【インタビュー】seek&AYA [Psycho le Cému]、「作ったのは“生で観ないと聴けないもの”」

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■一緒にバンドをやってる以上は
■DAISHIを信じるしかない

──それこそ武道館を飛び越えて、世界で活躍できる可能性もあったと思いますが?

seek:現に、そこそこ海外でライヴもやってましたんで。

AYA:でも僕ら、ライヴの中で芝居をやるんですよ。それを英語に吹き替えてやったんですけど……そこは壁でしたね。

seek:言葉を超越した『シルク・ドゥ・ソレイユ』ほどの技術があれば、その壁も超えられたんでしょうけどね。だから当時、向こうの人にも「英語勉強せなあかんと思うで」って言われましたから。気づいたら今、韓流アーティストは絶対英語喋れるし、日本に来たら「日本語勉強がんばってまーす!」って言うでしょ。日本語で片言でも会話が出来て、“かわいい”“応援したい”って思わせるわけで。僕らはその言葉の壁が超えられなかったんです。

▲2015年<TOKYO MYSTERY WORLD 〜名探偵Dと4人の怪盗たち〜>

──逆に言えば、言葉の壁を越えれば、そこのイスは空いていますよね?

AYA:空いていますね(笑)。

──seekさんどうですか?

seek:衣装を海外に持って行くのがね……。

AYA:海外で作って、現地に置いておけばいいんだよ。

seek:それならOKかも……この間、台湾公演で着ぐるみを持っていったんですけど、衣装の一部を無くして帰ってきたんで(笑)。

──身体一つで行けばいいのかと(笑)。

seek:YOSHIKIさんみたいに身体ひとつで世界を飛びまわればいいわけだ!

──さて、今回は3ヵ所のライヴ会場限定で「FANTASIA」という楽曲が発売になります。これは、歌詞とメロディが同じだけどアレンジが異なる3つのヴァージョンが、それぞれの会場で手に入るというPsycho le Cémuらしい企画ですね。原曲はAYAさんが書かれたんですよね?

AYA:ずっと前に書いた曲でして。今回、3パターンのアレンジを作るっていう企画をDAISHIが持ってきて、「じゃあ、どの曲にする?」となった時に、DAISHIがこの曲を選んだんです。

──曲を書いた時、3ヴァージョンで演奏することは……。

AYA:全然想定してなかったです。Lidaさんがアレンジした“勇気ヴァージョン”に近いテンポ感で、ミディアムな感じがオリジナルのイメージなんです。

──“恋”“怒り”“勇気”の3ヴァージョンのアレンジは、AYAさん的にはどうですか?

AYA:面白いですよね。“ああ、こういうことしてくれるんや”って勉強になりました。

──seekさんは?

seek:曲を選ぶ前に、先に企画自体が話として上がったんですけど、すごくPsycho le Cémuらしくて面白いなって思いました。今までやってないし、スキルという意味でもチャレンジできる。昔やったら、アレンジは誰か他の人に投げちゃっていたと思うんです。でも、みんなそれぞれがコンポーザーとしてレベルが上がっているから、やってみようかっていう話になったんですね。ちょうど東名阪3ヵ所やし、会場に行って生で観ないと聴けないものを作るのが、今回の企画として面白いんちゃうかなぁって。でも、“DAISHIあるある”なんですけど、会話が面白いから“おもろいやん!”って夢見るんですけど、いざ取り掛かったら“何でこれ僕がせなあかんねん”って何もしない。

──あはははは!

seek:結局、言い出した本人“してへんやん!”みたいな(笑)。

AYA:“Psycho le Cémuあるある”です(笑)。

▲2016年<Legend of sword 2016 -伝説は再び->

──ライヴでは各会場ごとに違う演奏をするんですか?

AYA:そうですね。12月8日の名古屋が“恋”。12月9日の大阪が“怒り”。12月14日の東京が“勇気”、それぞれ一回勝負です。プレイヤーとしては緊張感がハンパない(笑)。しかも、新しい衣装やからまた弾きにくいんですよね。

seek:“ハイフレットが全然見えへんねんけど”みたいな(笑)。そこは他のバンドさんとは違う“プロフェッショナル感”を僕らは持ってるかもしれないです。ちなみに、衣装によってはちょっとアレンジ変えるときがありますから、僕は。

──「FANTASIA」の歌詞では、“破滅へと向かうの? あの世界 僕が終わらせた”と薬物使用で逮捕された2004年の事件のことをDAISHIさん自身が書いて、歌っていますね。

AYA:そうですね。「FANTASIA」言うてるのに、ファンタジー感がない歌詞やなと思います(笑)。かなり懺悔っぽいです。

seek:DAISHIって自分のヒストリーに基づいてじゃないと詞が書けないんじゃないかな。だから、DAISHIなりの懺悔が詞に出てくるんだと思います。だた、事件のこととなると、僕らもちょっと言葉を選んでしまう。DAISHIの事件に対して、僕らが思っていることと世の中的な受け止め方は、きっと違うと思うんです。与えてしまった影響があるし、それは当たり前のことで。“もう大丈夫っすよ、DAISHIは反省したと思う”って僕らが軽く言うのは違う。

AYA:再始動してから、DAISHIがシングルの歌詞を書くのは初めてなんですよ。だから、まぁ懺悔になるんだと思います。

──ちなみに、事件のことをそれぞれはどんな風に受け止めているのですか?

AYA:本人が反省してることは間違いないんじゃないですかね。

seek:これ、話し出すと長くなりますよ。僕らは昔から変わらないです。“反省してるんじゃないんですかね”って他人事っぽい言い方に聞こえるかもしれないですけど、僕らは信じるしかできないので。元々DAISHIが「この5人でバンドを始めるぞ」ってメンバーを誘って、「この5人で東京に行って売れるんだ!」っていうところから始まってるわけやから。その段階で、人生を彼に委ねたっていう気持ちが当時はあったと思うんです、僕ら年下なので。彼が夢を語って、その夢に僕らが乗っかったっていうスタート。だから、どんなことがあっても一緒にバンドをやってる以上は、彼を信じるしかないのかなって思います。

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