【連載】Vol.059「Mike's Boogie Station=音楽にいつも感謝!=」

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日本のロック史に数々の足跡を残しながら、今も常にアグレッシヴに活動するPANTA。彼の音楽に対する執念と愛はまさに不滅、ロック・フォーエヴァーだ。そのチャレンジ精神にはいつも熱いものを感じる。

【PANTAX'S WORLD presents PANTA & HAL EXTENDED】
Billboard Live TOKYO 2018年11月3日
頭脳警察のPANTAがソロ活動後にPANTA & HALを結成したのは1977年。79年にアルバム『マラッカ』、続く80年に『1980X』を発表した。92年10月にPERSONZの渡辺貢、藤田勉らを迎えてPANTA & HAL再現ライヴがあったが、今回のPANTA & HALのLIVEはそれ以来26年ぶりか…。2019年のZK結成50周年を迎える直前、Billboard Live大阪&東京での2夜限りの特別企画である。

当時のメンバー今剛、平井光一、浜田文夫を迎えて『マラッカ』『1980X』フィーチャーしてのステージ。このメンバーが揃うのはHAL解散以来、37年振り。他のメンバーはPANTA&HAL未体験の若手、西田修太/GTR、岩崎なおみ/BS、柏倉隆史/DS。そしてHAL解散後、PANTAサウンドを支えてきた盟友の菊池琢己/GTR、中山努/KBDがしっかりと位置する。2枚のアルバムのプロデューサーでこの日のステージのディレクターの鈴木慶一曰く、EXTENDEDとは拡張版、三世代のメンバーの融合であるとのことだ。11月3日Billboard Live TOKYOでのLIVEにエキサイトした。

<ファースト・セット>
まずファースト・セットは『マラッカ』LIVEである。


▲LP『マラッカ』 from Kazuo's Collection

テーマ「ツァラトゥストラはかく語りき~HAL9000」(この声を担当しただクラス・レインが11月11日逝去)が場内に流れ暫く経ってPANTAが菊池、中山、西田、岩崎、柏倉を引き連れステージに登場。
勿論オープニングは「マラッカ」。日本の生命線であるオイル・ロードをテーマにしたアルバム・タイトル・ナンバー。テーマを“シルクロード”“オイル・ロード”にするか、結果的にマラッカでいこうと決めたのはプロデューサーの鈴木慶一。強烈なドラム・ビートで始るやPANTAのカウント“1-2-1-2-3-4!”アップにサウンドが展開していく。いつもの彼の声が響き渡る!実によく出ている、これが第一印象。菊池はゼマイティスだ。


▲プロモーション・シングル「マラッカ」 from Kazuo's Collection

「つれなのふりや」は安土桃山時代の隆達小唄に収められている恋唄のひとつから。♪つれなのふりや すげなのかおや あのようなひとが はたとこいにおちる♪。鈴木慶一がコーラスで参加。観客も掛け声で盛り上がるノリのよいレゲエ・ナンバー。



慶一はアウト。ここでメンバー紹介。3曲目は「ブリキのガチョウ Tin Goose」。菊池(レス・ポールにチェンジ)と西田とのツイン・ギターで引っ張っていくリズミックなナンバー。
そしてスロー・バラード「裸にされた街」。上野洋子がコーラスで加わり、ファンの間で人気の高いエモーショナルなこの作品を一層ドラマティックに仕上げていく。PANTAのライヴで女性コーラスは珍しい。アルバムでのコーラスは東京荒川少年少女合唱団。

5曲目「ココヘッド」でゲストの今剛がコールされ、観客から大拍手で迎えられる。「久しぶりだね、PANTA。演りたかったよ」、このセリフを聞きたかった!PANTAがシャウト気味に歌う、ミディアム・アップのグルーヴ感溢れたナンバー。圧倒的な存在感を示す今のボトル・ネック・ギターが実にダイナミックだ。二人のコンビネーションも絶妙だ。菊池は再びゼマイティス。

