【インタビュー】ALICE IN MENSWEAR、マスケラmichi.とラクリマKOJIが合流「大好きな世界が広がっていた」

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MASCHERAやS.Q.Fの活動で知られるmichi.と、La'cryma ChristiやALvinoのギタリストKOJIが、新ユニットALICE IN MENSWEARを結成したことは既報のとおり。先ごろ公開した第一報では、同ボーカリストとギタリストの組み合わせによる充分な意外性と、コンセプチュアルなヴィジュアルが大きな話題となった。しかし注目すべきは新ユニットにかける両者の強い意志と根源的なシンパシーにある。

◆ALICE IN MENSWEAR 画像

本格始動を前にALICE IN MENSWEARは、“スチームパンク”をヴィジュアルコンセプトとしたアーティスト写真と、「Lost Child」のミュージックビデオShort Ver.、2019年4月12日に新宿ReNYで初ライヴを行うことを明かしている。BARKSは結成発表直後となる12月25日に初インタビューを実施。ユニット始動の経緯や見据えたスタイル、そして特別に4曲のデモ音源を聴かせていただきつつALICE IN MENSWEARサウンドについて、現時点での公開が許される限り話を訊いた。結果、トークは多岐にわたって実に深く、両者の間に流れる居心地のよいムードが伝わるものとなった。その一部始終をお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■それまで作ってた曲は全てボツにした
■全ては今年9月から始まったんです

──ALICE IN MENSWEAR始動が12月22日発表されました。まず、お二人はいつ頃からの知り合いなのでしょう?

michi.:最初に会ったのは、もう20年くらい前だよね?

──ということは、La'cryma ChristiとMASCHERAのインディーズ時代?

KOJI:そう。La'cryma ChristiとMASCHERAはどちらも関西出身のバンドで、ほぼ同じタイミングで上京したんですよ。その頃は両バンドのメンバーがよくつるんで飲みに行ったりしたし。michi.とは一緒にライブを観に行ったり。その後、お互いにメジャーデビューして忙しくなって、遊びにいく機会も減ったまま疎遠になっていたんです。

michi.:お互いの活躍は遠くで見ていたけど、会うことはなかったですね。

KOJI:ミュージシャン同士だから、スタジオとか収録現場とかで偶然会ってもおかしくないのに、それすらなかったよね?

michi.:なかった。それぞれのバンドが解散して僕はS.Q.Fを始めて、KOJIがALvinoを始めたことも知っていたけど、対バンすることもしばらくなく、それぞれの道を歩んでいたんです。だから10年以上ブランクがあって、改めて連絡を取り合うようになったのは、ここ数年です。

KOJI:3年くらい前、PENICILLINの千聖君主催のライブイベント<Crazy Monsters>で再会したんです。「久しぶり!」という感じで、また連絡を取り合うようになったという。

michi.:僕は18年くらいS.Q.Fを続けていたわけですけど、S.Q.Fはプロジェクト名義で実質的には僕のソロだったがゆえ、気がつけば人間関係も音楽的にも様々な遍歴を経ることになったんです。そういうことを乗り越えつつ走り続けてきたなかで、どんな逆境にも挫けないことが信条になり、それを励みにさらに走ることができた。ただ、根が生真面目な自分はいつしか“やめない”ってことが目的になりつつもあり。でも一番忘れてはいけないのが、僕らアーティストは自分自身の伝えたいこと、表現したいことを作品にするということで。そのことについて改めて考えたとき、2018年春くらいから、自分自身を俯瞰で見るためにも充電期間がほしいと思うようになったんです。

──なるほど。

michi.:ただ、サポートメンバーのこともあったし、デリケートな問題なので、誰にも相談できずに悩んでいた時期があって。でも、やっぱり活動休止しようと今年夏に決断して。KOJIとはそのときすでにアコースティックイベントを一緒にやったりしていたので、活動休止を一番最初に報告したのが彼だったんです。損得勘定など一切なく、本当に古い友人として話をしました。

▲michi.(Vo / S.Q.F, MASCHERA)

──KOJIさんも11年続いたALvinoが2018年で活動休止することになったわけですが。

KOJI:ALvinoは2018年3月にラストライブを行ったんですけど、9月までファンクラブイベントとか、ファンクラブの旅行イベントとかを続けていたんですね。そういう状況の中で、ALvino以降、自分が次に進むために必要なものは曲だなと思っていたから、曲作りに集中していたんです。たまに知人から誘われてサポートギターを務めることはあったんですけど。そのときに、michi.から活動休止の話を聞いて。以前から俺の中にはmichi.とも一緒にやってみたいという思いがあったけど、自分のプロジェクトで活動している人に声をかけるのは失礼だから、それを表に出すことはなかった。ところが彼がフリーになったので、「一緒にやらないか?」と誘って。結成が決まってからの創作意欲はハンパなかったですね。それまで作っていた曲は全てボツにしましたから。

──そこまでのことをするというのは相当のことですね。michi.さんのどういう部分に魅力を感じているんですか?

KOJI:声質が魅力的ですね。歌い方や表現方法などは後からでも身についていくものだし磨いていくものだと思うんですよね。でね、声質というのは持って生まれたものと思われがちですが、それだけじゃないんです。持って生まれたものをどうやって活かすか。そこも大事なんです。michi.はいい声の出し方を知っているし、声質自体が魅力的でストイックだから自分のやるべきことをよく分かっている。そういう音楽家としてのスタイルも魅力的だと思いましたね。

──そして、ALvino以降に作った曲をボツにして、michi.さんに合わせて曲を作り直した、と。

KOJI:はい。そのデモ音源はmichi.にも聴かせましたけど、自分でボツにしたんです。俺はボーカルの声のイメージに合わせて曲を作るから、そのデモには違和感があったんですよね。で、michi.をイメージして曲を作り始めたら、どんどん曲ができたんです。結果、思っていた以上に早い時期からALICE IN MENSWEARとして活動を始めることができた。それぞれのプロジェクトが今年一旦終えて、今年中に新プロジェクト始動が発表されたわけだから、実は結構前から決まっていたの?と思う人もいるかもしれないけど、本当に全ては今年9月から始まったんです。

michi.:新ユニット結成を決断してからしばらくは、2人とも寝る間もないくらい動いていました。当時は実感がなかったけど、今になって振り返ってみると、すごく濃い日々でしたね。

KOJI:俺はワーカホリック的なところがあるけど、たぶんmichi.もそうだと思う(笑)。ALvinoの活動を終えていた俺はALICE IN MENSWEARの制作に没頭できたけど、michi.はS.Q.Fと両方を並行しないといけなかったので、よくこなせるなと思ってました。

──新しいユニットを結成することになって、お二人とも気持ちがグッと高まったことがわかります。ALICE IN MENSWEARの“スチームパンクの世界観をヴィジュアルで表現する”というコンセプトは、どんなふうに固まっていったのでしょう?

michi.:“スチームパンク”というテーマには以前から強く惹かれていて、いつかやりたいと思っていたんです。僕のほうからスチームパンクというコンセプトを提案したら、KOJIも賛同してくれました。

KOJI:いいコンセプトを持ってきてくれたなと思いましたね。michi.と俺はガチなオタクなんですよ(笑)。michi.がスチームパンクの本を一冊プレゼントしてくれたんですけど、それを開いた瞬間に大好きな世界が広がっていた。俺はアニメも好きだからスチームパンクの要素が入ったアニメを沢山教えてもらったり、もうど真ん中の世界観だったんですよ。

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