ビッケブランカという“音楽の魔法使い”

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ビッケブランカがファーストミニアルバム『Slave of Love』でメジャーデビューを果たしてから、早いもので2年が過ぎた。インディーズ時代から高い評価を受けていたメロディメイカーとしての才能、ファルセットやコーラスを多用する華麗な歌声、物語風にヒネリをきかせた洒落た歌詞の世界には更に磨きがかかり、その音楽は着実に時代の風をとらえつつある。

◆2ndアルバム試聴動画

デビュー当初にApple Music/iTunesが選ぶ「NEW ARTIST」や、Spotifyが新人をレコメンドする「Early Noise Japan 2017」にピックアップされたのを皮切りに、サブスクリプション・サービスでの人気が高いのが特徴だが、2017年にはタワーレコードの7月度「タワレコメン」に、そしてCDショップ大賞2018ではファーストフルアルバム『FEARLESS』が「東海ブロック賞」を受賞するなど、各所から高い期待と評価を受けている。

ジャンルで言うならば、時代を超えるグッド・メロディを奏でるピアノ・ポップと言って間違いはないと思うが、ステージではギターも弾くし、ベース、ドラム、プログラミングもすべてこなすマルチ・ミュージシャンゆえ、音楽性は実にカラフルで多岐にわたる。「影響を受けたアーティスト」にマイケル・ジャクソン、SMAP、MIKAを並べて挙げていることからもそのスタイルの自由さは明らかだ。


そもそも小学校4年生くらいの時にマイケル・ジャクソンのミュージック・ビデオをテレビで見たのをきっかけに音楽に目覚めたビッケブランカは、マイケルのダンスを覚えて友達に教えて一緒に踊るという楽しみを覚え、やがて自らピアノで曲を書くようになる。妹が習っていたというピアノを自己流でマスターし、楽譜も読めないまま曲を作っていたというから、まさに早熟の天才肌。中学校に入るとRIZEやリンキン・パークなどミクスチャー・ロックの洗礼を受け、ギタリストとして友達と一緒に音を鳴らしてみたものの、「バンドという集団に属するというのは肌に合わない」という理由でバンドは断念。4トラックの小さいMTRでラップを混ぜたミクスチャー風の曲をひたすらに作り、高校生になるとヒップホップの要素を混ぜながら作曲スキルを磨き、20才を超えた頃にギターからピアノに転向。それがビッケブランカにとって大きな転機となる。

ビッケブランカの最大の武器の一つ、華麗なファルセット・ボイスを身に着けるのはさらにそのあとで、直接のきっかけは当時の所属事務所のスタッフにMIKA(ミーカ)を教えられたこと。地声が低くて声域が狭く、大きい声を出すとガナる声になってしまうというコンプレックス抱えていた彼が、“こんな裏声で歌うのを良しとして、作品にして、それが売れちゃうんだ”ということを知ったことで世界は変わった。音域が一気に広がったおかげでメロディの幅も増え、どんどん新しい曲が作れるようになった。そこから現在に繋がるビッケブランカの快進撃が始まったというわけだ。


その音楽性を愛するファンはミュージシャン仲間の中にも多く、共作も果たしたSKY-HIやぼくのりりっくのぼうよみなどラップ・アーティスト、名古屋が地元という共通項で以前から親交があった04 Limited Sazabysや、BRADIOなどロック・バンド勢と、交友関係がすでにジャンルレスになっているところも実にビッケブランカらしい。ビッケブランカは様々なシーンやリスナーのハブとして機能するフリーダムな新世代アーティストなのだろう。もう一つ、ライブでのMCやラジオでのトークを聞いた人はご存知の通り、頭の回転の速いトークとコミュニケーション力も抜群で、笑わせたり感心させたりためになったり、インタビューの場においても話術の巧みさについつい引き込まれる、取材者として非常にありがたいアーティストであることも付け加えよう。人間力豊かな愛すべきキャラクター、それもビッケブランカ。

そんな彼が、およそ1年4か月振りのインターバルを経て11月21日にリリースしたのが、セカンドフルアルバム『wizard』だ。この1年間の出来事といえば、4月にファーストシングル「ウララ」を、8月にはセカンドシングル「夏の夢/WALK」をリリースし、サブスクや全国のFMラジオのチャートで軒並みトップ10に入るヒットを記録する。「ウララ」のカップリング「Black Rover」がアニメ『ブラッククローバー』オープニング曲に、「WALK」アニメが映画『詩季織々』主題歌になり、新たなファン層も開拓した。中でも最大のトピックは人気のテレビドラマ『獣になれない私たち』の挿入歌に「まっしろ」が選ばれたことで、彼を見つめる熱視線はどんどんヒートアップしている。『wizard』のリリースは、まさに絶好の時を得たものと言える。


