【インタビュー】D.Y.T、良質なボーカリゼーションとスタイリッシュ&エモーショナルな楽曲の1stミニ・アルバム『MINGLE』

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■今年はD.Y.Tの幹になる部分を太くしていきたい
■強い説得力を持ったアーティストになれると思うから


――続いて、『MINGLE』の2曲目に入っている「FALLIN’」にいきましょう。

菅野:これ本当にいい曲で、二人ともすごく気に入っています。この曲は、デモを聴いたときの鳥肌がすごかった(笑)。

千田:そう。“キタッ!”と思った(笑)。「FALLIN’」は、夏の夕方に聴きたい感じの曲です。

菅野:「FALLIN’」は、曲を出すにあたって自分達でテーマを決めさせてもらったんですよ。夏っぽくて、ちょっとせつなさもある曲を出したかったんです。それをスタッフに伝えて、参考になりそうな曲を聴いてもらったりしたうえで曲を作っていただいたんです。そうしたら、予想を超えるいい曲があがってきて、すごく嬉しかったです。

千田:「FALLIN’」は、歌詞にも自分達の思いが反映されています。次はどういう曲にするかを決めた時点で、結構ストーリーができあがっていたんですよ。

菅野:歌詞に出てくる女の子は、かなり明確にイメージしました。日焼けしていて、髪は黒髪のロングで…みたいな(笑)。

千田:身長はこれくらいで、こういう水着で…とかね(笑)。僕はイメージという範疇を超えて、妄想していました(笑)。ちょっとヤバいですよね(笑)。

――いえ、細部までイメージすることは大事だと思います(笑)。「FALLIN’」は夏の恋心を描いた歌詞で、すごく好きだけど叶わないというせつなさがいいですね。

菅野:そう。“届きそうで、届かない”ということがテーマなんです。そういう経験をしたことがある人は多いと思うし、そういうストーリーが一番響くかなと思って。僕らのそういう思いを汲んで、すごくいい歌詞を書いていただけたなと思います。

――同感です。この曲の歌録りは、いかがでしたか?

菅野:Aメロのラップっぽい歌が超大変でした。低い声で、しっかりしたリズムを出すというのが難しくて、Aメロだけで録るのに2時間くらい掛かったんです。強く出し過ぎてもダメだし、弱過ぎても違うんですよ。その中間を表現しないといけなくて、それがメチャクチャ大変だった。何度も歌って、ようやく“キタッ!”というテイクが録れて、ホッとしました(笑)。

千田:この曲は、本当に難しかったです。もう全部のパートが難しいけど、特にBメロの出だしですね。そこは陽太のラップから一気にエモーショナルに変わるし、歌詞の感情がちゃんと伝わるようにする必要があって。それが本当に難しくて、僕はこの曲が人生2曲目のレコーディングだったんですけど、甘くない世界だなということを痛感しました。「GET UP」は元気に歌うとハマったけど、「FALLIN’」は叶っていない恋を歌っている曲なので、特に感情を込めないといけないと思うんですよ。いや、この曲は相当鍛えられました。

菅野:「FALLIN’」を乗り越えられたから、その後だいぶ楽になったよね(笑)。

千田:なった。「FALLIN’」から後は、今のところキツいなと感じることはないんですよ。そういう意味では、早い時期に、いい経験をさせてもらえましたね。


――苦労した甲斐のある曲に仕上がっています。続く「Thinking about you」は、ウォームなスロー・バラード。

菅野:これもイメージを伝えて、作っていただきました。別れた恋人に向けて歌っている曲で、離れてしまったけど、自分が本当に大切に想っている人だったので、幸せになってほしいなという心情を描いています。良くいえば美しいけど、悪くいえば、別れても未練タラタラ…みたいな(笑)。

千田:この曲の歌詞をどうするかということを話し合ったときに陽太が恋愛観を熱く語ったんですけど、彼は自分とは考え方が違うので、最初は“こいつは何を言っているんだろう?”と思いました(笑)。

菅野:ハハハッ!(笑)

千田:でも、周りの友達に聞くと、みんな陽太と同じような感情を持っているんですよ。ということは、普遍的な感情じゃないですか。そういうものを歌詞にするのはいいなと思って、実際に「Thinking about you」が完成したときに、“ああ、いいわ”と思いました。“間違ってないんじゃない?”みたいな(笑)。陽太が熱く語っただけのことはありましたね。

――ということは、千田さんの中には、こういう感情はあまりないと?

