【ライブレポ&インタビュー】UNCHAIN、高度な演奏力を発揮して洗練感と力強さを兼ね備えた上質なツアーファイナル@SHIBUYA STREAM HALL

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最新アルバム『LIBYAN GLASS』(2018.9.26)のリリースに伴い、9月28日から<Finding“LIBYAN GLASS”Tour 2018>へと旅立ったUNCHAIN。ブラック・ミュージックに通じるしなやかなグルーブやスタイリッシュな味わいを押し出した『LIBYAN GLASS』はダンサブルであると同時に、UNCHAINならではの深みのある音世界にたっぷりと浸れる作品ともいえる。それをツアーで披露するにあたって、彼らはフィジカルなライブを選択するのか、それともじっくり聴かせる方向でいくのか? そんなことを思いつつツアー・ファイナルの場となったSHIBUYA STREAM HALLへと足を運んだ。


エキゾチックな雰囲気のオープニングSEがアッパーな4つ打ちに変わり、UNCHAINのメンバー達がステージに登場。客席から大歓声と拍手が沸き起こる中、ライブは軽やかにロールする「FLASH」で幕を開け、「Traveling Without Moving」や「Fresher」といったグルーヴィなナンバーを続けて聴かせる流れから始まった。抑揚を効かせて歌う谷川の美声と、“鉄壁”といえるアンサンブルが生み出すファットなグルーブが一体になったサウンドは心地好さに溢れていて、気持ちを引き上げられずにいられない。さらに、ツインギターならではの立体的なコード感や緻密なコーラス・ワークなどを活かして、シンプルなバンド形態で奥行や広がりを持った音像に仕上げているのも見事。メンバー全員が余裕の表情でハイクオリティーなサウンドを聴かせることからは、彼らが今回のツアーでさらなる進化を遂げたことを強く感じさせた。


その後は、軽快に疾走する「Just Marry Me」「テレスコープ・トリッパー」や、佐藤のシャープなカッティングと谷のしなやかなベースのマッチングを活かした「Movin’ my soul」、エモーショナルな「Da,Da,Da,Da,」などを相次いでプレイ。幅広さを見せて世界観を深めていく構成に惹き込まれたし、場内の雰囲気が抜群にいいことも印象的だった。フロアを埋めたオーディエンスはUNCHAINが奏でる良質なサウンドに合わせて身体を揺らし、谷川が客席に煽りを入れたり、各メンバーの見せ場のシーンになると“ワァーッ!”と大歓声をあげる。笑顔を浮かべてライブを楽しんでいるオーディエンスの姿からは、彼らがUNCHAINのライブを観られる日を心待ちにしていたことが如実に伝わってきた。


8曲続けて聴かせたところで、谷川が「渋谷の皆さん、あらためましてUNCHAINです」と挨拶。「今日は集まっていただいて、ありがとうございます。僕らは、もう何度もツアー・ファイナルを迎えてきました。今年でUNCHAINは結成してから22年が経ちまして、それはこうしてライブに来てくれている皆さんのお陰でしかないです。ありがとうございます。“LIBYAN GLASS”というのはリビア砂漠にしかないと言われているパワーストーンの一つなんですけれども、その実態がまだ解明されていないんですね。僕らが作った『LIBYAN GLASS』というアルバムには、そういう意味合いも込められています。今日は皆さんの心の未踏に立つ領域、まだ解明されていない領域を探しにいきたいと思います。よろしくお願いします」。落ち着いた語り口で話す谷川の言葉に、客席からは温かみに溢れた拍手が沸き起こった。


ライブ中盤では谷川がピアノを弾くスタイルで聴かせた“染みる系”の「Behind The Moon」や、躍動感に溢れた「Miracle」、アウトロで佐藤がホットなギター・ソロを聴かせ後、谷川の力強い独唱で締めるという流れに大歓声が上がったインディー時代から定評のある「Light Your Shadow」などを披露。ひたすらファンキーだったり、ダンサブルだったりするパターンとは異なり、ロックサイドもアピールできるのはUNCHAINの強みといえる。彼らならではの洗練されたロック・テイストは本当に魅力的で、オーディエンスは熱いリアクションを見せていた。

佐藤によるツアーグッズ紹介とメンバー紹介を経て、ラテン・テイストが香る「Underground Love」からライブは後半へ。谷川と佐藤のギターの掛け合いや吉田のドラム・ソロなどをフィーチュアした「Tonight's The Night」、谷川がギターを弾かずにハンドマイクで歌い、ステージからフロアに降りて歌うというホットなパフォーマンスを見せたダンス・チューンの「Back To Zero」などをプレイ。アッパーなサウンドとメンバー全員が織りなすフィジカルなステージングの応酬に、場内の熱気はどんどん高まっていった。


UNCHAINとオーディエンスが完全に一つになったことを感じさせる中、谷川の「もし今日の中に、本当にひとかけらでも芽生えたものがあれば、そのLIBYAN GLASSを大切にしてください」という言葉と共に、本編のラストソングとして「Libyan Glass」が演奏された。心地好い瞬間が続いたライブの最後を飾るにふさわしい煌びやかなサウンドに場内は一体感に溢れた盛り上がりを見せ、爽やかな余韻を残してメンバー達はステージから去っていった。

予想以上にフィジカルなライブでオーディエンスを魅了し、最良といえる形で<Finding“LIBYAN GLASS”Tour 2018>を打ち上げたUNCHAIN。スタイリッシュなナンバーを核にしつつアッパーなライブにしようとするとガシャガシャした印象になってしまいがちだが、高度な演奏力を発揮して洗練感と力強さを兼ね備えた上質なライブに仕上げたのはさすがといえる。彼らのライブを体感して、UNCHAINは何度でも観たくなる病みつき感を持ったバンドだなと強く思わずにいられなかった。2018年を締め括るライブとして12月22日にHULIC HALL TOKYOで行われる単独公演も本当に楽しみだ。

セットリスト

<Finding“LIBYAN GLASS”Tour 2018>
2018年10月26日(金) SHIBUYA STREAM HALL ※ファイナル
1.FLASH
2.Traveling Without Moving
3.Fresher
4.Just Marry Me
5.テレスコープトリッパー
6.Movin’ My Soul
7.Da,Da,Da,Da,
8.Precious
9.Behind The Moon
10.butterfly effect
11.Miracle
12.Light Your Shadow
13.Spin My Head
14.Underground Love
15.Tonight ‘s The Night
16.Back To Zero
17.Libyan Glass
EN1.I Am
EN2.Get Ready

公演後、まだ汗の滴る四人に、ファイナルライブを含む今回のツアーの感想を訊いた。その模様は次ページで。

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