【ライブレポート】R指定、10周年を迎える“本物”のライブ

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R指定が1月8日(火)豊洲PITにて、<‐苦執念計画‐最終公演『此の子の九つのお祝いに』>を完結させた。

◆ライブ画像(24枚)

そもそも“‐苦執念計画‐”とは、バンドの9周年を記念して9つのミッションを遂行するというもの。ライヴツアーしかり作品のリリースしかり、2018年もR指定は目まぐるしく活動を続けていった。そうした中、ひとつの転機といえるツアーがあった。<ファアストアルバムツアー『人間失格(再)』>だ。つい最近発表した5thフルアルバム『死海文書』とは別に、このライヴはタイトルのとおりバンド初期にリリースした作品の懐古ともいえるツアーとなっていただけに、彼らの原点回帰を垣間見ると同時に新たな魅力を知ることになった貴重な時間だったといえよう。


そして2019年最初のライヴが豊洲PITにて行われたわけだが、当日はお正月明けの平日。それゆえ、多くの人にとって休みが取りづらい環境でもあったとは思うのだが、蓋を開けてみれば会場はたくさんの観客で埋め尽くされていた。指定女子・指定男子(R指定ファンの呼称)をはじめ、今日初めて彼らのライヴを観るのか、はやる気持ちを抑えられないといった様子で開演を待つオーディエンスも。

そんな中、場内で流れていたオープニングSEが止み、目の前のスクリーンにメンバーの姿が順番に映し出されていった。新曲「EROGRO」にちなみ、1人ずつ舌舐りをしていく表情がアップで映ったのだが、その破壊的なかっこよさに指定女子は号泣しそうな勢いで大きな歓声を上げていた。メンバー全員がステージへと登場し始まったのは「八幡の薮知らず」。背景に広がる荘厳な竹薮の映像と相まって、より神聖さを増した楽曲を観て感じたことがある。近年のR指定は“音で魅せる”ということが非常にうまくなってきた。そこにいた全員が1曲目から食い入るようにステージを見つめている。場内に粛々と広がる静寂こそが、音に魅せられたということを物語っていたように思う。


その後、「いけるか東京! いけんのか、かかってこい!」というマモ(Vo)の新年一発目の煽りから、「喪失-soushitsu-」へと場面が切り替わると、フロアも戦闘モードに。続く「アポカリプティックサウンド」では天井高くまで吹き出したCO2の柱に突進するかのごとく、Z(G)、楓(G)、七星(B)がステージ前方ギリギリまで出てきて演奏していく。そこからはいつものスタイルと同じように、SEを挟みながら本編は進行していった。

特に良かったのは、ライヴ中盤で披露された「人間失格」と「EROGRO」だ。両曲の間に場面切り替えのためのSEを挟んでいるとはいえ、昔の曲からいきなり最新曲へと移るのはライヴの構成を考えても難しい並びではないだろうか。しかし、彼らはそれをいとも簡単にやり遂げた。宏崇(Dr)の切れ味の良いドラミングが冴えたアッパーな「人間失格」、妖しげなダンスナンバー「EROGRO」と、くるくると雰囲気を変えながらもフロアを一気に引き込んでいく。


また、「予言」では視覚面にこだわることによって、作品のテーマにもなっていた宗教観が一層強めに出ていた。やはり、広い会場の利点はこうして視覚的に楽曲を膨らませられることだろう。次の「MELT DOWN」も映像を使うことによって違う角度から楽曲を捉えることができた。余談だが、この曲が演奏されているとき、間奏部分のところでステージに救いを求めるように手を伸ばしていた指定女子が目に付いた。きっと色々な想いがあってこの曲を聴いていたに違いない。ちぎれるぐらい伸ばしたその手の真意は本人にしかわからないが、この曲に限らずR指定の楽曲には感情移入できる曲が多い。

聴いていて心地よい、観ていて楽しい、そんな曲はこの世の中たくさんある。もちろん、彼らの発信する楽曲だってそうした要素はある。だが、それらと圧倒的に違うのは、世間からタブーとされることでも真っ正面からぶつかって歌詞や楽曲に落とし込んでいるところではないだろうか。だからこそ、聴く者の心に刺さる。それならばR指定のような雰囲気の曲を作れば俺たちも売れるんじゃないかと考えるバンドもいるだろう。いや、便乗したからといって、彼らが作り出してきた世界観には到底及ばない。“メンヘラ”や“宗教観”をいくら真似たところでR指定には絶対にならないし、近付けたと思ったところでそれは勘違いだ。傍から見たら、そんなのはR指定っぽいという“イミテーション”であり、決して本物にはなれないのだから。


何故こういうことを書くかというと、彼らが“R指定らしさ”を作り上げるまでにはおよそ10年の月日がかかっているからだ。毎回、血を吐くような思いで作品を作り上げ、ステージに立っている。繰り返しともいえるスケジュールをどうして何年間も出来ているのかといったら、そこに応援してくれる指定女子・指定男子がいるから。マモがよくライヴで口にする「生きろ」という言葉はファンに向けて背中を押している部分もあるが、自分自身がファンに生かされているからこそ出てくる言葉だ。だから、誰でも簡単に真似できるものではない。

ちなみにこの日は、アンコールのMCで「正月明けのド平日っていう最悪の日に、何でお前ら来たん?」といつもどおりのSっぷりを見せたマモ。フロアからはすぐに休みを取ったという声が上がる。それを聞いて「こいつら大事にせんといかんばい(マモ)」と喜びを露わにした。R指定は5人そろってSNSでライヴの宣伝を派手にするタイプではない。それだけに、こうしたド平日にR指定を心から愛する人たちが集まってくれたのがよほど嬉しかったのだろう。


もちろん、事情があってここに来られなかったファンも大勢いるはずだ。そんな人たちに向けて、彼らは最高の贈り物を用意していた。アンコールラスト「波瀾万丈、椿唄」が艶やかに演奏され、マモが「東京楽しかったかーい。日本全国からこんな日の悪いクソ平日に集まってくれて本当にありがとうございました。R指定、2019年良い皮切りのライヴになったと思います。俺ら、2019年ぶっ飛ばしていくんでお前ら絶対ついてこい、わかったかー!」と言ってメンバー全員がステージから去った後、『R指定からの重大発表』が映像を通して発表された。

それは、結成十周年記念として47都道府県単独ツアーを廻ること。しかも、ツアーファイナルは過去最大キャパとなる両国国技館で行われるということだった。割れんばかりの歓声がフロアにこだまする。それを受けて再度5人がステージに登場すると、最後に「魅惑のサマーキラーズ」と「友達を殺しました。」が演奏された。両国国技館でのライヴを控えているバンドが「友達を殺しました。」なんて殺伐としたタイトルの楽曲で2019年最初のライヴを締め括るなんて誰が想像しただろうか。更にはステージからはけるときにフロアに向かって中指を突き立てて帰っていくマモの姿も何とも小気味良い。10周年を迎え彼らはますます輝いていくことだろう。それだけに、これからも“本物”として、バンド生命をまっとうしてもらいたいとつくづく思った。

取材・文◎水谷エリ
写真◎ ゆうと


<R指定特別単独公演 『チケ発大戦争~反逆のハロウィンナイト3~』>

2019年2月9日(土)高田馬場AREA
[OPEN/START] 16:30/17:30
INFO 高田馬場AREA 03-3361-1069

[料金] オールスタンディング¥4,500(税込・ドリンク代別) ※5歳以上チケット必要
[一般発売日] 2019年2月2日(土)

◆R指定 オフィシャルサイト
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