【連載】建物語り by うらら(Salley)第六回<おしゃれの街のヴィンテージマンション>

twitterツイート


■昭和39年に建てられたヴィンテージマンション
■らせん階段のギザギザさえ美しい

10月のツアーが終わり、しばらく自宅での作業が続いた。何かを生み出す作業というのは本当にきつい。のっているときはいいが、突然行き詰まったかと思えば何日もそこから進めなくなったりする。自分の中から色々なものを絞りだし形にしてゆく毎日。ときどき友人と会ったりしながら頭の中の空気を入れ替えていくものの、それだけでは追いつかなくなってゆく。

そんな11月のある日、建築好き仲間から「都内でさくっと見に行ける建物を見に行こう」というお誘いがきた。家で頭を抱え込んでいても何も浮かばないのなら、自分の心を動かす美しいものを見に行くのはとても大事なことである。そう、たとえ締切が迫っていようともだ。

と、いうわけで、11月も後半に差し掛かったある晴れた日、私は原宿へと繰りだしたのである。

明治神宮前、原宿、表参道。このエリアは私にとって服やメイク用品を買うところ、また行きつけの美容室などもある「自分がおしゃれをするための街」である。しかしふと顔をあげて歩いてみると、なんともおもしろい建物が新旧問わずたくさん並んでいるのである。考えてみると、一風変わった建築がこんなにも集まっている街と言うのは日本だと東京だけなのではないかと思う。表参道を中心に広がるあのお洒落エリアは、私には街自体が作品のように感じられる。小学生のころ、まだ自分が「建築が好きだ」ということに気づいていなかった時代に、表参道に並ぶ同潤会青山アパート(当時は雑貨屋やギャラリーなどが入っていたと思う)を見て「東京は街自体がこんなにもかっこええんか!」と感動したのを今も覚えているし、現在は同じ場所に、安藤忠雄設計の表参道ヒルズが建っていたりする。余談だが表参道ヒルズは外見はもちろん中の吹き抜けやスパイラルスロープが胸をワクワクさせるのでぜひ中を見てほしい。

話が逸れてしまったが、とにかく、都心というのは昔から最新技術や最先端デザインが集まってくる為、「当時の最新建築」が「ヴィンテージ」と名を変えて今なお残っていたりするのである。

今回原宿エリアに向かったのは、「都内で気になる建物」といって真っ先に頭に浮かんだのがこちらだったからだ。


原宿から北参道方面に明治通りを歩いてゆくと、通り沿いに現れる「ビラ・ビアンカ」である。こちらは昭和39年に建てられたヴィンテージマンション。というような情報は今回行くにあたって調べたのだが、存在を知ったのはSalleyの使っているレコーディングスタジオがこの近くにあったからだ。前を通りがかるたびに見惚れていたのだが、なにぶんレコーディング終わりの遅い時間に見ていたので、昼間にじっくりとみるのは今回が初めてである。

私の好きな、「白っぽい四角がいっぱーい」の建物。当時も相当話題になったというこのマンションは、50年以上経った今でも十分に人を引き付ける魅力をもっている。とにかく今回も「好き!」と思ってとった写真をのせていきたい。


先ほどのものより少し右からとった写真。一つ一つの部屋をブロックのように積み上げたような建物である。レゴっぽい。


左の正面から見るとこんな感じである。部屋を縦にまっすぐ積まずに、一階ずつジグザグとずらして積んである。


明治通りからマンション沿いに路地を入ると、らせん階段も見えてきた。それより奥を見ると、明治通りに面していない方もちゃんと同じような部屋の積み方がなされているのがわかる。あとらせん階段の上にあるあの格子のとこ何。何かわからないけどカッコイイ。


エントランスはこうなっていた。右下の「滑りやすいので注意」的看板の辺りを見るとわかるが、突然和のテイストの石デザイン。作られたのは東京オリンピックの年であるし、どこかに日本らしさを、と取り入れたのかもしれない。


5つのガラス窓のあるこの筒状の部分は、水回りでもあるのだろうか。内側から見てみたい。その上の梁がわざわざクロスして飛び出しているところも気持ちいい。建築に詳しい方に聞きたい、これクロスして飛び出させる必要があったのかどうか。いちいちかっこいいのである。



どぉーん!

見上げたくなる建築である。らせん階段のギザギザさえ美しい。窓も、階段も、廊下も、手摺も、梁も、とにかく建物を構成するすべての線がごちゃごちゃと整っていて、この表現がいつも読み手に伝わるかわからないのだが、私の感覚の中では、「気持ちいい!!!」建物なのである。

さて、このビラ・ビランカは実はシリーズになっており、せっかくなので他のビラシリーズも見に行ってみたのだが、この続きは次回にしたいと思う。ぜひ楽しみにしていていただきたい。

■私は昭和の世を知らないが、
■歴史のある建物がそれを伝えてくれる

そしてもう一つ楽しみにしていていただきたいものがある。それはSalleyのクリスマスアコースティックワンマンライブである。

Salley Live 2018 Winter「Happy Salley Christmas」

2018年12月22日(土)
渋谷7th FLOOR
Day 13:00 OPEN / 13:30 START
Night 17:30 OPEN / 18:00 START
ADV ¥3,800 ※ドリンク代別途必要

昼と夜の二回公演があり、椅子に座ってゆったりとお楽しみいただけるアコースティックライブとなっている。また会場の7th floorは名前の通り7階にあり、入口横のテラスからは渋谷の裏側、という感じの、独特のごちゃごちゃした建物風景が見られるのでそちらもぜひ見ていただきたい。

チケットはこちらから購入できる。

今回の記事が2018年最後の「建物語り」となった。今年の夏前から連載を始めさせていただき、積極的に建築を見に行くようになったことで、より建築への愛が深まってきている気がする。来年2019年には元号が変わる。私は昭和の世を知らないが、歴史のある建物がそれを伝えてくれたりする。しかし、2020年東京オリンピックの開催による再開発や、高度経済成長期に建てられた建築物の建て替えなどもどんどん進んでいくだろう。時代にあった建築、そして安心・安全に住める、過ごせるという何より大切なことを守る為に街の風景も変わっていかざるを得ないと思う。

だからこそ、こういう風に今ある建物や街の景色を残していける連載をさせていただけることが本当にありがたいと感じている。来年も様々な建物を紹介していきたいので、ぜひお付き合いいただきたい。

それでは皆様、よいお年を。

Salley うらら

◆Salley オフィシャルサイト
◆Salley YouTube 「柳の輪〜Salley Channel」
◆【連載】建物語り by うらら(Salley)
twitterこの記事をツイート

この記事の関連情報

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス