V系ライターに聞いた!2019年に注目したいV系バンド【2019年 新春企画】

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さまざまな音楽が生まれ続ける現代。“ヴィジュアル系”というひとつのシーンでも、毎年トレンドが移り変わっていく。世界的な音楽の流行がヴィジュアル系に影響を及ぼすこともあるし、YouTubeなどのツールが影響を与えてヴィジュアル系バンドがYouTuberを始めるといった現象もある。

そんな多様性な時代のヴィジュアル系シーンにおいて、2019年はどんなバンドに注目しておくべきか。それを知るためにBARKSではヴィジュアル系に詳しいライター陣に「2019年に注目したいV系バンド」というテーマで寄稿してもらった。

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▲Develop One’s Faculties(画像はオフィシャルサイトより)

V系シーンが衰退していると何年にも渡って言われてきているが、本当にそうだろうか。確かに全盛期に比べれば会場のキャパシティやCDの売り上げは下がっている。だからと言って、V系というジャンルそのものが消えたわけではない。年々増え続けるバンドを見れば分かるように、このシーンはまだまだ希望が持てるのだ。そこを踏まえ、2019年に活躍してくれるであろうバンドをいくつか挙げたいと思う。

まずはDevelop One’s Faculties(ディヴェロプ ワンス ファーカルティース)、略してDOF(ディーオーエフ)。以前から楽曲の良さに定評のある彼らだが、一際注目される出来事があった。それは2018年9月にZeppDiverCityで行われたイベント・ライヴでのこと。周りはライヴ百戦錬磨と言われるバンドで固められる中、若手枠という位置で彼らは出演したのだが、ギターヴォーカルのyuyaを始めメンバーの4人は物怖じすることなくしっかりと爪痕を残してきた。その為、ライヴが終わるとすぐにDOFの名前がトレンド入りし、V系ファンではないリスナーでさえも興味を持ったのだった。

DOFの他にも楽曲そのものが良いバンドはたくさんいる。BAROQUEとDaizyStripperはその代表格と言えるだろう。両者とも活動歴は長いが常に新鮮な音を提示してくれるのでファンを飽きさせない。それだけに、昔の方が良かった……という嘆きは彼らには当てはまらないし、“今を観ていたい”と思わせてくれるバンドでもある。また、男性ファンが1人でもライヴに行きやすいのが今挙げた3バンドの特徴だ。2019年4月にはDOFとDaizyStripperの2マンライヴが予定されている。また、DaizyStripperとBAROQUEのメンバーも以前から親交があるだけに面白い絡みを見せてくれる日が来ることを期待したい。

文◎水谷エリ

◆Develop One’s Faculties オフィシャルサイト

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▲0.1gの誤算(画像はオフィシャルサイトより)

いつの時代も、異端児はワクワクさせてくれる。中でも、個人的に注目しているヴィジュアルシーンの異端児は2組。「0.1gの誤算」と「まみれた」だ。

0.1gの誤算は、ヴォーカルの緑川裕宇が全作詞・作曲を手がけ、1曲の中でも展開多彩、さまざまな音楽要素で自由奔放に織り成しつつも歌心はしっかりあるという、楽曲の反則級な面白さが際立つ5人組。2月からは東京・Zepp DiverCityを最終地点とする全国ツアーが開催されるが、ライヴでのとんでもなく楽しい一体感にしても、一度味わったらやめられない。

▲まみれた

まみれたは、ヴォーカルの伐が負の感情を躊躇なく吐き出す歌詞や叫び、ラウドでパンクな尖りまくった音像があまりに刺激的な、人間の本性をあぶり出す4人組。ライヴにおいては伐のパフォーマンスは奇想天外&予測不能で、バンド史上最大規模のワンマンライヴとなる1月17日の東京・マイナビBLITZ赤坂公演にしても、ただでは済まないだろう。

0.1gの誤算とまみれた、それぞれの持つ独創性と中毒性は、2019年にますます開花していきそうな予感だ。

文◎杉江優花

◆0.1gの誤算 オフィシャルサイト
◆まみれた オフィシャルサイト

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▲キズ

キズは2017年の始動当初から“曲者”だ。正体を隠したままで「【誰】ニ【何】ヲ歌イタイノカヲ再確認サセテクダサイ」と告げる電話企画を行い、音楽そのものの意味を問いかけることから始まったバンド。“企画先行”という烙印を押されたこともあったかもしれないが、3回のワンマンライブのチケットを数秒でソールドさせることで外野を黙らせた。