「ネフードの風」は1962年の映画『アラビアのロレンス』をイメージした作品。パワフルでタイトなサウンドだ。今のギターはここでも炸裂。曲後、PANTAと今が当時を思い返しながらのトーク。「昔めっちゃ生意気でさ。(PANTAの事)大嫌いだったんだよ(会場は爆笑)」。PANTAは今の音楽業界での存在を大いに称える。ここで彼はオフ…。

7曲目は「北回帰線」、ミディアム・アップなポップなサウンド、コーラスや掛け声やハンド・クラップが入る。紛争により塗り替えられる地図、そして難民として故郷を追い出された人々を歌っている。

そのまま菊池のヘヴィーなギターで始まる「極楽蝶」。副題は“マーク・ボランに捧ぐ”。頭脳警察がPANTAとTOSHIの二人になってしまった時、ティラノザウルス・レックスと同じ編成となったが、このまま活動を続けようと決意。後にグラム・ロック・イースターやT・REXトリビュートなどに参加。PANTAがマーク・ボランを大好きなことは何度も聞いた…。

アルバム収録8曲がここでフィニッシュ。勿論アンコール・パート。

今が再びジョインし、ここで平井/GTRと浜田/DSが登場し、場内がより熱くなる。まずは「TKO NIGHT LIGHT」。



今と平井のギター・バトルが注目所のパワフルな展開。アルバム未収録ナンバーだが当時のライヴで登場していた。ライヴ・アルバム『TKO NIGHT LIGHT』『PANTA & HAL LIVE!1980.11.2』で聴ける。


▲LP『TKO NIGHT LIGHT』 from Kazuo's Collection


▲CD『PANTA & HAL LIVE!1980.11.2』 from Kazuo's Collection

ファースト・セットのファイナルは「ステファンの6つ子」。PANTAの母親が勤めていた病院に入院してきた少年に捧げた曲。慶一や上野も含め全員でのパフォーマンス。このロッカ・バラードをPANTAは感動的に歌い上げる。アルバム『1980X』からのシングル・カット「ルイーズ」のB面でアルバム未収録。栗本薫はこの楽曲にインスパイアされ「ステファンの六つ子」という短編小説を著した。



*****

<セカンド・セット>



セカンド・セットは『1980X』LIVE。テーマは「ツァラトゥストラはかく語りき~HAL9000」、PANTAがメンバーを引き連れ登場。菊池、中山、西田、岩崎、柏倉、そして上野。オープニングの「トゥ・シューズ」はリズミックなタッチのナンバー。


▲LP『1980X』 from Kazuo's Collection

そしてPANTAのトーキング調のイントロで入っていくエキサイティングなアップ・テンポな「モータードライブ」。パワフルな叫び、シャウトでPANTAはまさに全開。カメラで監視と彼ならではのメッセージが込められている。アルバムでは曲最後にカメラのシャッター音(モータードライブ)で終わる。ここはジャケット撮影した鋤田正義だ。



そして平井/GTRを呼び込んでの「臨時ニュース」。ミディアム・アップのこれまたハードなサウンドだ。

続くヒート・アップしていく演奏が「Audi80」。ラストの♪強風波浪注意報♪パートに岩崎もコーラス。もう一度記しておこう、PANTAライヴに女性コーラスが入ることは珍しい。曲後PANTAと平井でトーク、「楽しいネ!」(平井)。



平井がアウトして今度はこのステージのデレクション担当の鈴木慶一が登場。「オートバイ」、彼の作詞・作曲である。場内は幻想的ムードをフィーチャーし、セカンド・ヴァースを慶一が歌う。このナンバーを歌うのは93年のPANTAと鈴木慶一“P.K.O PANTA 慶一 オーガ二ゼイション”以来かもしれない。慶一いわく、この曲のイメージは映画「あの胸にもう一度」のアラン・ドロンとマリアンヌ・フェイスフル。PANTA & 慶一のトーク・コーナーでも大いに盛り上がる。ケラとのユニットのノーライセンス、アカデミー賞受賞。そして、頭脳警察はスポーツだったけどPANTA & HALは音楽的要素を少し入れない!(当時の浜田発言から)そして今回はまさにジェネレーションを超え三つの形態がひとつに纏まりPANTA & HAL EXTENDESが実現したと慶一が説明する。これぞ二人のロック力であり、音楽魂だ。



