【インタビュー】DJ MARTIN 「PLUSTOKYOは幅広い人たちが遊べる場所になってほしい」

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銀座のベニューPLUSTOKYOの金曜日<FRIDAY + FEVER>にてレジデントを務めるDJ MARTIN。オーストラリアで1年間、ニューヨークで6年間、シンガポールで2年間、現在はアジア圏全域で活動中のインターナショナルDJの彼が、踊るもよし、浸るもよし、なサウンドを全方向な選曲で、“オトナの夜”を演出中だ。これまで海外での活動が多かったDJ MARTIN東京進出の拠点となるPLUSTOKYOで、ぜひ一度彼のプレイを体験していただきたい。

■NYは半年のつもりで渡米しましたが
■楽しすぎて気がついたら6年半いました

──DJ歴は何年くらいですか?

DJ MARTIN 今年33歳になるんですが、DJ歴は……本気でやり始めて13年ですね。その前は高校生のときからバンドをしてて、遊び感覚でバンドをやりながらヒップホップという音楽のジャンルを知って、その後はDJをやりながらバンド活動をしてました。

──自分で積極的に音楽を聴き始めたのは?

DJ MARTIN 高校生くらいじゃないですかね。最初はJポップ。そこからバンドにハマって、メロコアとかにリンクしてヒップホップにハマっていった感じです。ちょうどバンドとラッパーが一緒にやるようなトレンドが起こって……。ヒップホップってかっこいいなって。

──ヒップホップを聴いたときに違和感はなかった?

DJ MARTIN 全くなかった。そういうジャンルがあることさえ知りませんでしたし(笑)。音楽のジャンルは洋楽と邦楽くらいの認識で。

──それでいうと当時洋楽は聴いてました?

DJ MARTIN 洋楽にハマったのがヒップホップなんです。それからはバンドとヒップホップ。

──それでDJを始めたきっかけは?

DJ MARTIN 多分ほとんどの人がそうだと思うんですけど……友達のお兄ちゃんがDJをやっていて、すごくモテてたんですよ(笑)。遊びに行くたびに違う女性を連れていて、「こんなにモテるんや」と。僕も音楽好きでバンドしてたんで、DJをやってみようかなと興味を持って、そのお兄ちゃんとも仲が良かったので、教えてもらうことになって……。彼はクラブでも回していたので、未成年でしたけど、遊びに行ったり……で、どんどんハマっていきましたね。

──今、プロフェッショナルなDJであるMARTINさんから見ると、当時のそのお兄さんのDJプレイはうまかったですか?

DJ MARTIN 分からないですねぇ……逆に聴いてみたいですね(笑)。自分がこの立場にいる状態で聴いてみたい。ただクラブに行くと周りの人たちからかなりリスペクトされてたんですよ。だから割とテクニックはあったのかもしれない。

──最初はヒップホップDJだったんですね?

DJ MARTIN そうですね。むしろ当時はヒップホップかハウスかくらいが選択肢だった。バイトしながらレコードを買いあさって、で、留学して……。

──その留学ですが、オーストラリアで1年半間、ニューヨークで6年間半、シンガポールでおよそ2年間、それぞれどういう意味合いで行ったのですか?

DJ MARTIN 勉強はあまり好きじゃなかったんですが、なぜか英語だけは好きで、英会話を習いに行ってたんですね。その英会話の先生がかっこいい人で、イギリスをはじめ、いろいろな国に留学しているような人でした。その先生から留学を勧められたのが、最初のきっかけですね。「大学に進むのが嫌だったら留学するという手もあるよ」と。先生に勧められたのが最初に行ったオーストラリアでした。で、実際に行ってみたらその生活にどっぷりハマって、日本に帰ってきて考えたんです。せっかくDJをやってるんだし、行ってみたい国に行ってみようって。早速お金を貯めはじめて、溜まったところでニューヨークに行きました。

ニューヨークは半年のつもりで渡米しましたが、楽しすぎて気がついたら6年半いたという……(笑)。オーストラリはいわゆる語学留学でしたけど、ニューヨークでは語学留学しながらDJとして生活をしていました。DJとしての生活は、最初はかなりキツかったけど、3ヶ月くらいクラブに行き続けるとさまざまな出会いもあって、小さいバーから始まって、いいクラブでもプレイできるようになったり……日本と違って例えばマクドナルドにDJを入れたりもするので、DJという仕事の幅がすごく広いんです。

──オーストラリア、ニューヨーク、シンガポールと三ヶ国に滞在した中で、DJとして一番しっくりきた国はどこですか?

DJ MARTIN やっぱりニューヨークが一番好きですね。オーストラリアは英語の勉強で行って、ニューヨークは……僕の出身が和歌山なんですが、和歌山って田舎じゃないですか? 人に認められる、一位になるって考えたとき、大阪や東京に出るよりはニューヨークに行っちゃって頑張った方が、一気に名声が得られると思って……。シンガポールは、とある企業がクラブを作ることになってDJとして招聘された感じです。

──DJとしてやりにくい国はありますか?

DJ MARTIN 日本ですね(笑)。日本は難しい。外国人ってフロアが10人だとしても踊ってくれるんです。日本人は10人だと前に出て来ない。それにリリックの問題もあります。そう考えると、その国によっていいところ、悪いところがありますね。

──そういうことをトータルで考えるとニューヨークが一番やりやすい?

