【ライブレポート】きいやま商店、<シャレオツ>公演が大成功「10周年の賜物、それが今日です!」

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結成10周年を迎えた沖縄・石垣島出身ユニット、きいやま商店が12月15日、東京・有楽町のヒューリックホール東京でワンマンライブ<10th Anniversary きいやま商店 シャレオツLIVE>を開催した。

◆きいやま商店 画像

リョーサ(Vo / 三線)、マスト(Vo / G)の兄弟と、従兄にしてリョーサの同級生だいちゃん(Vo / G)という3人組の記念すべきライブには、まさに“老若男女”と言う表現がピッタリなほど実に幅広い世代が会場に詰め掛け、ソールドアウトを記録。子どもから高齢者まで、まるで家族でお祭りにでも行くかのような笑顔が客席を埋め尽くした。



開演予定時刻の18時を10分ほどすぎると、ステージの紗幕には10周年を振り返る3人のトークムービーが映し出され、会場は既に笑いに包まれる。そんな中、派手なBGMに乗って紗幕にメンバーのシルエットが映し出されると、もう観客は総立ち状態に。きいやまバンドの片山タカズミ(Dr)がエモーショナルなビートを叩きだすと、リョーサがメインボーカルをとって、1曲目の「ハブとマングース」が始まった。オープニングから“きいやまワールド”全開のパフォーマンス。しかしながら、今日の3人は、いつもとはちょっと様子が違う。そう、短パンでもなく、島ぞうりでもない。リョーサとだいちゃんの後輩で、なおかつマストの同級生による手作りの衣装に身を包み、まさに“シャレオツ”な井出達で、この日のプレミアム感を演出していた。

そして、この曲が終わると同時に、一瞬の隙もなくマストがガットギターでカッティングを刻み、「ダックァーセ!」へとなだれ込む。間髪入れずに曲を畳みかけるこのスピード感も、彼らのライブの醍醐味だ。間奏で、マストと片山義美(G)がソロを奏でると、今度はだいちゃんがカスタネットを叩いて、「まるでーど!」のスタートだ。そんな賑やかなサウンドから一転、ミトカツユキ(Key)のジャジーなピアノソロをプロローグに、ドゥーワップ的な3人のハーモニーが響き渡り、「空とてんぷらと海のにおい」へ。そして、サンバホイッスルが鳴り響いたサンバビートの「カーーニバレ」は、5曲目にして、この日、早くも最初に訪れたクライマックスだった。




「みなさんこんばんは、きいやま商店です!」。一気に5曲を駆け抜けた3人が、声を揃えて自己紹介を行うと、最初のMCタイムに突入。早速、話題(ネタ!?)は衣装の話に。

「笑い声もあるけど(笑)、カッコいいでしょ?」──リョーサ
「感想を言うと……長ズボンは暑い(笑)!」──マスト
「あと、靴が重い(爆笑)!」──だいちゃん

“シャレオツ”な格好をしながらも、口を開けば即座に会場を“普段着”の世界に一変させるあたり、これぞ、きいやま商店だ。そんなMC終盤に、突然、「“シャレオツ”だと思って今日はイヤモニをしているんですけど、これだとお客さんの声が聴こえないので、ちょっと外してきます。その間、何か面白いことやっといて」と、困惑するリョーサとマストを残して、だいちゃんがステージ袖に姿を消すというハプニングもあったが、これが功を奏したのか、あるいは最初のトークで3人がいい具合に肩の力が抜けたのか、MC明けに披露された次の5曲は、実に伸び伸びと歌われると同時に、きいやま商店の音楽的な実力をたっぷりと味わうことができた22分間だった。



彼らの大きな魅力は、もちろん、あらゆる人々を一瞬で笑顔にしてくれる、愉快で陽気なトークとパフォーマンスにあることは間違いない。しかし、それが活きるのも、しっかりとした音楽的バックボーンがあってこそ。三線でカントリーをプレイしたかと思えば、ガットギターでロックンロールをかき鳴らし、ホイッスルを吹き鳴らすサンバへと移り変わる。

こうして彼らが奏でる音楽は世界を駆け巡るが、そこで歌われるものは、3人が幼い頃から目にしてきた沖縄・石垣島の景色であり、そして自分たち家族の、とてもとても些細な日々の出来事だ。つまり、極めてプライベートな歌だからこそ、その歌は、聴く人それぞれが目にしてきた光景と、それぞれの家族の極々日常的な些細な出来事というプライベートにつながっていく。そうして、100人いれば100通りの物語を生み出してくれるのだ。この日も、おばあちゃんのことを歌った「土曜日のそば」や、離散しながらも離れられない家族の絆をテーマにした「離れてても家族」、日常の中で“君”に想いを馳せる「暁」といったミッドテンポのバラード曲は、このライブの“裏”ハイライトと言ってもいい聴き応えたっぷりの演奏であった。