ちなみに2018年9月にZepp Tokyoで行われたワンマンのタイトルは<さよなら>。そういえば、最初のシングルのタイトルも「おしまい」。なぜ終わりの香りが漂うのか。ライブでは「今しかないリアル」を見せ、曲と歌詞では心と頭を覚醒させる力があるのに。

そんなキズは2018年12月に5thシングル「0」を発表した……だけでは物足りなかったのか。「あなたは何故生まれ、何故幸せを求めるのでしょうか」と我々に究極の問いを突きつけた。さらにはこの問いの回答者を対象に「抽選で限定20名」のアコースティックライブを行うことを宣言している。現在のV系シーンに蔓延る、ホスピタリティーで繋がったバンドとファンの関係を断ち切っていく。

媚びないキズの未来は黒か白か。答えを求めても返ってくるのは『救われたい奴だけ付いてこい』という来夢(Vo)の言葉のみ。

文◎神谷敦彦

◆キズ オフィシャルサイト


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▲零[Hz]

2018年3月に始動する同時に、大きな注目を集めた零[Hz]。彼らの魅力としてまず挙げられるのが、音楽性の高さだ。“東京ミクスチャーロック”というコンセプトを掲げた彼らの楽曲はハードネスを基調としつつEDMやブラック・ミュージック、クラブ・ミュージックといった様々なジャンルの要素を採り入れていることがポイント。

’90年代に流行ったミクスチャーのリバイバルではなく、今の感覚を活かして“東京”というワードにふさわしい最先端感やスタイリッシュな雰囲気を纏わせる手腕が光っている。マニアックな音楽性でいながらキャッチーなメロディーやわかりやすい歌詞を活かして、間口の広い音楽に仕上げているのもさすがといえる。

実力派のメンバーが揃っていることや華やかさと“尖り”を併せ持ったヴィジュアル、パワフル&エモーショナルなライブなども要チェック。2019年の零[Hz]は、さらなるスケールアップを果たすに違いない。

文◎男性ライター(匿名)

◆零[Hz] オフィシャルサイト

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以上、ライター陣が2019年に注目するバンドを紹介した。もちろんここで挙げられたバンド以外にも動向が気になるバンドはたくさんいる。最近はいわゆるダークで過激な楽曲で攻める“黒い系”のバンドが減ってきていて、その代わりにPOIDOLやBabyKingdomなど明るくポップな印象の強いバンドが活躍の幅を広げているような傾向がある。

また、上述の0.1gの誤算やまみれたのような「何でもやってみる精神」を持つバンドが増えてきているのも特徴。様式美を貫くことよりも、派手で度肝を抜くようなパフォーマンスやSNS施策を行うバンドも増えてきているのだ。確かに“ヴィジュアル系”とは音楽のジャンルではないので、「何でもできる」というのがひとつの魅力だろう。だからこそヴィジュアル系シーンは面白い。

最後に2018年に公開されたDEZERTのインタビューより、個人的にとても気になった千秋(Vo)の言葉を抜粋。

──2000年代からのネオヴィジュアル系って、“穴の空いたダメージジーンズ”のイメージなんですよ。昔の人が見たら、“穴が空いてるんだから縫いなよ”ってなる。でも俺らは、製品としてダメージジーンズってあるから、当たり前にそれを履くでしょ。ヴィジュアル系もそうなっちゃったと思うんです。メイクして人と違うことをするのがヴィジュアル系のフォーマット、みたいな。だから、おもしろくないんですよ。先人でもあるX JAPANとかLUNA SEAとか、ちゃんとしたジーンズを履いてたと思うんです、そもそもの楽曲のクオリティが高い。そういう中で、“ちょっとダメージしてみよう”とか、それがカッコよかった。でも今は、最初からダメージジーンズがカッコいいってことになってるじゃないですか。

毎月のように新しいバンドが生まれている今のヴィジュアル系シーンにおいては、“カッコいい”が飽和状態でもある。サウンドにおいてもパフォーマンスにおいてもバンドのPR方法においても、もはや付け焼刃的に「“無理やり”人と違うことをする」だけでは注目を集めることもできないし、カッコいいバンドにはなれないのだろう。2019年に入り、これからのヴィジュアル系シーンでは「“本質的に”ロックな精神を持ったバンド」がより多くの人を魅了していくのだろうなと思う。2019年のヴィジュアル系シーンがどうなっていくか、楽しみに追い続けていきたい。

編集・文◎服部容子(BARKS)

※なお、BARKSではインディーズで活動中のバンドを招き、主催イベント<千歌繚乱>を主催している。これまでに延べ若手バンドを中心に100組以上が出演。2019年もヴィジュアル系バンドを応援していく。詳しくはコチラ

◆【BARKS新春企画】2019年を占う 最新音楽事情
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