【ライブレポート】<千歌繚乱vol.19>、25分間の表現者たち

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12月21日、渋谷REXにてBARKS主催ライブイベント<千歌繚乱vol.19>が開催された。

◆ライブ写真(79枚)

本イベントにはMEIDARA、TRNTY D:CODE、モンストロ、SAVAGE、REIGNの5バンドが出演。SAVAGEとREIGNが結成5年目、ほかはまだ結成2年に満たないという、若手ヴィジュアル系バンドに特化したイベントとなった。それだけに<千歌繚乱vol.19>も、最初から最後まで非常に熱気に満ちていた。この公演の模様を、当日のライブ写真とともに振り返ってみたい。


約1年前、始動したばかりの頃にも<千歌繚乱>へ出演してくれたMEIDARA。しかし当時はまだバンドとして完成されていなかったこともあり、ステージの出来、動員、いずれも本人たちにとって不本意な結果となったよう。そんな彼らは「リベンジ」を誓い、今回イベントのトッパーを務める。


結論から言うと、1年で特にyagami(Vo)の存在感が強くなったと感じた。鬼をテーマにしているMEIDARAだが、“演じている”感は一切ナシに、ステージに上がってきた瞬間からメンバーは“人と鬼の狭間”に見えた。そうして彼らの名刺代わりの一曲「鬼火」から、ステージをMEIDARA色に染め上げた。

MEIDARAの面白さは、ただの和風バンドではないところ。和をベースに楽曲を作るのではなく、あくまでサウンドのベースはメタル寄りのロック。そこに効果的に祭囃子など和風のメロディが使われているので、日本人の耳に馴染みやすい。特徴的なリズムで踊る「キソウテンガイ」、ホラー要素強めの「ノロイ」、雅さと華やかさを兼ね備えた「てんやわんや」など、楽曲の幅も広い。メッセージ性が強い「鬼の目にも」でライブを締めくくるまで、見ごたえのあるステージを展開していた。

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今回の出演バンドの中で異色なのは、TRNTY D:CODE。マニピュレーターがいるというメンバー構成もそうだが、サウンドも一般的に想像されるヴィジュアル系バンドとは全く違うミクスチャー・ラウドロック。ヴィジュアル系バンドを名乗りながらこのような楽曲で勝負をかけること自体が、固定概念への反骨心をむき出しているようで、とてもROCKだ。


都会的でエモさ抜群の1曲目「[HELL]hound.」は、そんな彼らを体現したような曲だった。このままハイセンスな楽曲でライブが進むのかと思いきや、2曲目「No .6」に突入したときには既に丐(Vo)がステージでシャウトしながらステージに倒れ込むほど、感情を全解放。丐が「今日イイ感じに感情昂ぶってるんで」とMCで言う通り、彼らはありのままをさらけ出すことを大切にしているのだ。それ故に、彼らにしかできない一期一会のステージが仕上がっていた。

TRNTY D:CODEが作った光景は、“よくある”ヴィジュアル系のライブではなかった。楽曲もエフェクトを効かせたボーカルやラップが面白く、自然に体が揺れてくるよう。お決まりのようなヘドバンや振り付けもない。ヴィジュアル系のライブをたくさん見てきたコアなファンたちも、この斬新さにきっと目を奪われただろう。そもそもヴィジュアル系とは音楽性を指す言葉ではないので、このようにジャンルレスなヴィジュアル系バンドが今後増えていくとシーンがより面白くなるだろうなと感じさせてくれた。

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続いては「嘘」をバンドコンセプトにしているモンストロ。ライブの始まりも「Liar」という声からで、この日もすべてコンセプト通りのセットリストで攻めた。それはステージが終わってからも「嘘」という言葉が耳にずっと残っていたほど、徹底したものだった。ここまでの2バンドは感情をさらけ出していたのに対し、モンストロは世界観たっぷりに自分たちのステージを繰り広げていたのも印象的。


特徴的だが言葉がしっかり伝わるラキ(Vo)の歌声とメロの良さの相乗効果で、どんどん彼らの世界に引き込まれていく。「焔」のサビの美しさに胸を打たれたかと思うと、「BLACK MONEY」では「くれてやる!」フロアに紙幣をバラまきながら人間のいやらしさをブラックジョーク的に表現。「WE ARE LIAR」では「浮気はしません」「明日からやる」など人間がよくつく嘘を観客と共に大合唱。モンストロは楽曲がとても良いが、それだけでは終わらせず遊び心を入れてくるところが興味深い。

そんなモンストロの特徴が一番顕著に現れているのが、ラストに披露された「ビッグマウス・マーチ」だ。曲名から連想されるキャラクターのテーマソングを大胆にもアレンジしたこの楽曲は、大言壮語を現実に変えていく気持ちが描かれている。「まずは口にすることが先」「ホントは震えちゃうほど怖い」でも「ビッグマウス やるかやられるかお前次第」という歌詞には、モンストロ自身の熱い思いが込められているのだろうし、聴く者にもアイロニカルに勇気を与えてくれる。表現者としてとても面白いバンドだ。

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5バンド目にはSAVAGEが登場。幕が開けて観客が待ちわびる中、焦らすように余裕たっぷりの表情でゆっくりとメンバーが定位置に。これだけでフロアはグッとアダルトな雰囲気に塗り替えられた。「潔癖症の僕から不感症の君へ」「RED CHERRY MURDER SCENE」とフロアを踊らせながらも、「あまり盛り上がってない」とSっ気たっぷりに煽る龍華(Vo)。激しいサウンドと艶っぽい歌詞、獰猛な中の色気がたまらない。


インタビューで彼ら自身も述べていたが、SAVAGEはボーカルを立てるバンドではなくメンバー全員が強いタイプのバンド。だからこそ熱量がすさまじく、彼らの楽曲は音源で聴くよりも圧倒的にライブで聴くほうがカッコいい。たとえ楽曲を知らないままライブに来たとしても、思わずヘドバンしたくなってしまうのではないだろうか。

「かかってこい!殺せ!」といって始まった後半戦はさらに激しさを増す。楽器隊は「Bogus Duty」で容赦なく爆音を叩きつけ、観客を煽る。そんな熱いステージで衣装を脱ぎ捨て自慰のようなパフォーマンスを見せる強気な龍華。ラスト「赤い爪」まで、完全にフロアを自分たちのモノにしたような、怒涛のステージを繰り広げた。

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そしてこの日のトリを飾ったのが、REIGN。2018年に5周年を迎え、今年2月には自身最大規模のTSUTAYA O-WESTワンマンを控える彼らのステージは、楽曲のクオリティ、演奏力、表現力、どれも完成度が高かった。


メンバーがまだステージ上に現れていないSEの段階で、観客からは大きな拍手が。そしてゆっくりとお立ち台にのぼった郁磨(Vo)が優しい微笑みを見せた…と思った瞬間「僕の独裁的教育思想反論の歌」でフロアにはいきなりモッシュの渦が生まれた。1曲目にして既にこの吸引力だ。展開の多い複雑な楽曲でも安定感のある楽器陣のプレイに、優雅に腰をくねらせながらも力強く歌う郁磨。と思えば「pupa」でラップを繰り出したり、スラップベースが気持ちいい「S.N.S」でフロアを踊らせたりと、多彩な表情を魅せつける。

どの楽曲も違った表情で、「ほかにはどんな曲があるんだろう。もっと聴いてみたい」と思わせてくれるようなセットリスト。25分のステージでは彼らの魅力をすべて知ることは難しいだろう。惜しむような気持ちのまま迎えたラストの曲は、開けるサビの多幸感が気持ちいい「ROCK KNOCK」。観客は手を上げ頭を振って、音の波に身を委ねているようだった。ステージを去る前、郁磨が「最後は俺たちとおまえらの絆を拳で」と拳を高く掲げ、ファンもそれに応える。今日一番の一体感で<千歌繚乱>を締めくくってくれた。

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   ◆   ◆   ◆

こうしてイベントライブを見ていると、色んなバンドが色んな思いを抱えて自分たちの音楽を表現していることにいつも深い感慨を覚える。心の殻を破り感情を出すことを鬼になぞらえるMEIDARA、ジャンルに捉われず新しい音楽を提示するTRNTY D:CODE。嘘というテーマから人間の本質を炙り出すモンストロ、叩きつけるような獰猛さで自身を突き付けてくるSAVAGE、自分たちのやりたい音楽を高いスキルで自在に繰り出すREIGN。そしてこれまで<千歌繚乱>に出演していたすべてのバンドも。それぞれがその世界の表現者たちである。

若手バンドたちにはテレビなどのメディアに出たりチャートに入ったりするような、突出した何かはまだないかもしれない。表現している世界もまだ小さなものかもしれない。この日のライブにしても、各バンドたったの25分間しかない。でもそこにはひとつひとつ素敵な世界が広がっていることを、多くの人に知ってもらいたいと思う。

取材・文◎服部容子(BARKS)

セットリスト

■MEIDARA
1.鬼火
2.キソウテンガイ
3.ノロイ
4.てんやわんや
5.鬼の目にも

■TRNTY D:CODE
1.[HELL]hound.
2.No .6
3.喰row
4.inside.
5.GRAVITY
6.Enoch

■モンストロ
1.I miss you... Liar
2.焔
3.BLACK MONEY
4.WE ARE LIAR
5.ビッグマウス・マーチ

■SAVAGE
1.Caress
2.潔癖症の僕から不感症の君へ
3.RED CHERRY MURDER SCENE
4.裏切りの錯乱バニー
5.Bogus Duty
6.赤い爪

■REIGN
-fall into a deep sleep-
1.僕の独裁的教育思想反論の歌
2.pupa
3.エミリアの土曜日
4.S.N.S
5.ROCK KNOCK

◆千歌繚乱 特設ページ
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