「unBORDE LUCKY 7TH TOUR」ファイナル公演できゃりーぱみゅぱみゅ、indigo la End、あいみょん、chelmicoが競演

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▲きゃりーぱみゅぱみゅ

11月8日、Zepp Tokyoにて「unBORDE LUCKY 7TH TOUR」の最終公演が開催された。

当ツアーは、ワーナーミュージック内レーベル「unBORDE」が設立7周年を迎えたことを記念し、毎年1度開催されてきた恒例のレーベルフェスを(「7」にちなんで)仙台・札幌・広島・名古屋・福岡・大阪・東京の7大都市でのライブハウスツアーに拡大したもの。WANIMA、yonige、高橋優、TEAM SHACHI、あいみょん、奇妙礼太郎、神聖かまってちゃん、tofubeats、DADARAY、ジェニーハイ、ロイ-RoE-、chelmicoと各都市異なるラインナップで組まれてきた彩り豊かなツアーだからこそ、リスナーにとっては新たな音楽との出会い、アーティストにとっては普段ありえない共演を新たな糧とする機会になってきたであろう本イベント。その最終日は、ジャンルにかかわらず角の出たアーティストを次々に輩出してきたunBORDEのレーベルカラーを体現するようにしてchelmico、あいみょん、indigo la End、きゃりーぱみゅぱみゅの4組が四者四様の熱演を繰り広げた。


▲chelmico

まず登場したのは、今年8月にunBORDEからデビューしたラップユニット・chelmico。「ど~も~」とゆったりステージに登場するや否や“Highlight”でライヴの口火を切ると、そのリラクシングな楽曲の通り、RachelとMamikoのラップが緩やかに折り重なっていく様は、まるでふたりの部屋での会話と呼吸がそのまま音楽になったかのよう。さらにMamikoの「chelmicoを初めて知った人?」という言葉に応じて会場中の大多数が手を上げると、それを見透かしていたように“OK, Cheers!”を投下。「初めまして」を、「この日の出会いに祝杯を上げよう」というパーティーに転化し、タオル回しでオーディエンスを煽る“Player”へと雪崩れ込む。ビートやラップ以上に「ふたりの空間を心から楽しんでいる」という天真爛漫かつ嘘のない態度が伝染し、会場全体へと確かにFunが伝っていくライヴだ。

「愛したい」、「恋したい」、「でも愛されたい」
の掛け合いから披露された終曲は“Love is Over”。演奏が終わっても、居心地のいい緩やかな空気が持続していた。一気に「ホーム」を作り上げる最高のオープニングだった。


▲あいみょん

続いて大歓声とともに迎えられたのは、あいみょん。“憧れてきたんだ”で<私の知ってる/シンガーソングライター/数年前にメジャーを辞めた>、<歌うこと 歌うこと/まだ続けていてくれよお願いだ>と歌い上げた瞬間に、ゾクッとするほどの「歌への業」が会場全体に突き刺さる。トーキンブルースから命そのものへの想いを滾らせていく“生きていたんだよな”にしろ、恋心の距離をロックに映した“君はロックを聴かない”にしろ、喜びも傷も迷いも自分の証にしながら、己の人生の在りかを丁寧に確かめていく切実な表現だ。さらに歌声の輪郭が淡く滲んだり、途端にエッジを立てて突き抜けたり。歌声のスケールが曲ごとにグングン増していき、その極点を刻むようにして“マリーゴールド”の美しいメロディが響き渡った。
「寒くなってきたけど、いろんな人に愛を伝える季節だなと思うので」。
そう語った後に披露された“愛を伝えたいだとか”。そして終曲は“貴方解剖純愛歌~死ね~”を披露し、繊細と豪胆、しとやかさと凶暴性。そのすべてを存分に見せつけるアクトだった。


▲indigo la End

本日唯一のバンドであるindigo la Endは、メロディアスに動き続けるボトムにしろ、徹頭徹尾弾き倒されるギターの響きにしろ、繊細な歌を突き破らんとするアンサンブルで冒頭からオーディエンスを圧倒。“煙恋”では川谷がギターを下ろしてゆったりと歌い上げ、女性コーラスとの絡みが美しいメロディをより一層際立たせる。溜めの効いた展開から細やかなキメを繰り返して昇っていくストイックな展開は、この4人のプレイヤビリティとアンサンブルの妙を思い切り堪能できる真骨頂だ。

川谷「僕らはもうunBORDEじゃないんですけど。まあ同じワーナーだから兄弟みたいな感じですね。他の3組はわかるんだけど、なんで俺らがいるのかって思います(笑)。だから、この後もただストイックにやって帰ろうと思います」
という言葉の通り、緩やかな愛の歌に突如凶暴なギターを挿す“蒼糸”も、急激なリズムチェンジが決まっていく“鍵泣く命”も、ひたすら深く音に没入していく。かと思えばAORに振れた“夏夜のマジック”ではオーディエンスとともに揺れる、硬軟自在なライヴだ。

「最後くらいは、僕らはこういうバンドですと少しでもわかってもらえるような曲をやろうと思います。初めてやる曲です」というスペシャルな言葉から最後に披露されたのは、“Unpublished manuscript“。青い夢、童心のまま無垢に生きることを肯定したいと祈り、転げ回っては泣きわめくような轟音を最後の最後の名刺にしてステージを降りたindigo la End。曲ごとに表情を変えていくアンサンブルと未だ変わらぬ核心のメッセージ、その両方を叩き込んだ濃密な40分だった。

そして、今ツアー最後の最後を締め括る大トリとして登場したのは、きゃりーぱみゅぱみゅ。unBORDEのアンカーとして<僕はインベーダー>、<世界征服だ>と歌われると、「トレンドを追う」のではなく「オルタナティヴを本道に変えていく」アーティストを数々輩出し続けてきたunBORDEというレーベルのアティテュードそのものが表現されていように思える。

「私もunBORDEと同じ7周年で、同期のように一緒にやってこられて感謝しています」と語ったきゃりーだが、“演歌ナトリウム”のように、洗練されたテクノと和太鼓・竹笛が交錯する曲や、“きみのみかた”、“キズナミ”のように、海外R&Bポップスのビートやメロディを増強したかのようなトラックに直球のエールソングを乗せる曲。それら最新曲のパフォーマンスには、確かに表現者としての自分をアップデートし、ファンタジーやキャラクター性ではない「人として伝えたいメッセージ」を確かに掴んできた道のりが映っている。まさに「unBORDEと歩みを共にしてきた」と言えるアーティストのひとりであるきゃりー。少女から大人へ。ファンタジーも現実も同じ線上に。unBORDEレーベルイベントのステージの大トリを務めるに相応しい、この7年に経てきた成長と変化のドキュメントのようなライヴだった。

unBORDEというレーベルが表現し続ける多様性、そして多様性を面白がることこそが音楽を更新していく鍵なのだという姿勢が、カラーもジャンルも違うアーティスト同士の対峙から浮き上がってくるツアーファイナル。来年がもしあるとしたら、次はさらにカラフルなものになるであろう。

なお、ツアー公式サイトでは、『unBORDE LUCKY 7TH TOUR』の各会場のライブ写真も公開されているので、こちらも併せてチェックしてほしい。

取材・文●矢島大地
写真●橋本塁(SOUND SHOOTER)

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