藤原さくら、故郷・福岡でツアーファイナル「ただいま!帰ってきたよ」

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藤原さくらのワンマンライブツアー<Sakura Fujiwara tour 2018 yellow>が、11月10日、福岡・福岡市民会館 大ホールにてファイナルを迎えた。

◆<Sakura Fujiwara tour 2018 yellow>画像

同ツアーは、2nd EP「green」と3rd EP「red」の2作を携えて、9月29日の埼玉・戸田市文化会館を皮切りに全国9か所を巡ったものだ。「green」、「red」でサウンドプロデュースを担当したmabanua(Ovall)がドラマー兼バンドマスターを務め、Shingo Suzuki(B / Ovall)、村岡夏彦(Key)、関口シンゴ(G / Ovall)、Meg(Cho)らを迎えたバンド編成によるステージで魅了した。以下、最終日のオフィシャルレポートをお届けする。

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あなたが藤原さくらというアーティストの存在を知ったきっかけは何だったろう。歌い手として、あるいは最初は女優として、もしくは映画のスクリーンで耳にした主題歌だったかもしれない。

デビューから3年半を迎え、あらゆる分野に挑戦しながら、それを糧にアーティストとしてのメインフィールドを耕してきた彼女。今回、「green」に続く2部作として発表された最新EP「red」を携え行われた全国ツアー<yellow>は、ホームグラウンドである福岡がファイナルを飾った。


開演を告げる照明が落ちると、拍手に包まれてメンバーが登場。ステージはmabanuaをはじめ、プロデュースや演奏に携わってきた面々が中央のマイクを囲んで半円型に横並びするアットホームなスタイルだ。軽やかなドラミングからオープニングを飾るのは、代表曲「「かわいい」」。袖から登場した藤原さくらが歌い始めると、神様からのギフトとも称されるスモーキーヴォイスが会場をたちまち魅了し、コーラス・Megとのハーモニーが心地よさをより加速させていく。

序盤はミディアムテンポの楽曲群で会場を温めた後、「ただいまー! 帰ってきたよ」の第一声に、拍手と歓声が沸き起こる。「さっそく友だちの顔が見える」と、柔らかい笑顔で彼女が見つめる先には、さまざまな世代のファンとともに、この日は家族の姿もあった。

MCでは「red」の聴きどころのひとつ、『若おかみは小学生!』の主題歌2曲を手がけた話題も。「映画観てくれた人いるかな? ん、いないの?」と、友だちに話しかけるような素のリアクションで会場を和ませた後、「NEW DAY」、「また明日」を披露。明るさと切なさ、主人公の気持ちになって異なるアプローチで描いたというポップスもまた、聴く人の心にじんわりと優しさを灯す。彼女の優れた才能を感じる一面だ。



中盤は趣向を変えて、アコースティックセットで展開。mabanuaとふたり、アンニュイに届ける「うたっても」は、製作に煮詰まった時にできた曲だというが、弱い部分も最終的には歌になってしまうところがまた彼女らしさであり、裏を返せば強さでもあると思わずにいられない。続いて、ウクレレを手にし、コーラスとベースを加えて英詞で歌う「Ellie」。彼女のルーツを感じさせる“福岡時代に書いた曲”を届けてくれた。最後はギターとピアノも加わり、全員がステージの中央に身を寄せながら演奏。映画のシーンさながら旅する楽団のような雰囲気で、息の合ったチャーミングなステージを楽しませてくれた。


「後半戦、まだまだ楽しめますか?」の声とともに、終盤に向けてはエレキギターを手にし、アップテンポなサウンドからロックアレンジを効かせた「Necklace」で盛り上がりは最高潮。そこから、壮大なバラード「The Moon」へと続き、ラストは「クラクション」でステージを後に。すぐさま拍手とアンコールが会場に響き渡った。

アンコールに応えて出てきた彼女は、去年から習い始めたというピアノの前へ。鍵盤の音色に乗せて「はんぶんこ」を弾き語りした後、サプライズとしてセットリストには含まれていなかった「ありがとうが言える」をギターの弾き語りで演奏した。上京してからの気持ち、今回のステージを支えてくれた沢山の人への感謝を、改めて言葉にして伝える場面では、その誠実さに胸を打たれた。


最後に再びバンドメンバーを呼び込み、アンコールのラストを飾ったのは「bye bye」。家族や友人、“親戚みたい”と表現する会場のファンへ向けて「笑ってお別れしよう」と、必ずまた福岡に戻ってくるという強い思いを歌に込めた。

無事、完走したツアーについて「今回初めて緊張もなく臨めた」と話したステージ上の彼女は、またひとつ大きくなったように見えた。来年は初舞台、再来年は博多座への出演も決まったという。どこに身を置いても自然体の自分を大事に、表現できる強さを秘めている藤原さくら。多様なアプローチでの経験が、彼女自身もまだ知らない魅力の発見につながり、それがシンガー・ソングライターとしての輝きを深めてくれるにちがいない。ツアー最終日を飾る素晴らしいステージから、年々どんな姿を見せていってくれるのか、これからの彼女を思うと、楽しみでたまらない。


取材・文◎前田亜礼
撮影(10月21日 中野サンプラザ公演)◎田中聖太郎

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■2018年11月10日(土)福岡・福岡市民会館 大ホール公演 セットリスト

01. 「かわいい」
02. Lovely night
03. Sunny Day
04. Time Flies
05. グルグル
06. How do I look?
07. NEW DAY
08. また明日
09. うたっても
10. Ellie
11. BABY
12. Soup
13. Dance
14. Necklace
15. Dear my dear
16. The Moon
17. クラクション
En1. はんぶんこ
En2. ありがとうが言える
En3. bye bye

<Sakura Fujiwara tour 2018 yellow>

2018年9月29日(土)埼玉・戸田市文化会館
2018年10月5日(金)愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
2018年10月14日(日)奈良・なら100年会館 大ホール
2018年10月19日(金)北海道・道新ホール
2018年10月21日(日)東京・中野サンプラザ
2018年10月27日(土)静岡・静岡市民文化会館 中ホール
2018年11月2日(金)大阪・オリックス劇場
2018年11月4日(日)新潟・新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)・劇場
2018年11月10日(土)福岡・福岡市民会館 大ホール

メンバー:藤原さくら[Vo,G] / mabanua(Ovall)[Dr] / Shingo Suzuki(Ovall)[B] / 村岡夏彦[Key] / 関口シンゴ(Ovall)[G] / Meg[Cho]
神田智子[Cho]※中野サンプラザ公演のみ

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