そして二度目のMCタイムに入ると、もう会場の空気は完全に、きいやまワールドに染められる。彼らのトークに、会場は終始笑いに包まれながらも、そんな中で、こっそりと、いや堂々と、きいやま商店は、11周年に向けて、次なる野望を口にした。

「11周年に、これがやりたいっていうこと、ありますか?」──だいちゃん
「“ドリフ”がやりたい!」──マスト
「コントあり、歌ありの。しかも、生バンドでね。みなさん、どうですか!?(大歓声)」──リョーサ
「お金、いくらかかるかな……」──だいちゃん
「心の声が出とるやないかいっ!(爆笑)」──リョーサ

ここでも絶妙な間合いで大いに笑わせてくれた3人だが、でも彼らは本気っぷりは十分に伝わってくる、そんなこの日のステージだった。そんなライブも、ここからはいよいよ後半戦。3人は、一気にトップギアに上げていく。

スカビートにアドリブパフォーマンスをふんだんに取り入れた「言ったらダメよ。」を皮切りに、「今日来てくれたみんなに捧げよう!(マスト)」と始まった「Happy wonderful friend」、そして「そろそろ暖まってきたんじゃないのかい?きいやまピーポーたち、暖まってるかい!?」といったリョーサのかけ声と共に始まった「そこら中にパーリ―ピーポー」では、“ハイアイアイアイ!”のコール&レスポンスで、ステージと客席はさらに一体感を増していく。




そうした熱気に煽られたのは、むしろステージ側だったのかもしれない。続く「Everybody ワン・ツー」で3人は遂に上着を脱ぎ、ステージを所狭しと駆け巡る。これぞ東京をホームと化した“普段着”のきいやま商店だ(ただしそれでも、真の普段着よりは“シャレオツ”な衣装であることは間違いない)。そんな3人の背中を押すように、きいやまホーンズが華々しく鳴り響き、山川浩正(ex.THE BOOM)のベースが、圧倒的な力でグルーヴを加速させる。

そして3人の絶妙なハーモニーで始まった「僕らの島」が始まると、観客は思い思いに手を叩き、カチャーシーを踊り、口笛を鳴らす。まさに会場全体が沖縄・石垣島にトリップしたかのような光景だった。しかもこれが、俗に言う“県人会的”な内輪の閉じたお祭り騒ぎではなく、音楽として、エンタテインメントとして外に向けて開かれたパフォーマンスが、きいやま商店の魅力なのだ。だからこそ、東京の会場をソールド・アウトさせられたのだろうし、もっと言えば、この日は全国各地からはるばる東京へと彼らのファンが足を運んでおり、そうした事実こそが、彼らへの最大級の賛辞と言えるだろう。

そこから本編ラストに向かって突き進んでいった「ドゥマンギテ」「じゃんがねーらん」「カチャーシ☆ブギ」「沖縄ロックンロール」の4曲は、ただただ理屈抜きに楽しい10周年の本編フィナーレであった。





アンコールでは、リョーサがフレディ・マーキュリーに扮して登場すると(フレディの衣装を着るために、一ヶ月間で4kgをダイエットしたそうだ)、「ゆーしったい」では、バンドメンバーも含め、全員がダンスパフォーマンスを行い、大歓声を浴びた。そしてダブルアンコールで再びステージに姿を表した3人は、記念すべき10周年イヤーをこう振り返った。

「こんなにいっぱいお客さんが来てくれて、10周年の賜物、それが今日です!」──マスト
「これからも、みなさんと一緒に歩んでいけたらいいなと思います──リョーサ
「来年は11年目になりますが、これからも変わらず応援してください!」──だいちゃん





そしてこの日のラスト、MAXまで駆け上った鼓動を心地よくクールダウンするかのように、観客と一緒に「明日はくる」「さよならの夏」を歌い、こうして“シャレオツ”な、だけれども、十分すぎるほど彼らの“普段着”を楽しめた、特別な夜は幕を閉じた。

取材・文◎布施雄一郎

■<10th Anniversary きいやま商店 シャレオツLIVE>2018年12月15日(土)@ヒューリックホール東京

01. ハブとマングース
02. ダックァーセ!
03. まるでーど!
04. 空とてんぷらと海のにおい
05. カーーニバレ
06. あの頃
07. 土曜日のそば
08. 離れてても家族
09. 暁
10. オーシャンOKINAWA
11. 言ったらダメよ。
12. Happy wonderful friend
13. そこら中にパーリーピーポー
14. Everybody ワン・ツー
15. 僕らの島
16. ドゥマンギテ
17. じんがねーらん
18. カチャーシ☆ブギ
19. 沖縄ロックンロール
encore
en1. ゆーしったい
en2. 明日はくる
en3. さよならの夏

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