DJ MARTIN 好きですね。ニューヨークには、アジア人が多いクラブ、黒人が多いクラブ、白人が多いクラブ、ミックスが多いクラブ……いろいろあって、その場所によってかける曲やジャンルが違うんです。そういう経験がすごく勉強になりましたね。


■ニューヨークのパシャで
■オープンフォーマットのDJになった

──今のDJスタイル(オープンフォーマット)になったのはいつですか?

DJ MARTIN まさにニューヨークにいるときです。

──それまではいわゆるヒップホップDJだった?

DJ MARTIN ヒップホップしか知らなかった。ニューヨークのクラブ“パシャ”で4年くらいレジデントDJを務めたんです。一番上のフロアは“パチータ”という名前がついていて、そこがオープンフォーマット……EDMもヒップホップもロックもかけるフロアでした。そこで、プレイをさせてもらって、いろんなジャンルをかけるDJって楽しいなと思いました。

──最初にヒップホップの壁を越えるときって?

DJ MARTIN すごく焦りました(笑)。そのときはPCを使ってDJをしていたので、「この曲は何だ?」と、他のDJがかけた曲をメモをしまくって家に帰って速攻ダウンロードして……。知識的にはかなりレベルが上がりましたね。

──ではそのあたりは現場で体当たり的な形だったんですね。

DJ MARTIN かなりそうですね。DJをするためにクラブに行くと、いきなり一晩6時間やって、みたいな。向こうはだいたい一人か二人で一晩を担当するんです。自分のそのときのレベルでいうと、一晩で同じ曲を三回かけちゃったり……それが悔しくて。ニューヨークにいるDJだと、かけてもそのときのヒットソングを2回くらい。僕は3回〜4回とかけちゃってましたから。日本だとプレイ時間って30〜1時間ですよね? だからそこが一番違うし、勉強になったところでもあります。

──そこでかなり鍛えられた?

DJ MARTIN 鍛えられましたし、幅広い知識を得られるようになりました……あと、おしっこを我慢できるようになった(笑)。

──PLUSTOKYOでDJプレイするとき、ここならではの面白さと難しさを教えてください。

DJ MARTIN PLUSTOKYOは、シンガポールのマリーナベイサンズにあるセラヴィ、ニューヨークのパシャ、PHDルーフトップ……そういうイメージを持っていました。大人から若い子が来ても遊べるような感じかなと、勝手に思ってプレイさせてもらってます。幅広い人たちが遊べる場所になってほしいですね。

──テクノ好きが集まるテクノのクラブ、という感じではない。

DJ MARTIN そういう気がします。レストランからの流れで、クラブになっていく……そこにいるお客さんのためにかける、僕はそういうイメージなんです。PLUSTOKYOもそういうイメージをブレないでしっかり作れたらいいなと思ってます。

──MARTINさんはどんな現場が一番好きですか? アゲアゲのパーティか、アンダーグラウンドな何をかけてもいい小箱なのか。

DJ MARTIN 僕は外国人が多い現場が好きですね。

──ダイレクトに反応が伝わってくる現場?

DJ MARTIN そうですね。そういう現場の方がやりやすい。

──お客さんを盛り上げるために、その瞬間は自分の好みでない曲をかけなければならないときもあると思います。MARTINさんのDJでは、その比率はどれくらいですか? 

DJ MARTIN 新しい曲はかけないと流行らないですよね? だから例えお客さんがその曲を知らなくても積極的にかけるようにはしています。それに……例えばこの間PLUSTOKYOに来たスティーヴ青木。スティーヴ青木が好きで来ているファンだから、何をかけても盛り上がります。僕らクラブDJは、そこに“偶然”いるお客さんを楽しませないといけない。「好きな曲」と「かけなければいけない曲」=3:7くらいの感覚だと思います。

何かけても盛り上がる状況を、英語で“ゾーンに入る”と言います。そこまで行っちゃうとホントに何をかけても盛り上がる。人がたくさんいるクラブだと起きやすいですね。月一でレギュラーパーティをしている京都ワールドでは、パーっと盛り上がったらお客さんが付いて来てくれる。この曲は知らないだろうなっていう曲でも、かっこよかったら盛り上がる。

──そういう状況は楽しいですか?

DJ MARTIN 楽しいし、好きですね。そのゾーン入る状況に持って行くのがすごく難しいので、その過程が楽しい。それにお客さんからもエナジーをもらう感覚がするんです。一方で、誰も知らないアンダーグラウンドな小箱で回すのも好きですね。ハウスも好きですし、自分がかっこいいと思う曲だけをかける、そういうスタイルも好きです。ただ今は分かりやすい、お客さんが盛り上がってくれる音楽でないと、なかなかビジネスにはなりにくいのかな、とは思いますけどね。


<FRIDAY + FEVER>

毎週金曜日
PLUSTOKYO
9PM〜MIDNIGHT
GENTS:1000/1D(〜21:00)※DOOR
     2000YEN/1D(21:00〜LAST)※DOOR
LADIES:1000/1D※DOOR

DJ:
DJ MARTIN
ChiMy

◆DJ MARTIN オフィシャルサイト
◆PLUSTOKYO オフィシャルサイト
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