【インタビュー】DJ KAWASAKI「ジャンルを超えたDJになる。その答えのひとつがKAWASAKI RECORDSにあります」

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■全部のリスナーを満足させられる貴重な存在
■僕もそうありたいなと思います

──最初に相談したときの沖野(修也)さんの反応は?

DJ KAWASAKI 喜んでくれました。そうやろ? 自分でやるしかないやろ、と。

──大変だから辞めておけ、ではなかった。

DJ KAWASAKI 大変だから覚悟してやりなよ、と。やるからには自分で何もかもやらなくてはいけないし、セルフプロデュースもしなきゃいけない、具体的な予算や売上のこと、そういうことも考えなくてはいけない。現実的なことも考慮した上で、やる。その覚悟が今の段階には必要だということで、理解していただきました。

──第一弾としてメイリー・トッドをフィーチャーした「DON'T PUT MY HEART DOWN」を11月3日にリリースしますが、先々の予定はありますか?

DJ KAWASAKI 実はもう次のレコーディングも始まってるんです。この後、何枚かは自分の作品が中心。A面はオリジナル、B面は今自分がコラボしたいアーティストにリミックス/エディットをお願いしています。第一弾はDR PACKERでしたが、それこそディミトリにお願いするかもしれないし、ダニー・クリヴィットやサダ・バハーにももちろんオファーしたいですね。

──5年後、10年後にはどんなレーベルになってますか?

DJ KAWASAKI 理想はジョーイ・ネグロのZ RECORDSのように、自分の曲を出しつつ、ディスコのコンピを出したり、旬なアーティストのリミックスやエディットをオファーしたり、さらにはコラボしたアーティストを招いてビッグパーティをしたり……かつ、ここが大事ですが、それでお客さんが集まる(笑)、そういうレーベルにしたいと思っています。

──KAWASAKIさんが考えるレーベル運営に必要な条件とは?

DJ KAWASAKI それを長年考えてきました。まず一番は、自分が本当にやりたいことをすること。自分に嘘をつかない、より自分がやりたいことを正直にやる、そうすることで自分が本気で楽しめているかどうか……心構えの話になりますが、そうすることによって、周りに伝わると思う。ThE ROOMみたいな小箱で30人くらいの反応が重要なんです。身内ノリということではなく。身近なファンの人たちに僕がやりたいことが伝わるかは、自分が正直にいることが大切だと思っています。あとは続けられるかどうか…………それはまだスタートしたばかりなので分からないですね(笑)。

──レーベル運営は、今やSNSを駆使して配信して、パーティもできる。それ以外に何が必要なんでしょうか?

DJ KAWASAKI 一番分かりやすいのは、所属しているアーティストのひとりがヒット曲を出す、そういうことだとは思います。

──外国の著名なDJが自分の曲をかけてくれたとか……。

DJ KAWASAKI それもひとつですね。要は注目されるにはどうすればいいのか。なぜ僕が先ほどから正直、正直と言っているかというと、邪な気持ちでコマーシャルなことをやろうと考えているときって絶対うまくいかない。先日後輩のDJに、「僕の友達みんなが、最近KAWASAKIさんのDJがかっこいいと言っている」と言われて。「マジで! 嬉しいな、ありがとう」って返したんですけど。「KAWASAKIさん、自分の曲をかけなくなってからいいよね」と、みんなが言っていると……(笑)。それって自分の曲をガンガンかけているときって、少し宣伝しようという気持ちが入っていて、DJプレイの中でも強引にそこへ持っていこうとするし、決まったタイミングで自分の曲がかかったりするのは予定調和になってたりするじゃないですか? そういうのがなくなって自由にやり始めてからすごくいいと言われて、後輩にそんな風に分析されるなんて……一般のリスナーもそうジャッジされてるんだろうなと思ったんです。それは、自分に正直にいること=かっこいい、ということにつながるエピソードでした。

──自分の曲をたくさんかけてたときは、先ほどの言葉でいうと“邪な”気持ちでした?

DJ KAWASAKI 邪なというのは当てはまらない言葉かもしれませんが……パーティにもよるし、サービスタイムでたまにはいいと思うんです。自分のファンに向けて自分の曲をかける時間があっても。僕の場合は「Into You」と「One」がすごくヒットしたので、どこにいってもそれをリクエストされるわけです。でも僕の中では「もういいんじゃないか」という気持ちにもなっている。そう思いつつ、それらのヒット曲は永遠にかけ続けなくてはいけないし、かけ続けるべきです。結果、それを超えるヒット曲を作らないと、今の状況は変わらないとも思います。

──その思いがレーベルにつながる面もある?