慶一がステージからアウト。今度はアルバムからのシングル・カット・ナンバー「ルイーズ」。♪Hey Hey Hey ルイーズ♪で観客は拳をあげて盛り上がる。世界初の試験管ベイビー、イギリス人のルイーズ・ブラウンを題材にした楽曲。今年は彼女の誕生40年という事で来日し講演もしている。


▲シングル「ルイーズ/ステファンの6つ子」 from Kazuo's Collection

「トリックスター」でも前曲同様に菊池のギターを大きくフィーチャー。ミディアム・テンポのパワフルなナンバーだ。

そしてPANTAのカウント“1-2-3-4”から「キック・ザ・シティ」。ギターの菊池は長きに亘ってPANTAをサポートしているが、このナンバーでそんな二人の良好な関係性をしっかりと感じさせる。そう、都会には優しさはいらない!

「IDカード」は柏倉のスティック・カウントでカット・イン、エキサイティングなドラムで始まる。♪IDカード No,2525♪はPANTAの誕生日から、つまり昭和25年2月5日だ。重厚なロック・サウンドがBLTを包囲する。

そして10曲目「ナイフ」で浜田がジョインしてツイン・ドラムとなる。新宿をイメージしての歌詞、タカノ前からアルタ方向を眺めた風景とか。♪あふれ出した人…♪の語りパートは浜田が担当した。エンディングでメンバーが一人、一人と去っていき最後はPANTAだけに。

そしてアンコールは再び「TKO NIGHT LIGHT」。『1980X』には未参加の今もステージに立った。彼と平井のギターがフル・ヴォルームだ。ステージ後方のカーテンがオープンしタイトル通りのライトアップした東京の夜景が演奏を盛り上げる、素晴らしい演出だ。



ここで再びメンバー紹介。亡くなっているメンバー村上元二、中谷宏道、石田徹も…。ステージ横に写真と花が飾られていた。

アンコール2曲目は「ステファンの6つ子」。この感動的なバラードで平井のギターが光る。

そしてフィナーレは全員がステージに登場しての「マラッカ」。4人による圧巻のギター・ソロが続き、客席は総立ちで盛り上がる。そんな動きに促されPANTAも久々にスタンディング・シャウトだ。



僕にはこの時の実に嬉しそうなPANTAの笑顔がとても印象的に映った。



PANTA & HALの感動的LIVEだった!!



Special thanks to KAZUO WATANABE

写真:ファースト・セット Pic.by Masanori Naruse
セカンド・セット  Pic.by Shiggy Yoshida

☆☆☆☆☆

【INFO インフォ】
☆GSフェスティバル2018
1960年代後半ジャパニーズ・ミュージック・シーンを圧倒したグループ・サウンズ(GS)は今でも多くの音楽ファンの注目の的だ。当時パフォーマーとして多くの声援を受けた多くのアーティストたちは今でも健在。つい先ごろそんな彼らのニュー・レコーディングによるアルバムがファンの前に登場した。『Get Back GS~復活グループ・サウンズ2018~』(OCTET RECORDS/YZOC-5039 )。プロデュースは大野良治(アウト・キャスト)。


