【ライブレポ&インタビュー】UNCHAIN、高度な演奏力を発揮して洗練感と力強さを兼ね備えた上質なツアーファイナル@SHIBUYA STREAM HALL

ツイート

■今回のツアーでさらにバンドのグルーブを突き詰めていったので
■まだ曲に馴染みがない人も自然と体が動くライブになったと思う


――<Finding ” LIBYAN GLASS” Tour 2018>は、いかがでしたか?

谷川正憲(以下、谷川):今回のツアーは『LIBYAN GLASS』をリリースした直後に始まったんです。今日ファイナルを終えたわけですけど、アルバムが出てから1ヶ月しか経っていないんですよ。だから、ツアーの前半は『LIBYAN GLASS』の曲達はまだ自分達の中でフワフワしている状態で、それを無理やりギュッと身体に詰め込んでツアーをやってきた感覚があって。この1ヶ月間はずっとライブのことを考えて、考えて…という日々で、その成果を今日のライブで、ひとつ見せられたんじゃないかなと思います。メンバーの皆さんは、今回のツアーや今日のライブは、どうでしたか?(笑)

佐藤将文(以下、佐藤):今日のライブはいろいろありました。

一同:あったね(笑)。

谷川:まず、今日のSHIBUYA STREAM HALLでライブをするのは、初めてだったんですよ。最近の僕らは東京では初めての会場に来ることが多くて、1年前のツアーも渋谷のWWW Xという初めての会場で、いきなりファイナルだったんです。今回はさっきも話したように、まだ楽曲に慣れていない状態なのに初めての会場ということで、ちょっと怖さがありましたね。SHIBUYA STREAM HALLはホール・ホールした感じではなくて、もっとライブハウスっぽい箱だと思っていたんです。

吉田昇吾(以下、吉田):そう。だから、会場入りして、“えっ?”と思った。でも、ステージ上は思ったよりも音の回り込みとかはなくて演奏しやすかったです。

佐藤:しやすかったね。天井がすごく高いけどフロアの奥行はそれほどないから、ステージに立ってみるとホール感はあまりなかったし。だから、初めての会場だったけど、とまどったりすることはなかったです。

――演奏のタイトさやグルーブの心地好さが光っていましたし、お客さんもすごく楽しんでライブを観ていましたね。

佐藤:本当に。リリースして間もないのに、僕たちよりよっぽど曲の楽しみ方を知っている気がした(笑)。ツアー初日から、そういう感じだったんですよ。それに、すごく手応えを感じました。『LIBYAN GLASS』を作るにあたって、よりグルーブに磨きをかけるということがテーマの一つとしてあって。そういう意識でレコーディングをして、今回のツアーでさらにバンドのグルーブを突き詰めていったんです。だから、アルバムをしっかり聴いてライブにきてくれた人はもちろん、まだ曲に馴染みがない人も自然と体が動くようなライブにはなったんじゃないかなと思います。

谷川:そうだね。今回のツアーはセットリストもほぼ変えずに、同じことをずっとやっていくという形を採ったんですよ。それが良い方向に出て、どんどん強固になっていったというのもある気がしますね。

佐藤:曲と曲の“間”とかを、精査していけたからね。

谷浩彰(以下、谷):僕は、もうちょっとお客さんを躍らせられても良かったかなと思います。でも、毎回満足できるところまでは持っていくことができたので、手応えは感じています。僕の中で常に課題としているものがあって、そのレベルをまた一段階上げられたし。だから、いいツアーでした。あとは、今回のツアーもアンプ直結でいかせてもらいました。足元はチューナーだけで、チューナーはセットリストが飛ばんように置いているんです(笑)。そういえば、前回BARKSでインタビューしてもらったときに、「FLASH」のキーがいきなり半音変わったという話をしたじゃないですか。「FLASH」のベース、どうでした?

――違和感などは全くなくて、さすがだなと思いました。

谷:なら良かった。あれから結構練習したんです(笑)。

吉田:僕は、今回のツアーは物足りないというか、もうちょっと本数をやりたかったです。日によって多少の波があったし、新曲を8本のライブで昇華するというのはやっぱり難しい部分があるんですよ。なので、もうちょっと本数があれば、もっと高いところまで持っていけたのになと思って。そこが、ちょっと残念ですね。でも、ツアー自体は楽しかったし、毎回緊張感を持ってライブができたので、いいツアーだったなと思います。

――未完成という印象は受けなかったです。それに、ライブを観て感じたことですが、UNCHAINはロック感の強い吉田さんのドラムがひとつのキーになっていますね。ドラムがパワフルなことで、洗練感と力強さを併せ持ったサウンドになっていました。

