【詳細レポート】L'Arc-en-Ciel、<L'ArChristmas>初日「すでにクリスマスの奇跡が起こっている」

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ひと足早く訪れた極上のクリスマスナイトだった。開催決定の第一報から4ヵ月、どれだけ待ち侘びてきたことだろうか。12月19日、東京ドーム。いよいよ初日を迎えた<LIVE 2018 L'ArChristmas>は、前回の<25th L'Anniversary LIVE>から実に1年8ヵ月ぶりとなるステージだ。

◆L'Arc-en-Ciel 画像

会場である東京ドームの入場口付近にはクリスマスツリーが設えられて、来場者のテンションをひときわ昂らせるかのよう。そうして場内に足を踏み入れた瞬間の膨大な熱気。L'Arc-en-Cielの東京ドームに来た、そんな実感が込み上げる。ステージを見やれば、中央には真っ白な大木と無数の巨大な氷の結晶のオブジェが鎮座。ステージ両サイドには巨大なスクリーンとウィング席近くまで届きそうなくらいに長い通路、さらにアリーナ席の中ほどにはメインステージからまっすぐに伸びたランウェイとセンターステージが設置されている。それらのステージセットを眺めているだけでも縦横無尽なステージングが次々に想起されて否が応でも期待は募るばかりだった。


開演予定の18時を20分ほど過ぎた頃、ついに客電が落ちた。スクリーンいっぱいに氷の世界が展開する。真っ白なトナカイが駆け抜けた先には氷の結晶に閉じ込められて眠るメンバーの姿が。次々に砕ける結晶、目覚める4人──映像によるめくるめく演出が掻き消えた次の刹那、hydeの歌声が先陣を切って迸った。「winter fall」だ。途端に爆発した5万5千人分の凄まじい歓声を、追いかけて溢れ出したバンドサウンドが瞬く間に包み込む。kenの指先が紡ぐ端正な旋律、tetsuyaの滑らかで芯の通ったベースライン、yukihiroのリズム運びは今回もブレることなくジャストかつタイト。そうした盤石のアンサンブルに支えられ、hydeものっけから表情豊かにヴォーカルを響かせる。観たかったL'Arc-en-Cielが今、目の前にいる。そんな客席の興奮が熱波となってステージへと押し寄せていくのがリアルに見えるかのようだ。


続く「Caress of Venus」の軽快なイントロと同時に7色のレーザー光線が場内に飛び交った。「東京!」とhydeの雄叫び一発、熱狂のギアがオーバートップに入る。さっそく持ち場を離れ、下手側の通路を軽やかに進んでいくtetsuya。kenはその場でぴょんぴょんと時折身を躍らせ、yukihiroもいっそう躍動的にスティックを操る。次の「snow drop」では事前にオーディエンスに配布された“L'edバンド (無線機能付きリストバンド型ライト)”が一斉に点灯、客席一面のブルーがさらなる一体感を生んだ。

「みなさん、こんばんは。L'Arc-en-Cielです! どうですか、これ。4人揃ってるよ。これはすでにクリスマスの奇跡が起こっているということではないのか。平成最後のL'Arc-en-Cielを最後まで一緒に楽しもうぜ。こんな師走の平日にいらっしゃるみなさんはかなりのマニアとお見受けしました。今日はね、久しぶりの曲を用意させてもらいましたので、最後まで楽しんでください、東京!」──hyde


オーケストラサウンドにkenが抱えたアコースティックギターの音色が溶け合った「BLESS」。その雄大にして目映い世界観から一転、「接吻」では打って変わってダークな色気を芬々と匂い立たせた。それまでかぶっていたファーの帽子を取り、サングラスをかけたhydeの姿も妖しさにいっそう拍車をかけるかのようだ。切実な痛みが迫る「fate」から美しくもすべてを焼き尽くすほどの激情を孕んだ「Dearest Love」へのシームレスな流れはドラマティックのひと言。グッと光量を落として音に宿るのっぴきならなさを際立たせた前者と、ステージに噴き上がる火柱と炎の映像で燃え盛るステージ、加えてL'edバンドの赤いライトで激しさを体現した後者のコントラストに息を呑まずにいられない。

「MY HEART DRAWS A DREAM」の朗々とした希望感、東京ドームを震わせるかのごとき“♪夢を描くよ”の大合唱も、チアフルな「Hurry Xmas」も、どれをとってもL'Arc-en-Ciel。彼らが生み出してきた楽曲たちがいかにバラエティに富み、それでいて唯一無二のオリジナリティを誇っているのかを改めて思い知らされる。


センターステージに移って披露されたクリスマスアレンジの「未来世界」がなんと沁みたことだろう。hydeの歌と、ken & tetsuyaのコーラスの3声が織りなす慈愛のメロディ、バンドサウンドが加わってよりふくよかに広がっていく多幸感。tetsuyaが弾くアップライトベースの音色が実に温かくて印象的だった。