▲提供:OCTET RECORDS

ゴキゲンなGS最新レコーディング13曲が網羅されている。
1.君に会いたい 歌:沖津久幸/GTR(ザ・ジャガーズ)
2.好きさ好きさ好きさ 歌:ポール岡田&越川ヒロシ/GTR(ザ・カーナビーツ)
3.君なき世界 歌:成田賢(ザ・ビーバーズ)
4.エミー・マイ・エミー 歌:橘洋介(蛎崎広柾)(ザ・ボルテイジ)
5.太陽野郎 歌:大石吾朗(バニーズ)
6.赤毛のメリー 歌:北久保誠/BS(ザ・ガリバーズ)
7.メランコリー東京 歌:湯村寿昭(ザ・ブルーインパルス)
8.イカルスの星歌:高宮雄次&ヘッケル田島/DS(ザ・ラヴ)
9.ノー・ノー・ボーイ 加藤充/BS(ザ・スパイダース)歌:ヘッケル田島
10.素晴らしい愛の世界 歌:クリス・ソラーノ(デ・スーナーズ)
11.ラスト・チャンス 大谷健(橋本健)/BS & 和田ジョージ/DS(ザ・フラワーズ)歌:瀬名香月
12.ユア・ベイビー 歌:岡本”クズ坊”和雄/GTR &石橋志郎/BS(ブルー・ジーンズ)
13.浜辺へ行こう 歌:大口優治/GTR(ジ・アストロジェット)

そして今年の12月にまたまた開催される【GSフェスティバル2018】。アルバム参加アーティストを中心に18グループ、23名のGSオリジナル・メンバーが集結するのだ。あの時代をリアル・タイム駆け抜けた往年のファンは勿論、若いGS研究者はこれまた終結なのだ。出演は以下の通り(順不同 諸事情により若干の変更があることをご承知おきください)

●三原綱木 ジャッキー吉川とブルーコメッツ
●加橋かつみ ザ・タイガース小松久 ヴィレッジ・シンガーズ
●大石吾朗 西村協 バニーズ/ブルー・ジーンズ
●瀬川洋 ザ・ダイナマイツ
●ミッキー吉野 ザ・ゴールデン・カップス
●大口優治 ジ・アストロジェット
●クリス・ソラーノ デ・スーナーズ
●沖津久幸 ザ・ジャガーズ
●ポール岡田 越川ヒロシ ザ・カーナビーツ
●成田賢 ザ・ビーバーズ
●加藤カッペちゃん充 ザ・スパイダース
●岡本和雄(クズ坊) 石橋志郎 ブルー・ジーンズ
●高宮雄次 ヘッケル田島 ザ・ラヴ
●湯村寿昭 ザ・ブルーインパルス
●北久保誠 ザ・ガリバーズ
●大谷健(橋本健) 和田ジョージ ザ・フラワーズ
●橘洋介(蛎崎広柾) ザ・ボルテイジ
●大野良治 アウト・キャスト
日時:2018年12月14日(金)17時開場
17時45分開演
会場:大井町きゅりあん小ホール
http://www.octet-records.com/event.html

☆MIHO FUKUHARA
~Something Beautiful Tour 2018〜


▲提供:Blue Note TOKYO

福原美穂がシーンに登場して早くも10年。ファースト・アルバム『RAINBOW』が大ブレイク、アメリカでの活動も大いに話題なった。よりコンテンポラリーなR&Bを聴かせる彼女の“歌”は多くのファンを魅了。あの自由に歌い上げるスタイルにはドラマを感じる。夏のブルーイpresentsシトラス・サン@Blue Note TOKYOでのステージもとっても素敵だった。この12月のクラブ・ツアーでの選曲、どんなテイストでのステージ構成か今からとっても楽しみだ。5人のバンドを率いての登場で、2年前のアルバム『Something New』でその名を発見できるYANCYがピアノ/キーボードだ。


▲提供:YANCY

*2018年12月10日 Motion Blue YOKOHAMA
開場18:30  開演20:00
http://www.motionblue.co.jp/artists/fukuhara-miho/

*2018年12月18日 NAGOYA Blue Note
ファースト・ステージ 開場17:30  開演18:30
セカンド・ステージ  開場20:30  開演21:30
https://www.nagoya-bluenote.com/schedule/201812.html

*2018年12月19日 Billboard Live OSAKA
ファースト・ステージ 開場17:30  開演18:30
セカンド・ステージ  開場20:30  開演21:30
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=11266&shop=2

*2018年12月26日 Blue Note TOKYO
ファースト・ステージ 開場17:30  開演18:30
セカンド・ステージ  開場20:20  開演21:00
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/miho-fukuhara/

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