吉田:そう言ってもらえると嬉しいです。僕が昔聴いていたのはロック系で、それはずっと変わらず自分の中にあると思うんですよ。縮こまって叩くのは好きじゃないので、“バーン!”といきました(笑)。

佐藤:今回はアルバムも、吉田のそういう力強さが似合うアルバムでしたし。だから、今回のツアーは彼の持ち味がより活きたというのはありますね。

谷川:去年はもうちょっとおとなしいというか、かなりスクエアな方向性のライブをしていたんですよ。今回は自分達の中では、ロック色の強いライブにしたんです。それで上手くバランスが取れたのは、ドラムが大きいというのはあると思います。

――吉田さんは、繊細にいくべきところはいくというレンジの広さも持たれていますしね。ちょっと話は変わりますが、谷川さんと佐藤さんは、2人で1本のギブソンES-335を使っていませんでしたか?

佐藤:そう(笑)。僕と谷川は仲が悪いという噂が広まっていたので、仲がいいことをアピールしようと思って(笑)。

谷川:アハハ(笑)。僕らはレコーディングでは、同じギターを2人で使ったりしているんですよ。あのES-335は僕のギターなんですけど、佐藤がレコーディングで335を使った曲はライブでも335を使いたいと言ってきたので、貸すことにしました。でも、今どきライブで同じギターを使いまわすというのは珍しいですよね(笑)。

佐藤:そういうことをするのは、今回が初めてだったんです。他のギターでやるのも、それはそれでいいんですけど、この曲でほしいのはどうしても335の音なんだよなというのがあって。特に、今回の『LIBYAN GLASS』はギターの音の棲み分けが今まで以上に緻密な部分があるので、妥協したくなかった。なので、恥ずかしいけど、谷川の335を借りました(笑)。今後は気をつけます(笑)。

一同:ハハハッ!

――さて、<Finding“LIBYAN GLASS”Tour 2018>を終えて、次は2018年のUNCHAINの集大成となるHULIC HALL TOKYOでのワンマンが控えています。このライブは、どんなものになりますか?

佐藤:“最大の挑戦”と言っているので、必ず成功させたいというのがあって。今回のツアーで“LIBYAN GLASS”とは、なんだんだ? なんなんだ?…ということを問いかけていって、そこで見つけたものをしっかり反映させたいですね。今度のライブは『LIBYAN GLASS』のタームとはまた別ものですけど、音楽やライブというものには常に共通した良さがあると思うので、自分達が見つけた“LIBYAN GLASS”が大きく、強く輝くようなライブにしたい。それに、当日はサプライズも用意しているので、楽しみにしていてほしいです。あと、ライブまでに、良いES-335を見つけます(笑)。

谷川:そこは、俺はどっちでもいいよ(笑)。今回のツアーはロックなものにしたくて、ちょっとそっちに寄せた部分がありましたけど、年末のライブはまた全然違う姿を見せたいなと思っています。ホール・ライブならではのものを披露したいという思いもあるし。なので、これからいろいろ仕込んでいきます。観て良かったと思ってもらえるライブにする自信はあるので、ぜひ遊びにきてください。

吉田:僕は、もっと自分に磨きをかけていきたいですね。力強いドラムを叩けるように精進していって、年末のライブでその成果を見せられるようにがんばります。今年の締め括りにふさわしいライブをして、いい形で来年につないでいきたいですね。

谷:言おうと思っていたことを、みんなに言われてしまった(笑)。僕は、どうだろう? ……今日のライブはアンコールでベースを持ち替えたんですけど、どうでした?

――同じプレベでいながら、本編で使われていたベース以上にウォームかつビンテージライクな音でした。

谷:アンコールで使ったサンバーストのプレベは、フラット・ワウンド弦を張っているんですよ。本編で使った黒いのは普通のラウンド・ワウンドなので、音が違うんです。それを聴き取ってもらえたのは嬉しいですね。年末のホール・ライブは、フラット・ワウンドをメインにしようかなと思っているんです。そのほうが今のUNCHAINに、より合う気がしているから。なので、ライブに来てくれる方は、ベースの音に耳を傾けてほしいですね。ライブ中ずっとではなくて、思い出したときだけで構わないので(笑)。

取材・文●村上孝之

リリース情報

『LIBYAN GLASS』
2018年9月26日(水)発売
CRCP-40561 ¥2,963+tax
※初回生産分のみスリーブケース付き
【収録楽曲】
1.Libyan Glass
2.FLASH
3.Traveling Without Moving
4.butterfly effect
5.Miracle
6.-Beyond The World-
7.Behind The Moon
8.アイスクリーム
9.Just Marry Me
10.Da,Da,Da,Da,
11.33
12.I Am

ライブ・イベント情報

<UNCHAIN presents You & U ~4 to 1000~>
2018年12月22日(土) 有楽町 HULIC HALL TOKYO
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス