【対談インタビュー】WING WORKS×K、ソロを選んだ理由と音楽への向き合い方

ツイート

WING WORKSが2月3日に発売する2ndフルアルバム『ENTITY』のリリースを記念したツーマンシリーズ<機密の花園>の開催に寄せて、K(ex.BORN)との対談を行った。

◆ミュージックビデオ

『ENTITY』は当初通販&会場限定でリリースされたものの、発売日翌日に完売したことを受けて2月3日に一般発売されることが決定した。現在、ミュージックビデオも公開中。ミュージックビデオでは、ジャパネスクとフューチャー感が見事に共存した既存のジャンル感を飛び越える映像世界を楽しむことができる。



そしてWING WORKSが1月11日より開催する全5本のツーマンライブ<機密の花園>の最初の対手に迎えられたのがK。同世代ソロ・アーティストであり、共にラウドな音楽性を武器にする2人のこのインタビューから両者の熱を感じ取っていただければと思う。

  ◆  ◆  ◆


■そもそもバンドが終わった後にソロアーティストを選ぶという時点で、絶対にわかりあえる

――お二人は、どんなふうに知り合ったのでしょう?

RYO:SUKE:Kくんと俺は、同じ時代にそれぞれBORN、少女-ロリヰタ-23区としてバンドをやっていた関係です。だから、当然Kくんのことは知っていたし、Kくんはギタリストで俺はベーシストだったけど、メインコンポーザー同士というところで気になる存在だった。でも、当時は全く交流はなかったよね?

K:うん。対バンはちょこちょこしていたけど、喋ったりすることはなかった。

RYO:SUKE:バンド時代はほどんど交流がなかったんですよ。Kくんとはそういう関係性だったんですけど、その後2012年に少女-ロリヰタ-23区が活動休止になって俺はソロを始めて、数年後にBORNが解散してKくんもソロを始めて、シーンの中に於ける立ち位置がすごく近くなって。それで、話をしたりするようになって、仲良くなった。最初に直接挨拶したのは、BORNがZepp DiverCity Tokyoでラストライブをしたとき(2016.5.26)だよね?

K:そう、ちゃんと挨拶したのは、あのときだった。前からRYO:SUKEくんのことは、いろいろ噂を聞いていたけど(笑)。

RYO:SUKE:噂というのは、どういう?

K:とりあえず“グイグイ系”だと(笑)。

RYO:SUKE:ああ、それは間違いない(笑)。

K:ハハハ。仲良くなったらたしかにグイグイ系だし、熱い人だった。俺のほうは当時はボーカルの猟牙がBORNの窓口というか、いろんな人と交流していて、俺はあまり外部の人と接触していなかったんだ。だから親しくなった先輩とかに「こんなに喋る子だったんだ」とよく言われる(笑)。そういう感じだったから、俺の印象は薄かったんじゃない?

RYO:SUKE:いや、Kくんはすごくライヴ感のある曲を書く人というところで、印象は強かった。BORNの持ち味になっていたラウド感、アッパー感、ロック感を握っているのがKくんだったから。それにBORNはボーカルの猟牙くんの華がバンドを引っ張っていた印象が強いバンドだと思うけど、個人的にバンドというのはボーカルだけ華があってもダメで、バンドの顔であるボーカルの女房役というか、『キャプテン翼』の翼くんに対する岬くんみたいな人がいないとダメだと思っていて。俺は常に自分がそうありたいと意識していた中でKくんもライブでそういうオーラをバキバキに出していたから、すごく印象は強かった。でも、バンドの中で内向的だったからだと思うけど、Kくんがどういう人柄なのかということは俺のところには入ってこなかった。それに、ライブのときのKくんはすごくヤンチャな雰囲気だから、仲良くなれると思ってなかったんだよね。

K:それ、よく言われるんだよなぁ(笑)。

RYO:SUKE:でも親しくなってみると、Kくんは思った通り根っからの音楽人だったんです。すごく音楽そのものが好きな人で、そこは自分と同じだなと。そもそもバンドが終わった後にソロ・アーティストを選ぶという時点で、絶対にわかりあえるという確信があって、実際に出会ってみて、それは間違いじゃなかった。


――お二人ともソロ活動を始めると同時に歌うようになったところも共通されていますね。歌おうと決めたのは、大きな決断でしたか?

K:そうでもなかった。俺は元々ベースからギターに転向したし、ボーカルとかドラムにも興味があったんだ。ソロをやるとなったときに、事務所の人とか、周りのミュージシャンとかが歌うことを勧めるということは、それが自分の音楽人生なのかなと思って。事務所の忘年会とかで俺が歌うと、みんなが「いいじゃん、いいじゃん」と言ってくれていたし。だから、今思うとファーストライブのときが一番自信があった(笑)。それまでファンの前で歌ったことはほとんどなかったから、“ちょっと見てろよ”くらいの気持ちでライブをして、ライブのビデオを観た瞬間に、“誰だ、これ?”という(笑)。自分ではちゃんとしたピッチで歌っているつもりだったのに音が外れまくっていて、とにかく悲惨だった(笑)。そこで思いきり心を折られて、それからは地道に歌の鍛錬をするようになった。

