【ライヴレポート】感覚ピエロ、<ありあまるフィクション>東京公演で「1年後、答え合わせをしてください」

ツイート

感覚ピエロが12月7日、Zepp DiverCity TOKYOにて<ありあまるフィクション ONE-MAN TOUR 2018 / AW ~Road to MAKUHARI~>のセミファイナル公演を開催した。

◆感覚ピエロ 画像

ステージ前に降ろされた紗幕にアブストラクトな映像が次々に投写されていくオープニングなど、演出面でのスケールアップは各所にあったものの、ライヴ自体の軸にあったのは間違いなく“ロックバンドとしての地肩をいかに強くするのか”という意志だった。<ありあまるフィクション ONE-MAN TOUR 2018 / AW ~Road to MAKUHARI~>と冠されたツアーではあったが、シングル「ありあまるフィクション」を引っ提げたツアーと言うよりは、特に「ありあまるフェイク」の直情的なサウンドと歯に衣着せぬ物言いに表れていたアグレッシヴなバンドスタイルをそのまま血肉にするためのツアーだったと言えるだろう。



たとえば、これまでなら女性ダンサーを招いて思い切りパーティーチューンとして放っていた楽曲も、4人だけで。これまでなら振り付けで彩っていた楽曲もシンプルに真っ向勝負。限りなくフックを削ぎ、ショーではなくライヴとしての力をどう宿していくのか? そんな課題と自問を己らに投げかけ続けるようなパフォーマンスだった。

先立って発表されていた2019年秋の幕張メッセ公演だが、2018年末のツアーに早くも <Road to MAKUHARI>と冠していたのも、かつてなく大きなハードルとして設定した幕張公演に向けて、必要なピースをバンドとして明確にしたことの表れだと言えるし、その過渡期を明確に刻むツアーだったとも言えるだろう。




まず1曲目「ありあまるフェイク」の冒頭から明らかな変化を感じさせたのは、より一層ボトムを太く強く際立たせるようになったサウンド面だ。滝口と西尾の動きが明瞭に飛んでくるようになったことで、楽曲そのものが強烈なエグみとパンチを誇るようになっていたのである。装飾を削ぎ落としたライヴと、体幹をタフに鍛え上げたサウンド。音の要素にしろライヴのエンタテインメント性にしろ過剰なほどの足し算を繰り返してきたバンドが今一度自分達の筋肉だけでどこまでいけるのか、感覚ピエロはそういうトライの時期にいることが明確に伝わってきた。

感覚ピエロは、音楽としての定義づけを徹底的に拒んできたバンドである。完全自主の活動、フィジカルの作品ではなくミュージックビデオをシングルと機能させていく現代的な手法、完全自主のまま「拝啓、いつかの君へ」が日本テレビ系ドラマの主題歌に起用された話題性──“〇〇傘下”に身を置かないことでスピーディな活動と自由を守ること、それ自体が自分達の表現なのだと示し続けるためには、音楽的なイメージの固定も邪魔だったのではないかと思う。実際、「拝啓、いつかの君へ」のように衒いないメッセージソングが世間に浸透しても飄々とエロソングを投下してみたり、真ん中がないことが真ん中とでも言いたくなるような音楽スタンスを掲げてきたのが彼らだ。





しかし、上述したようにサウンド面でのビルドアップがなされたのに伴って、たとえば「ワンナイト・ラヴゲーム」や「A BANANA」のように、前回のツアーでは女性ダンサーをステージに招いてパーティータイムへとなだれ込んでいたセクションも演出はゼロ。アンコールで披露された「O・P・P・A・I」すらもラストまで一直線に駆け抜けた。エロティックな欲望をぶち撒けた歌で熱狂を作り続けてきた楽曲達だが、その内容どうこうは関係ないとでも言いたくなるほどソリッドなサウンドだけに耳がいくようになったのが面白い変化だ。もちろんオーディエンスとの距離をグッと縮める機能を果たす楽曲達ではあるのだが、それ以上に4人の汗臭さと人間臭さだけをどんと置いていくバンドパフォーマンスに変貌している。次のセクションはパズルのように歌詞が投写された「変幻」などシリアスな楽曲で構成されていたが、ブロックごとに楽曲のタイプが整理されて披露されていくライヴというよりも、ライヴを通じてビシッと筋が通るようになった。

サウンド面のソリッドさに加え、何よりも4人がよりストロングスタイルなライヴを求め、それを軸にできたことが大きいのだと思う。本編後半に「ハルカミライ」、そして最初期のミュージックビデオ曲である「メリーさん」を立て続けに披露したことも、今一度“前に向かうための初期衝動”を掴まんとしているバンドの今を象徴していた。これまではFunに振り切っていたセクションでも演出や装飾を削いでいくことには、勇気も必要だっただろう。しかし結成から5年を経た今必要なものは何なのか、バンドとしての力とは何なのか。それに向き合った痕がくっきりと映っているライヴだった。