この日いちばんに心震えたのは次の「静かの海で」だ。スクリーンには宇宙が映し出され、L'edバンドの光で再び場内が青に染まる。そして、深淵からそっと湧いて滲むようにhydeの独唱。じわりと加わったギターとベースに続いて、ドン!とyukihiroが踏み抜くキックの音が聴く者のみぞおちを突くと同時に壮大な物語が場内を満たした。“♪feel heavenly”と繰り返し歌うオーディエンスの声に包まれたサブステージは、ぽっかりと宇宙に漂う方舟、あるいは星の破片を想起させた。


4人全員がギターを手に、tetsuya、yukihiro、ken、hydeとヴォーカルをリレーした「trick」。センターステージからスライディングステージに乗ってメインステージへと演奏しながら戻り、4人が横一線に並んだ光景は観る者の胸を確実に熱くさせただろう。トーチに揺れる炎も艶かしい「X X X」、「Link」では銀テープが炸裂し、カラフルな巨大なバルーンがいくつもアリーナ席を跳ねては割れ、小さな風船を散らして客席を沸かせる。

今回のセットリストは1年8ヵ月前のライヴで募ったリクエストに応え切れなかったため、当時の上位曲から冬の曲を中心に選んだとhyde。「“なんや、この曲?”っていう曲もあったかもしれないですね。今日、マニアが多いからほとんど大丈夫だと思いますけど。よう集まったわ、こんなに」と相好を崩す彼に客席から「ありがとう!」と野太い声が届く。

「いや、こちらこそ。次の曲はね、アマチュア時代からやってる曲でですね、この曲案外クリスマスっぽいなと思って選びました」──hyde

告げられたタイトルに悲鳴が起こる。この日、最初のクライマックスは「White Feathers」で訪れた。彼らの2ndアルバム『Tierra』のラストを飾るこの曲が孕む普遍性、すなわち空と大地の果てなさにも通じるダイナミックな音像にL'Arc-en-Cielというバンドのそら恐ろしさがある。25年以上も前からこの曲が奏でられていたということ、今なお朽ちることなくこうして東京ドームの大空間を奮わせているという事実。雪のごとく舞い降る白い羽の、どこまでも儚く、けれどこの上なくブライトな輝きにただただ目をみはるしかない。


「こんばんは。平日にみなさん、ありがとうございます。L'Arc-en-Cielとしては初めてのクリスマスライヴらしいんですよね。初めてって感じせぇへんよね。“やってなかったっけ?”って」──tetsuya

tetsuyaの言葉に、これだけのキャリアがあってもまだ初めてが残っているのだとやけに嬉しい気持ちになる。

「みんなニコニコしてるからね、なんかこっちがプレゼントをもらったような気分。ということは、みなさんもサンタクロースになれたってことですね。こんなキラキラした素敵なイベントだから楽しまないともったいないじゃん? だってほら、クリスマスのおかげで今日、僕たちは会えたわけでしょ?」──hyde


hydeがそう語っているとスタンド席にL'edバンドの光で“L'ArChristmas”の文字が浮かび上がるという粋な演出も。幸せな初日のフィナーレは「雪の足跡」だった。この日を振り返れば、その曲ごとにライティングや映像を駆使した演出はふんだんになされていたものの、我々を魅了した枢軸はやはり4人による演奏、つまりL'Arc-en-Cielの音楽そのものだったのだとつくづく思う。そもそもが優れた楽曲と、今の彼らだからこそなし得たアレンジとそれを表現する力、何よりこの4人の間にしか発生し得ない磁場が、今日という日をスペシャルにした。

特に今日はメンバーのリラックスした表情が随所に観られた日でもあった気がする。前述したやり取りも然り、曲中にhydeがtetsuyaの肩を抱く場面も一度ではなかったし、口には出さずともお互いに信頼し合っているからこその、このアンサンブルなのだとことあるごとに感じられた。だからこそ。たとえ1年8ヵ月ぶりでも、それ以上だったとしても、きっとまた性懲りもなく我々は彼らを待ち望むのだろう。

「メリークリスマス!」

最後の音が止み、4人がステージを降りた今、早くも明日2日目が待ち遠しい。

取材・文◎本間夕子
撮影◎今元秀明/岡田貴之/緒車寿一/加藤千絵/田中和子

■<L’Arc-en-Ciel「LIVE 2018 L’ArChristmas」>12月19日(水)@東京ドームSETLIST

01. winter fall
02. Caress of Venus
03. snow drop
04. BLESS
05. 接吻
06. fate
07. Dearest Love
08. MY HEART DRAWS A DREAM
09. Hurry Xmas
10. Driver’s High
11. DIVE TO BLUE
12. 未来世界
13. 静かの海で
14. trick
15. X X X
16. Wings Flap
17. Link
18. White Feathers
19. Don’t be Afraid
20. twinkle, twinkle
20. I WISH
22. 雪の足跡

■<LIVE 2018 L'ArChristmas>密着ドキュメンタリー+ライヴ番組

▼WOWOW番組『L'Arc~en~Ciel LIVE 2018 L'ArChristmas』
2019年2月23日(土)よる8:00~ WOWOWプライム
https://www.wowow.co.jp/music/larc/

▼Paravi番組
2019年1月より3か月連続配信 ※詳細未定
https://www.paravi.jp/static/larc/

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