【ライブレポート】大合唱が途絶えない、ファン大満足のプリティ・メイズ

ツイート

デンマークが誇るメロディック・メタルの雄、プリティ・メイズの来日公演。2晩連続の開催で、初日の11月17日(土)は、1987年の大名盤『フューチャー・ワールド』完全再現+Greatest Hits & The band's favorites、そして翌18日(日)は、同じく『フューチャー・ワールド』完全再現+Rare Songs & Fan's favoritesという構成。私が見に行ったのは、2日目の方である。

◆プリティ・メイズ画像

『フューチャー・ワールド』のジャケットが、バックにデカデカと飾られたステージ。開演時間の18時ほぼジャストにアルバムのイントロが流れ始めると、一気に場内はヒートアップ。メンバーが続々登場し、タイトル・トラックのリフが奏でられると、物凄い大歓声が。そりゃそうだろう。まさにアルバムの音そのままなのだから!当然ながら、ロニー・アトキンスのヴォーカルも力強い。オーディエンスの歌詞覚え率が非常に高いのも印象的。それだけ熱狂的なファンが集まったということだろう。


続く「We Came to Rock」は、とにかくヘヴィ。ヘッドバンギングせずにはいられない、まさに1980年代のヘヴィ・メタル!と思ったが、意外とヘッドバンギングをしている人は少ない気が。時代の流れだろうか。アラン・ソーレンセンのパワフルなドラミングは、こういうヘヴィな曲にピッタリ。ノリノリの「Love Games」には、オーディエンスはジャンプで応える。北欧色も濃厚な曲だが、サビでは1980年代のメインストリーム・メタルのお手本的メジャーへの転調を聴かせる。この楽曲に、この空間。今が本当に21世紀なのかを疑いたくなる。

「みんなのヘルプが必要だ。一緒に歌ってくれ」とプレイされたのは、「Yellow Rain」。静かな美しい出だしから、後半のヘヴィ・メタル・パートへ向けての盛り上がりが素晴らしい。当然のように場内は大合唱に。ここまでシンセをプレイしていたクリス・レイニーがギターを持ち、ツイン・ギターで披露されたのが「Loud 'n' Proud」。1987年当時のLPで言うと、ここからB面だ。これも非常にわかりやすいサビを持っているため、もちろん大合唱。というか、この日大合唱にならなかった曲はないのでは?プリティ・メイズの楽曲は、ライヴでの大合唱を念頭に置いて作られているのがよくわかる。北欧の哀愁味あふれる「Rodeo」、「日本のオーディエンスは最高だ」とプレイされた「Needles in the Dark」。お客さんの熱気は高まる一方。ロニーの声も、ますます力強くなっていく。「バンドとして初めて書いたバラードでは」という「Eye of the Storm」を経て、ラストの「Long Way to Go」。これも実に1980年代らしい曲。あっという間の50分であった。


それにしても『フューチャー・ワールド』は、1980年代、確実にメインストリームの音楽であったヘヴィ・メタルという音楽のお手本的アルバムであると再認識させられた。もちろんヘヴィではあるが、楽曲はとにかくわかりやすい。そしてやはり北欧特有の湿り気は、われわれ日本人の琴線に触れまくる。1980年代、北欧、ヘヴィ・メタル。最強すぎる組み合わせだ。

一旦メンバーがステージから去ったのちに開始された第2部は、Rare Songs & Fan's favoritesと題されたセットリスト。まずは1992年の『Sin-Decade』からタイトル曲「Running Out」が続けて演奏される。「Sin-Decade」は初日もプレイされているが、通常はあまりプレイされない曲。「Running Out」に至っては、ここ15年くらいで初めて演奏されたのではないだろうか。続いては、1984年のファースト・アルバム『Red, Hot and Heavy』から「Waitin' for the Time」。イントロのシーケンスだけで大歓声があがる。これも最近あまりプレイされない曲だ。って、「レア・ソング」と謳っているセットなんだから、当たり前と言えば当たり前ですが。



続いて「1992年に日本に来たときはプレイしたかもしれない」とロニーがMCするが、ドラムのアランがキョトンとしている。ギターのハマーさんが何やら耳打ちをしてプレイされたのは「Bull's Eye」。2016年の最新作『Kingmaker』からの曲であるから、1992年にプレイされたはずはない。アランがキョトンとしたのもやむを得ない。ロニーは何と勘違いしたのだろう。ちなみに、配られたセットリストでは、何かの曲が黒塗りで消されており、代わりに「Bull's Eye」となっていたので、急遽演奏曲を変えたことによる混乱だったのかも。

再び『Sin-Decade』から「Nightmare in the Neighbourhood」を挟み、「とてもリクエストが多かった」という「Never Too Late」。1997年の『Spooked』収録のこの曲はレア中のレア。何しろプリティ・メイズが日本市場を中心に活動していた時期の作品で、本作に伴うツアーも日本でしか行われていないのだ。続いての『Sin-Decade』収録「Know It Ain't Easy」は、ライヴ初披露とのこと。レア・ソングってどの程度のものなのかと思っていたが、本当にレア曲連発だ。そして「Hell on High Heels」。1999年の『Anything Worth Doing Is Worth Overdoing』収録のこの曲では、彼らのメロディ・メイカーとしての真骨頂が発揮されている。で、第2部ラストは「これはみんな知ってるよな」という「Back to Back」。確かにこれを知らない人は、この会場にいるはずもない。






しばしの暗転のあとのアンコールは、1990年の『Lethal Heroes』から、タイトル曲、そして「Attention」が続く。特に、後者はほとんどライヴでプレイされることのない曲だ。「来年ニュー・アルバムが出る。そしたらぜひまた日本に来たい」というMC後のラストは定番、ファースト・アルバムのタイトル曲「Red, Hot & Heavy」。もちろんこれも大合唱の大盛り上がりで締め。「レア・ソングをプレイする」というテーマ通り、なかなか聴けない曲満載。2時間たっぷり、大合唱が途絶えることのない、プリティ・メイズ・ファン大満足の内容であった。昨日の第2部とのカブりは、「Bull's Eye」「Back to Back」「Sin-Decade」の3曲のみ。昨日は「Please Don't Leave Me」がプレイされた代わりに「Red Hot and Heavy」は無し。なんていう具合だったので、これはどう考えても2晩とも見た人が正解であった。


文:川嶋未来 / SIGH
写真:Masayuki Noda

<CLUB CITTA' 30th AnniversaryーHard Rock RevolutionーVol.6 PRETTY MAIDS Back To The Future World -30th Special Maid in Japan-2018.11.18>

Future World:
1.Future World
2.We Came to Rock
3.Love Games
4.Yellow Rain
5.Loud 'n' Proud
6.Rodeo
7.Needles in the Dark
8.Eye of the Storm
9.Long Way to Go
Rare Songs & Fan's favorites:
10.Sin-Decade
11.Running Out
12.Waitin' for the Time
13.Bull's Eye
14.Nightmare in the Neighbourhood
15.Never Too Late
16.Know It Ain't Easy
17.Hell on High Heels
18.Back to Back
EC1.Lethal Heroes
EC2.Attention
EC2.Red, Hot and Heavy

◆プリティ・メイズ・レーベルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス