのタイミング的に入れたいなと思ったのと、単純にあんまりラップをしたくなかったっていう（笑）。サビがとてつもなくキーが高いんで、これ歌ってラップしたらマジ喉終わるかもしんないと思って。そしたら「門出の言葉」ってアイディアが出てきたんで、それやろうって。



――改めてアルバムとして出来上がってどんな思いですか？

BEMA：自分のやりたかった音楽が出来たっていうのが一番いいなあと思ったし、ストレスなく出来たなって。今までは6曲か7曲だったんで、アルバム全体を通して聴きごたえもありますし。アルバムごとに結構自分のスタイルは変わっているんですけど、今回はビートによって声を使い分けて、やっと自分の声をつかめた感じもしましたね。

imiga：自分のやりたいことが出来たというのと、マホトが担当したヒップホップの方も僕がやりたかったような曲があったんで、全体的に満足しています。あと、ディスク2の最後「ラストソング」の僕のパートの最後の方で「好きでいてくれるならまた明日も会うし」ってフレーズがあるんですけど、それをディスク1の1曲目「六回目ノ襲撃」のド頭にリンクさせているんですよ。

BEMA：CDずーっとループしてもつながるように。小ネタですね。シャッフルさえしなければ（笑）。

――了解です（笑）。本作をもって今後はメジャーに活動の場を移すわけですが、今どんな気持ちですか？

BEMA：数年前からいろんなレコード会社さんからお話はいただいてたんですけど、インディーズで楽しくやってる方がいいかなあみたいな感じで。でも、自分たちの限界みたいのが見えてきて、タイアップとか。そういうとこでメジャーって必要なんだと思って、今回その道を選びました。インディ―でいろいろやりましたし、いろいろなことが起きましたけど、ホントにあっという間だったなっていうのが素直な感想ですね。

imiga：インディーズで好き勝手出来てたんですけど、メジャーに行ってそれがどうなるかがまだわかんなくて。プロデューサーとぶつかったりもするだろうし、不安もあるんすけど、何かの主題歌を出来たりする楽しみ、ワクワク感もあります。インディーズでファースト・アルバム作った時と同じ心境で、何事も挑戦なんで、その勢いでどんな壁も乗り越えれたらと思います。だからこの2枚組のアルバムがその答え。この先はこれで行くぞみたいな感じですし、曲にも書いた通り、メジャーに行っても変わらずリードし続けるっていう気持ちは変わりません。

――今後に向けた意気込みなどがあれば。

BEMA：メジャー行ってこんな歌詞書いちゃうの？っていうのをやってみたいですね、逆に。メジャーに行ってさらにふざけるみたいな。メジャーでは大人に縛られるっていうイメージも変えたいし、ミュージシャンになりたいとかラッパーになりたいという人の道しるべじゃないすけど、メジャー行ってもこう言うこと出来るんだって、聴いた人の視野も広がればいいと思いますね。あと、昔っからアニメとかのオープニングやエンディングがやってみたくて。それを観て大人になった人達の中で、ウチらの楽曲で「あ、これ俺も知ってる！」とか、そういうやりとりが生まれてくれたらうれしいです。

――ひとまず、本作のリリース後には東名阪のZEPPツアーもあるとのことですが、ライヴに向けても一言ください。

BEMA：今回は生バンドを引き連れて東名阪で出来るんで、来てくれた人もバイブス上がると思いますし、今までと違うエンタテインメントに特化したライヴが出来ればいいなと思ってます。

imiga：ライヴのパフォーマンスに関してマホトに任せっきりだったけど、今回は自分でもうまく演出出来たらなと思います。

取材・文●一ノ木裕之


◆インタビュー（１）へ戻る