『wizard』は、それら注目曲の全てがしっかり収録された12曲入りだ。「ウララ」は懐かしい歌謡曲の感覚と溌溂としたダンス・ポップの融合、「夏の夢」は爽やかな風を感じるグルーヴィーなシティ・ポップ調で、ロングバージョンに進化した「WALK」はゆっくりと歩くようなテンポともの悲しいメロディが胸を打つ曲。「Black Rover」はエレクトリック・ギターとピアノがシンクロするメロディックなピアノ・ロック、そして「まっしろ」は、渾身の美メロが炸裂するピアノと弦のバラードの傑作だ。これら既発曲に新曲が加わり、バラエティに富みながらも一つの作品としてコンセプチュアルな統一性を持っているのが『wizard』の特徴だ。

その統一性の象徴と言えるのが、アルバムタイトルでもあるオープニングナンバー「Wizard」だ。魔法使いを意味する「Wizard」というワードを手掛かりに、ポップスの魔法使いであるビッケブランカ自身をナレーション風に紹介する、まるで映画のオープニングのようなピアノと歌によるオーバーチュア。ここから2曲目「Winter Beat」の高らかに鳴り響くストリングスのイントロへと繋ぐ展開は、遊園地のアトラクションの扉を開けた時のようなワクワク感に満ちている。そう、このアルバムはビッケブランカによる音楽の魔法の国であり、楽曲はそれぞれに趣向を凝らしたアトラクション。心楽しく弾む打ち込みビートに優しさと浮遊感を加えた「Lights Out」、EDM的に盛り上がるビートに得意の美麗コーラスを乗せた「キロン」、そしてラストを飾る「Great Squall」の、雄大な景色を描くドラムのビートと、“生き急ぎたい”と前のめりな人生観を歌うメッセージが生む高揚感。あからさまにメッセージを放つタイプのアーティストではないと思っていたが、メジャーデビューからの日々で得た多くのファンの支持が、彼の人生観にも影響しているのだろう。ラブソングもメッセージソングも、よりストレートで届きやすく包容力あるものに進化している。それはつまり、満を持してJ-POPの本流ど真ん中へ挑む準備が整ったと言ってもいいだろう。

バンドが脚光を浴びることの多い新世代のポップ/ロック・シーンにおいて、美しくポップなサウンドスケープとグッド・メロディで勝負するビッケブランカの存在は非常に貴重で、そして頼もしい。魔法使いが誘う音楽の喜び溢れるビッケブランカの音楽は、聴き手を選ばず大きく開かれている。『wizard』の世界へようこそ。

文◎宮本英夫

▲メジャー2ndアルバム『wizard』(CD)ジャケット

メジャー2ndアルバム『wizard』

2018年11月21日(水)発売

■CD+DVD(初回生産限定)
AVCD-96009/B ¥3,800+税

■CD only
AVCD-96010 ¥3,000+税

[CD]
01 Wizard
02 Winter Beat
03 まっしろ
04 Lights Out
05 ウララ
06 Black Rover
07 Buntline Special
08 夏の夢
09 キロン
10 Smash(Right This Way)
11 WALK(long ver.)
12 Great Squall

[DVD]-
ULALA TOUR 2018@SHIBUYA TSUTAYA O-EAST
01 Get Physical
02 Natural Woman
03 Bad Boy Love
04 Your Days
05 TARA
06 Black Rover
07 Moon Ride
08 Slave of Love
09 ウララ

リリース記念イベント

11月24日(土)大阪・タワーレコード 梅田NU茶屋店 16:00~
11月25日(日)愛知・名古屋パルコ店 西館1F外 16:00~
12月2日(日)福岡・タワーレコード福岡パルコ店 16:00~
12月9日(日)東京・タワーレコード渋谷B1F CUTUP STUDIO 13:00~
内容:アコースティックライブ+サイン会

<ビッケブランカ WIZARD TOUR 2019>

2019年1月12日(土)仙台・darwin
2019年1月14日(月・祝)札幌・ペニーレーン24
2019年1月19日(土)福岡・DRUM LOGOS
2019年1月20日(日)広島・セカンドクラッチ
2019年1月25日(金)名古屋・ダイアモンドホール
2019年1月26日(土)大阪・BIGCAT
2019年2月10日(日)東京・Zepp Tokyo

チケット料金:¥4,500 ※税込/ドリンク代別
All Standing(整理番号有り)
年齢制限:未就学児入場不可

◆ビッケブランカ オフィシャルサイト
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