【インタビュー】焚吐、「量産型ティーン」完成「21歳の今の言葉を綴っていきたい」

twitterツイート

■バンドに誘われたこともあったんですが
■結果的にずっと一人で歌ってきました

──そうして生み出した言葉とメロディを聴き手に伝えるために、アレンジはどのように考えていったのですか?

焚吐:今年の頭に「神風エクスプレス」という曲で初めてコラボレーション(焚吐 × みやかわくん名義)をしたんですが、その時にアレンジをしてくれた同い年の薮崎太郎くんにアレンジをお願いしました。「量産型ティーン」は、新しい焚吐を表現する曲でもあるけど、薮崎くんから見た“焚吐像”に興味があったんです。それに彼なら、新しい音を入れてくれるんじゃないかという期待もあって。だから、「神風エクスプレス」の時は、僕がパソコンで簡単にバンドアレンジしたものを渡したんですけど、今回は、何の先入観もなく薮崎くんの“焚吐像”を描いて欲しかったので、あえてシンプルな弾き語りのデモを送ったんです。

──その結果、バンド感の強いアレンジになったわけですね。

焚吐:でも最初に返ってきたアレンジは、割りとゴリゴリのEDMっぽいものだったんです。バンドっぽくもありつつ、Bメロにダブステップ的な要素が散りばめられていたり、サビがドラムンベースっぽい細かいビートで。薮崎くんはどの楽器も弾けちゃう人だから、バンド感というよりは、曲の展開で面白く聴かせるというアレンジでした。新しい焚吐像として、それも面白かったんですけど、前作からの文脈が希薄に感じて。『呪いが解けた日』は、アコギが入っていたりと生音志向だったので、展開の面白味は活かしつつ、新曲はもっとバンドに寄せようということで、最終的にこういうアレンジに落ち着きました。

──薮崎さんとのコラボレーションしたことで、新たな発見などはありましたか?

焚吐:「量産型ティーン」は疾走感のある曲をイメージしていたんですけど、それをバンドアレンジでやると、単調になってしまうんじゃないかという危惧もあって。それで薮崎くんには、「ちょっと不穏な感じにして欲しい」と伝えたんです。治安の悪い感じというか、平和な曲ではないので、劇薬みたいなものを混ぜて、かつポップにして欲しいと。そんな無茶なお願いをしたら、見事に応えてくれました。

──間奏も、普通のロックバンドなら、ピアノソロから勢いを増してギターソロに突入するところを、そこで一旦ハーフビートになるあたりは、すごく不穏で、グッと掴まれるような感覚になりました。

焚吐:あそこはシビれますよね。あまりにも不穏ですし、ちょっと変拍子も入ることで不安定さも出ていて。これは自分にはない感性だなと思いました。しかも、イントロで使ったシンセの強力なリフを、間奏ではギターでユニゾンするあたり、とても薮崎くんらしいアレンジだなと思っています。

──焚吐さんもギターをプレイしますが、そもそもギターはいつ始めたのですか?

焚吐:9歳の時です。僕は2月20日生まれなんですが、誕生日が長嶋茂雄さんと同じという理由で、小学4年生の時に少年野球に入れられて。でも、僕は身体を動かすことが本当に苦手で、しかもまったく上達しなくて、この苦しみから逃れるために考えたのが、ギターだったんです。習い事を増やして、土日にレッスンを入れれば少年野球に行かなくていいし、ギターって指をケガできないから、そういう意味でも野球から逃れるには一番いいなと思って。

──野球を辞めたくてギターを始めたと(笑)。でも、ピアノではなく、どうしてギターを?

焚吐:当時は、音楽にたいした興味はなくて、ただ単に野球を辞められたら何でもよくて(笑)。ただ、ピアノはクラシックのイメージが強くて、ちょっと敷居が高く感じて。でも、ギターなら何とかなるだろうと思ったんです。世の中のギタリストさんを敵に回してしまいそうな発言ですけど(笑)。

──そこからオリジナル曲を作り始めたのは?

焚吐:9歳の秋にギターを始めて、年末の音楽番組でYUIさんが歌っているのを見たんです。YUIさんって、闘いながら歌っているというか、自分の中にある負の感情をポップに歌うという、表現として音楽にこわだわっていると感じたんです。それで、見よう見まね曲を作って、歌うようになりました。ギターを始めて、1~2ヶ月の出来事でした。

──その後、バンドを組んだりとかは?

焚吐:結果的に、ずっと一人で歌ってきました。高校一年生の時に、ほとんど話したことのないクライスメイトから、急に「ボーカルやらない?」って、バンドに誘われたことがあったんですが、3秒で断って。今考えると、経験としてやっておけばよかったなと思うんですけど、いかんせん、僕には協調性がなかったですし、どんなに仲のいい人とでも、長時間一緒に過ごすのが本当に苦手で。でも、あの時にバンドに入っていたら友達ができたんだろうなって考えると、ちょっと悔いがあります。高校3年間で一人も友達ができなかったんですよ。それが高校時代の一番の後悔です。

──ただ、一人で歌ってきたからこその楽曲のようにも感じます。バンドだと、ロックバンドはロックしかやらないですが、「量産型ティーン」は、場面によってジャンル感も大きく変わる面白さがあって、むしろ1曲の中で様々なジャンルが入り乱れるアニソンに近い構成だと感じました。そうした曲構成って、バンドでのセッション感からは、なかなか生まれない発想で。

焚吐:なるほど。ただ、それは大学に入ってからの影響も大きくて。音楽系の大学なので、そこで音楽理論やコード展開を細かく学んだから、最近は展開を重視した、聴いていて飽きない曲を作ろうと意識しているんです。あと、ボーカロイド曲が好きでずっと聴いていたことも大きいですね。ボカロ曲って、展開が突飛じゃないですか。意味の分からない展開やテンポチェンジがあったり。それが面白いと思って聴いていたので、その影響も大きいと思います。

◆インタビュー(3)へ
◆インタビュー(1)へ戻る
twitterこの記事をツイート

この記事の関連情報