DJ KAWASAKI そうですね。自分がDJとして大好きな、MUROさん、RYUHEIさんのリスナーの人たちは僕のリスナーとは、もともと違った層でした。それがレーベルやプロデュースの仕事によって、今リンクしかけているし、僕はそこをリンクさせたい。現状、彼らのファンは僕の楽曲を聴く前から、「DJ KAWASAKIってハウスの人でしょ?」と聴くまでもいかない。一方でハウスの人が僕の音楽を聴いてくれるかというと、「DJ KAWASAKIってハウスって言われてるけど、生音の人でしょ?」と、聴いてくれない。ものすごい中途半端な位置になってしまった(笑)。

そこにすごく悩んだ時期があったんですよ。結局DJ KAWASAKIというジャンルでいればいいという答えは出たわけでが、そうするためにはジャンルを超えなくてはいけないし、超える必要がある。音楽家として食べていくには全て好き勝手にやればいいわけではないし、その第三者目線で自分を見つめたときに、生音やレコード好きなリスナーに届けたいという思いと、今までの自分を支えてくれたファンの皆さんにも、「この曲、KAWASAKIらしいよね」というものを、キチンと作れるようなスタンスを目指すには、自分のレーベルしかないという答えにつながったわけなんです。例えばディミトリ・フロム・パリは両方のファンから支えられている。ハウスが好きな人からも、MUROさんRYUHEIさんが好きな人からも。そこに何かひとつ答えがあるような気がしています。

──ディミトリは何をかけても彼らしい感じはします。

DJ KAWASAKI キチンと生音のエディットものやディスコのイメージもあるし、生音好きは彼のチェックしているし、レコード好きも彼の作品を買う……彼のアルバムはいい意味でアンダーグラウンドだし、いい意味でメジャー感もある。全部の層を満足させられる貴重な存在。僕もそうありたいなと思います。

──メジャーすぎないし、アンダーグラウンドすぎない。そういう意味だとKAWASAKIさんはアンダーグラウンド側でしょうか?

DJ KAWASAKI どっちなんだろう(笑)? 例えばDJとしても一番僕がかっこいいと思うのは、ジャンルを超えるDJ。自分のセットの中で縦横無尽にさまざまなジャンルの曲をかけつつ、ひとつ自分のスタイルにしている。ワンジャンルだけで1時間って僕はどうしてもできないし、そこに魅力を感じない。それは最初に沖野さんのDJを見たからというせいもあります。ジャズの人がかけるジャズ、ディスコ、フュージョン、アシッドジャズ……ジャズというテーマの中で縦横無尽にミックスしていて、こういうスタイルってひとつのジャンルで表せられないなと。ジャンルを超えて支持されるのが理想です。

──めちゃくちゃテクノ好きだけど、DJ KAWASAKIっていいよね、と言われたい。

DJ KAWASAKI 最高に理想的な形です。昔、ローランド・アペルの曲をリミックスしたら、DJヘルがプレイしてくれたんですが、そういうことだと思う。DJ KAWASAKIのことは知らないけど、これいいじゃん、と。クリエイター冥利に尽きるし、素直にうれしい。今回、レーベルをやるにあたり、相当の葛藤がありましたし、覚悟もあります。その答えがKAWASAKI RECORDSだと思っていただきたい。

──その葛藤は、KAWASAKIさんのファンにはまだ伝わってないと思いますが。

DJ KAWASAKI フルアルバム『パラダイス』から10年が経ちました。その10年前から今まで、たくさんの作品を世に出してきた。歴史は10年で回るといいますが、今僕がレコードを買い始めたころくらいのレコード・ムーブメントが来ている。レコードで自分の曲を出したいし、レコードでプレイしていきたい……だから自分のレーベルなんです。自分の流れからも、自分のレーベルをやるのは今しかない。

よりフロアユースなシングルと好きなクリエイターとのカップリング、現場の即戦力となるアナログは自分のレーベルで出したい。レーベル運営をしている友達も少なからずいますし、勉強もしましたから、大変なのは理解しています。でもやり始めないと何も始まらない。ただやるって宣言をしたことで、喜んでくれる人もたくさんいます。嬉しかったし、自分の音楽を待ってくれてる人がいる。不安でしたが音楽を続ける上での気持ちの支えになりました。

取材・文:BARKS編集部


「Don't Put My Heart Down feat MAYLEE TODDc/w Don't Put My Heart Down feat MAYLEE TODD(DR PACKER DISCO REMIX)」

2018年11月3日(土)リリース
KAWASAKI RECORDS / Lawson Entertainment
HR7S111 ¥1,300+税



<RELEASE PARTY>

■11月3日(土)
<Kyoto Jazz Massive presents Especial Records Session -レコードの日スペシャル- Kyoto Jazz Sextet 12" & DJ KAWASAKI 7" Release Party>渋谷 THE ROOM
GUEST DJ:SHUYA OKINO (Kyoto Jazz Massive/Kyoto Jazz Sextet) DJ KAWASAKI (Kawasaki Records)
DJ:YOSHIHIRO OKINO (Kyoto Jazz Massive/Especial Records)
POP UP SHOP:HMV record shop
www.theroom.jp/schedule/2018/11/kyoto_jazz_massive_presents_especial_records_session--kyoto_jazz_sextet_12_dj_kawasaki_7_release_par.php

■11月17日(土)
<Freedom Time Presents Kyoto Jazz Sextet 12"&DJ KAWASAKI 7"& NAYUTAH 7" Release Party>
@大阪/CONTORT
GUEST DJ:SHUYA OKINO(KYOTO JAZZ MASSIVE/KYOTO JAZZ SEXTET)/DJ KAWASAKI
Featuring vocal:NAYUTAH
DJ:Yoshihiro Okino(KYOTO JAZZ MASSIVE)
and more..
www.facebook.com/events/169611033947675/iflyer.tv/ja/contort/

◆DJ KAWASAKI オフィシャルサイト(EXTRA FREEDOM)
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