千田:ないです。僕は終わった恋を引きずったり、昔の恋愛を思い出したりするのは好きじゃなんですよ。だから、最初は意味がわからなかった。それに、『MINGLE』に入っている「Thinking about you」以外の3曲は、どちらかというと前向きな曲だと思うんですよ。だから歌をイメージしやすかったけど、「Thinking about you」は完全に失恋の歌で、どういうふうに歌えばいいのかもわからなかった。それで、嫌々ながら昔の恋愛のこととかを思い出しながら歌ったら、意外とハマる声があったんです。そのときに、こういう感情もすごく大事なんだなと気づきました。

菅野:気づくのが、ちょっと遅いと思う(笑)。この曲の歌も難しかったですね。「FALLIN’」と同じように感情を込める部分が多かったので、歌のディレクションをしてくださった方に技術面のアドバイスを結構いただきました。「ここは、息多めで」とか「ここは、もう最大限の気持ちで」とか。でも、「GET UP」とか「FALLIN’」のレコーディングを経験したことが活きて、煮詰まったりすることはなかったです。

――「Thinking about you」の繊細なボーカルも本当に聴き応えがあります。『MINGLE』を締め括るのは、メロディアスかつ前向きな「Only One」というナンバー。

菅野:「Only One」は、いつかD.Y.Tがワンマン・ライブを実現させときに、一番最後に歌う曲がほしいなと思って。それに合う曲調にしたいと伝えて、歌詞もネガティブな部分も見せつつポジティブさを打ち出したものにしようと決めて、作家さんに作っていただきました。

千田:この曲は、僕はすごく思い入れがあります。僕は、いろんなことを考えるのが好きなんですよ。そういう中で、現代の人というのはSNSが出てきたことで、すごく自己顕示欲が強くなっているなと思ったんです。自己顕示欲が強過ぎて、逆にネガティブになったり、やりたいことがあっても周りを気にしてやれない人が沢山いる気がする。僕はそういう言葉と出会うたびに、“やりたいなら、やればいいじゃん”と思うんです。まずは動けばいいだろうと。で、「Only One」という曲を歌うとなったときに、そういう人にも向けて発信したいなと思って。歌詞の中にそういう言葉が具体的に出てくるわけじゃないけど、“夢があるなら周りのこととかは気にせず、そこに向かって突き進めばいいじゃん”という気持ちを込めて歌っています。

菅野:そういうところも含めて、「Only One」は自分達なりの前向きな曲にできたかなというのがあって。前向きな曲といっても、どこの人に向けてなのかというところで、最初は選択肢がいろいろあったんですよ。それを全部ひっくるめて、こういう曲になったのはすごく良かったと思う。「Only One」は夢を持っているすべての人に共感してもらえる曲だと感じていて、より多くの人に届くといいなと思っています。


千田:そうだね。それに、「Only One」はレコーディングも早かったよね?

菅野:うん。今回の中では一番スムーズでした。レコーディングに慣れてきていたし、この曲はすごく入りやすかったんです。だから、特に苦労することもなく、スンナリ録れました。

――どんどん進化されていることがわかります。それに、今日話を聞いてわかったのですが、D.Y.Tはプロデューサーやスタッフなどが決めた曲をリリースしているのではなく、次はこういう曲を出そうと自分達で決められているんですね。

菅野:そう。それは、ありがたいことだと思います。D.Y.Tは「今度のシングルは、この曲だよ」と曲を渡されて、歌詞もできあがっていて、歌の振り分けも決まっていて、ディレクターに言われたとおり歌うというようなパターンではないんですよ。自分達の道筋を自分達で決められるのが嬉しいし、やり甲斐を感じています。

――ファンの皆さんも嬉しいと思います。さて、『MINGLE』はD.Y.Tの魅力を知るのに最適な一作になりました。本作のリリースから始まる2109年は、どんな年にしたいと思っていますか?

菅野:今年はいのしし年で、世の中に“猪突猛進”という言葉が溢れていますよね。なので、その言葉のごとく突き進みたいと思っています。D.Y.Tは2017年の年末に始動して、去年は初めてのことをいろいろと経験させてもらったんですね。今年はそこで吸収したものを活かしてパワーアップした姿を一人でも多くの人に見てもらうことが目標です。ライブを精力的にやろうと思っているし、リスナーの方がD.Y.Tに触れる機会を増やしたいですね。「FALLIN’」のMVがYouTubeに上がっていて、2月中に「Only One」のMVも完成する予定なので、D.Y.Tに興味を持った方は、ぜひチェックしていただければと思います。

千田:“猪突猛進”言われちゃったか(笑)。どうしようかな……陽太も言ったように、去年は本当にインプットの多い1年だったんです。それを経て、今の自分達はD.Y.Tとしての軸を見つけつつあって。去年は結成したばかりで、どういう感じに動いていけばいいかというところで、探り探りの部分があったんです。それが固まりつつあるので、今年はD.Y.Tの幹になる部分を太くしていけるといいなというのはありますね。そうすることで、強い説得力を持ったアーティストになれると思うから。あとは、気持ちの余裕が出てきたら、ライブでダンスを披露するのもいいかなと思っているんですよ。今年中に実現できるようにがんばるので、それもちょっと期待していてほしいです。

取材・文●村上孝之


リリース情報

1st mini Album「MINGLE」
2019年1月23日(水)RELEASE
<収録曲>
M1.GET UP
M2.FALLIN’
M3.Thinking about you
M4.Only One

関連リンク

◆D.Y.T official HP

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