「俺はこの5年で、平気で人にウソをつけるようになった。平気な顔で思ってもいないことを言うのが得意になった。だけどそれは大人になるということじゃなくて、ただ自分を押し殺してるだけ。せめてステージの上ではもうウソをつくのはやめようと思います。だから来年秋の幕張メッセのステージで、俺は『幕張メッセへようこそ、俺たちが日本最強のバンド感覚ピエロです』って高らかに宣言したい。この1年をかけて、俺たちが本当に最強のバンドなのかを見守っていてください。それで、1年後、答え合わせをしてください」──横山直弘 (Vo / G)

これまでにはなかった、バンドとしての強さを掲げる言葉を放った横山。「ありあまるフェイク」では“p.s. -だからはじめから全部嘘だって言ってんじゃん-”と歌われていたが、まさにこれまでを一新して新たなスタートを切らんとする瞬間だけを刻み続けた全23曲。その今を象徴するようにして披露された新曲「落書きペイジ」は、かつてないほど王道の疾走ギターロックだった。自在に変幻し続けてきたバンドが、いよいよ素っ裸の勝負を仕掛ける。そのファンファーレを観たような気持ちになった。


取材・文◎矢島大地
撮影◎ヤマダマサヒロ

◆感覚ピエロ<ありあまるフィクション>インタビューページへ

■<ありあまるフィクション ONE-MAN TOUR 2018 / AW ~Road to MAKUHARI~>12月7日@Zepp DiverCity TOKYOセットリスト

01. ありあまるフェイク
02. LET IT DIE -Wake up-
03. Japanese-Pop-Music
04. She say O.K.
05. LOVE GENERAL
06. ワンナイト・ラヴゲーム
07. A BANANA
08. CRAZY GIRL
09. 一瞬も一生もすべて私なんだ
10. 夜のスピード
11. 変幻
12. 思い出して
13. 無い ナイ 7i
14. CHALLENGER
15. A-Han!!
16. 拝啓、いつかの君へ
17. ハルカミライ
18. メリーさん
19. Just to tell you once again
encore
20. さよなら人色
21. 落書きペイジ
22. O・P・P・A・I
23. 疑問疑答



■<感覚ピエロ 5-6th anniversary『LIVE - RATION 2019』〜奮い立たせてなんぼでしょ~>

2019年05月08日(水)大阪 梅田 CLUB QUATTRO ※ワンマン
2019年05月10日(金) 東京 渋谷 CLUB QUATTRO ※ワンマン
2019年05月14日(火) 神奈川 横浜 BAYSIS
2019年05月15日(水) 埼玉 HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2019年05月17日(金) 愛知 名古屋 CLUB QUATTRO ※ワンマン
2019年05月23日(木) 北海道 PENNY LANE24
2019年05月28日(火) 茨城 水戸LIGHT HOUSE
2019年05月30日(木) 栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
2019年06月01日(土) 宮城 仙台 CLUB JUNK BOX
2019年06月07日(金) 京都 MUSE
2019年06月08日(土) 奈良 NEVER LAND
2019年06月14日(金) 滋賀 U★STONE
2019年06月15日(土) 兵庫 music zoo KOBE 太陽と虎
2019年06月16日(日) 香川 高松 DIME
2019年06月26日(水) 熊本 B.9 V2
2019年06月27日(木) 福岡 DRUM Be-1
2019年06月29日(土) 岐阜 CLUB ROOTS
2019年06月30日(日) 三重 松阪 M'AXA
2019年07月05日(金) 岡山 CRAZYMAMA 2nd room
2019年07月07日(日) 広島 CLUB QUATTRO
2019年07月13日(土) 山梨 甲府 KAZOO HALL
2019年07月14日(日) 東京 マイナビBLITZ赤坂
2019年07月15日(月・祝) 群馬 高崎 club FLEEZ
2019年07月19日(金) 愛知 DIAMOND HALL
2019年07月20日(土) 大阪 BIGCAT
▼チケット
東名阪公演:スタンディング / 2F指定席&スタンディング(マイナビBLITZ赤坂のみ) 4,500円(税込)
対バン公演:3,900円(税込)
一般発売:2019年02月23日(土)10:00~
※スタンディングは整理番号順の入場
※別途ドリンク代必要
※小学生以上有料。未就学児童は入場不可。

■<感覚ピエロ 5-6th anniversary『LIVE - RATION 2019 FINAL』〜幕張ヴァージンはあなたのもの~>

2019年11月04日(月・祝) 幕張メッセ イベントホール
開場 17:30 / 開演 18:30
全席指定 ¥5,800円(税込)
※年齢制限:小学生以上有料。未就学児童は入場不可
(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

この記事をツイート

この記事の関連情報