RYO:SUKE:俺はKくんとは真逆で、周りにいるすべての人から歌うことは反対されていて、ベーシストでバンドを組んだほうがいいと散々言われてました。でも、少女-ロリヰタ-23区以外のバンドは考えられなかったし、これはどこでも公言しているんですけど、俺の中ではMIYAVIさんの存在がすごく大きかったというのもあって。彼もギターを置いて歌うことを選んだ人だから、自分もそうしようと決めたんです。だから、Kくんとは真逆で、最初のライブは一番自信がなかった。俺は初ライブの前にアルバムを作ったんですけど、レコーディングは何度も歌い直せるから、なんとかなるだろうと思っていたんだけど、完成したアルバムを聴いて歌というのはピッチ(音程)が合っていればいいというものではないことに気づいたんです。それで、「俺は自分に向いていないことを始めてしまったかもしれない」と思って。そういう心境のまま初ライブに臨むことになったから、もう心はグジャグジャだった。

K:辿った道は真逆だけど、本格的に歌ってみて心が折れたところは同じだね(笑)。

RYO:SUKE:そうだね(笑)。

――それでも“歌は無理!”みたいにはならずに、お二人とも歌っていこうと決められたんですね?

RYO:SUKE:いや、俺は“無理かもしれない”と思いながら最初は歌っていました。でもベーシストに戻る気はなかった。なぜ自分がソロアーティストになったかというと、自分が創った音楽を100パーセント自分で表現したいという思いがあったからで、バンドを組むとピースの1つだし、作家になると楽曲を欲しがっている誰かのために曲を作るということになる。自分の音楽を自分で100パーセント表現しようと思ったら、シンガーソングライターになるしかない。だから、しんどくても自分で歌い続けていこうと思って。

K:少女-ロリヰタ-23区のライブを何度か観ていたけど、RYO:SUKEくんはボーカリストみたいなベーシストだったよね。だから、歌うようになったときも俺の中で違和感はなかったな。

RYO:SUKE:少女-ロリヰタ-23区の頃の俺は、良くも悪くもどちらの要素もあったと思っていて。グイグイいくベーシストではあったけど、きっとバンド時代のMIYAVIさんほど全てを飲み込むほどでもなかった。かといって、バンドの中でベーシストして美味しく見えるポジションを狙いにいくほどのクレバーさもなくて。マックスでガンガン攻めるベーシストがいる、というのが少女-ロリヰタ-23区の面白い部分のひとつだったと思うけど、それはきっと同時に限界でもあった。ただ、当初からフロント寄りの指向だった気はしていて、そういう意味ではボーカルというポジションには違和感はなかった。ただ、歌うということになると、また別の話で。


K:そうなんだよね(笑)。俺も歌の難しさは感じたけど、バンドのギタリストに戻る気はなかった。ソロになってみていいなと思うところが沢山あったから。なにより全てを自分の思いどおりにできるのがいいよね。自分が右を向こうと思えば、すぐに向くことができる。バンドだと全員が右を向きたいと思うとは限らないし、意志が一致しても右を向くのに時間がかかったりするし。ソロは自分が先陣を切れば、あとは周りに着いてきてもらうだけだから、すごく楽だよね。それに、言い方が難しいけどバンドは犯人がわからなかったりするというのがあって。

RYO:SUKE:それは、すごくわかる。失敗したりしたときに責任の所在がはっきりしないんだよね。

K:そう。それで揉めたりする。ソロは自分が全部責任を背負っているからというところで全てが明確なんだよね。俺はそこもソロの良さだと思っている。

RYO:SUKE:ソロの良さということでは俺もKくんと全く一緒だね。そこに補足するとすれば、逆に1人という状態だからこそ仲間とか縁とかの美しさや素晴らしさにより気づけるというのがあって。1人ではやっていけないことを感じる瞬間が多いし、支えてくれている人がいるからやれていることを感じる瞬間も多い。実は俺はソロになってから、そこに負い目を感じている時期が結構長くて。“みんなに助けられている俺”みたいに感じてしまっていたんだよね。でも、やっと最近になって、みんな決してボランティアで俺に手を指し伸ばしてくれているわけじゃなくて、俺がなにか周囲の仲間にギフトできているものがあるからこそ、みんなが力を貸してくれるんだとやっと思えるようになった。不思議なほど周りに協力してくれる人がいるというところも、俺とKくんは一致していて。なんていうんだろう……ソロアーティストとしてやれている人というのは、“愛され力”が高い気がするんだよね。俺も仲間にはすごく支えてもらっているけど、同じようにKくんは愛され力が強いよね。

K:ええっ? それは自分ではわからない(笑)。……でも、ソロを始めたときのことを考えるとそうだったかもしれない。後輩と飲んだりしたときにソロは怖いなと言うと「俺が弾くから大丈夫ですよ」とか、みんなが言ってくれたんだ。それに、RYO:SUKEくんが言ったように、俺もソロをやっていろんなことの有り難さを痛感したというのはあるよ。バンドをやっていた頃は“明日朝早いのか、嫌だな”とか思っていたのが、仕事があったり、人がいてくれることのあり難さに気づいたから(笑)。スタジオリハひとつにしても、みんなちゃんと時間どおりにきてくれるし(笑)。BORNの最後のほうは、結構ヤバかったから。

RYO:SUKE:なるほどね。

◆対談(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス