【インタビュー前編】DAISHI [Psycho le Cému]、「このバンドのこの表現は意図的」

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■“売れてる人”って好きじゃない人から見たら
■どっかおもろくないですか?

──“笑いとロック”ってどう捉えてます?

DAISHI:最初はライヴ中のお芝居もなかったし、コントみたいなものもなかったんです。衣装はコスプレでしたけど、曲はただただ激しい曲をMCなしでやってるバンドでした。途中から笑いの要素を入れて、衣装の色を赤と緑といった原色からパステルに変えたんですよ。水色と黄色とオレンジとかに。その時、動員ガクンと下がったんです(笑)。

──アハハハハ!

DAISHI:ほんとですよ。演奏だけじゃなく、お芝居を入れて、さらに誰もやってないことにチャレンジしてレベルアップしてきたつもりが、ファンの方が理解できなくて。“え? 昔の普通の原色の方がカッコ良かった”みたいな感じでしたね。でも、ガツッと下がってちょっとしたら動員がめちゃくちゃ上がりました。一瞬離れたお客さんもいたかもしれないでけど、さらに違うことをすると上がるんやなと。でも、その一瞬下がった2〜3ヶ月は、めっちゃメンバーの仲が悪くなりましたけど。やっぱやり過ぎた(笑)。

▲2003年<TOUR“理想郷旅行Z”>

──ははは。“笑いとロック”の融合、しかもヴィジュアル系で、だと、さすがに斬新過ぎたんでしょうね。

DAISHI:正直、最近も笑いを求めてない人もいるのかなって思ったりもします。普通にカッコつけただけのコンセプトの衣装でやると、「そっちのほうがいい」って言うファンの方もいますから(笑)。難しいですね。

──でも、一瞬ガクッと下がったものの、その後のライヴ動員は凄かったわけじゃないですか?

DAISHI:1999年に結成して、すぐに動員が雪だるま式に増えて、ラストインディーズ公演が中野サンプラザ2daysで、その前に渋谷公会堂2daysでしたからね。インディーズでそのハコを2daysでやってるんですよね。しかも国際フォーラム ホールAまで、東京のワンマンは全部ソールドアウトできてたんです。

──その頃、SNSはないですよね?

DAISHI:全然ないですよ。ないほうが得意だったかもしれないです。SNSがあるとみなさん観た気になっちゃいますから。結局、恐いもの見たさみたいなとこがあったかもしれないですね。当時はチラシとCDしかなかったので。アナログ媒体のほうが面白い感じがしますよね。

──ちなみに、コスプレのネタは尽きないんですか?

DAISHI:尽きますよ。だからアメとムチを使い分けながらやっているんですよ。“今回はファンのためのコンセプトかな”とか、“これは外に向けてのコンセプトかな”とか。いろいろメンバー的に考えながらやっていますけど、当然、ネタは尽きますね。

──ずっとカッコつけているのも大変そうだし、笑いのネタを考えながらロックするのも大変ですし……。どっちが大変なんでしょうね?

DAISHI:僕、思うんですけど、売れてる人って好きじゃない人から見たらどっかおもろくないですか?

▲2003年 メジャー1stアルバム『FRONTIERS』

──確かに。

DAISHI:世界規模で見ても、そう。クイーンも然りで、興味ない人があのピチピチの胸開きのスーツを見たら、“え? ちょっとおかしい人”っていう感覚があるだろうし、売れてる人はそういう感覚を持ってはるなと思うんです。日本でも例えば、ウルフルズやシャ乱Qもそうですよね。シャ乱Qさんだって見る人によってはなかなかおかしいと思うんです。でも……名前を挙げてみると関西が多いですね(笑)。米米CLUBさんは関西じゃないか(笑)。

──今、名前が挙がった日本のバンドは、モデルというかオリジナルが浮かぶんです。“〇〇にインスパイアされてるんだろうな”っていうのがあるんですけど、Psycho le Cémuはいい意味でその域を超えていますから。

DAISHI:僕らの場合、透けて見えるのは鳥山明さんですからね(笑)。まぁ確かに、ミュージシャンのモデルは透けて見えないですよね。透けて見えるのは鳥山明さんや『ファイナルファンタジー』!! でも、僕はそれを知らなかったから、勉強するのが大変だったんです。ゲームはしないのにゲームの説明書だけはめちゃくちゃ読みましたからね。

──ファンはどうなんですか? ゲーム好きが多いんですか?

DAISHI:いや。ゲーム好きのファンはいないです。僕らにもっとゲームオタクのお客さんがいたら、もうちょっと成功できていたと思います。僕らのファンは基本は女の子。最近は男の子も増えましたけど。

──オタクファンを取り込もうっていう考えはなかったんですか?

DAISHI:オタクのファンを取り込むのには、そういう臭いがする人じゃないと無理なんじゃないかと思うんです。同じ臭い同士じゃないと無理。特に僕が違うんだと思うんです。

──確かにDAISHIさん、オタク感はゼロですよね。

DAISHI:喋りの感じとか、私服の感じとかからも、僕がオタクじゃないことはハッキリしてて。本当は“しょこたん (中川翔子)”になりたかったんですけどね。オタクファンも取り込めればベストだったですけど、僕は漫画ですらそんなに読まないですから。

──これはあくまでも、仕事だと?

DAISHI:しかもバンド自体、音楽自体もそんなに好きじゃなかったです、若い頃は。

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