【連載】CIVILIAN コヤマヒデカズの“深夜の読書感想文”第十四回/ジョージ・オーウェル『動物農場』

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こんにちはこんばんわいつもありがとうございます。コヤマです。
CIVILIANというバンドで歌を歌ったりギターを弾いたり曲を作ったりしています。

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年も色々やってげらげら笑おうと思うので、皆さん宜しくお願いします。正月はゆっくり過ごせましたか?おせちは食べましたか?僕は久しぶりに実家に帰りました。皆さんは生まれ故郷に行くとどんな気持ちになるんでしょうか。自分がどう思っているかに関係なく、僕が生まれた場所はあそこなんだなという厳然たる事実を思い出します。今まで全く思わなかったことですが、こんな僕にも故郷というものがあって、生まれ育った街があって、ここがあって今の僕の頭の中が作られたんだなと、今更になって思い知りました。実家なんていつでも帰れる場所だと思っていたら、いつの間にかとても懐かしい場所になっていた。少し驚きました。

3月13日に、僕のバンドCIVILIANが新しいCDをリリースします。「邂逅ノ午前零時」と言います。昨年ライブイベントを主催した際に、中田裕二さん、さユりさん、GARNiDELiAのお二人をそれぞれお呼びしてツーマンライブをやったんですが、今回の新譜完成の最初のきっかけになったのはそのイベントでした。新譜制作にあたって声をかけさせて頂き、快くOKしてくださったまねきケチャの皆さん、majikoさん、プロデュースを買って出てくれた中田裕二さん、本当にありがとうございます。とても楽しかったです。もっともっと沢山のことがしたい。その第一歩として僕らが繰り出す2019年最初の名刺です。2019年の皆さん、我々がCIVILIANです宜しくどうぞ。

だいぶ関係ない話になりましたが、十四冊目の本をご紹介します。
(この感想文は内容のネタバレを多分に含みます。肝心な部分への具体的な言及は避けますが、ご了承の上読んで頂ければ幸いです)

  ◆  ◆  ◆

動物農場
ジョージ・オーウェル (著), George Orwell (著), 高畠 文夫 (翻訳)
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【第十四回 ジョージ・オーウェル『動物農場』】

■ディストピアと独裁者が出来上がってゆく過程、そして「教養」についての話

第十四回はこの方。ジョージ・オーウェル作『動物農場』です。
ジョージ・オーウェルといえば、言語・思想などあらゆるものが統制され管理された未来社会の恐怖を描いた『1984年』が有名かと思います。アメリカの大統領選挙でトランプ氏が当選してから、何故か50年以上前に書かれたSF『1984年』が急に売れ出したそうですね。

この『動物農場』と共に、SF、ディストピア系の作品が好きな方、そうでない方でも、ジョージ・オーウェルの名前はおそらく知っている方も多いんじゃないでしょうか。なので、すでに知っている、読んだことのある人にとっては当たり前に知っていることしか書かないかも知れませんが、知らない・読んだことがない人に向けて、この『動物農場』がどういった話なのか、そもそも「ディストピア」って何?ということを書いていこうと思います。

ジョージ・オーウェルは「ディストピア作家」として有名です。SFなどでよく題材にされますが、政府によって国民の発言・思想・行動などが制限され、表面上では皆が平等で争いも貧富の差も無い理想的な社会が実現されているように見えて、その実国民たちの人間的な尊厳や自由は著しく損なわれている社会を描いたものです。

小説、映画、アニメ、ゲーム等でこのディストピアを描いた作品は沢山世に出ていますが、今よりもっともっと昔、このディストピアと呼ばれる社会こそが理想的な社会であると考えられていた時がありました。それを現実世界で実際に成し遂げようとしたのが、世界初の社会主義国家であったロシア・ソビエト連邦です。1980年代までは、少なくない数の国で社会主義は上手くいくと信じられていました。

日本は明治維新後から現在まで資本主義国家ですから、基本的に労働者がより多くの利潤を追求し「何を」「どれだけ」作り「いくらで」売るのか自由に決めることができます。その結果競争が起こり、競争を勝ち抜いた者は沢山の富を得て、その代わり負けた者は貧しくなっていきます。それに対して、恐慌やインフレを起こさないように「何を」「どれだけ」作り「いくらで」売るのかを全て政府が決め、労働者は個人の利益を追求せず政府の指示に従って労働し、それによって得た利益は全て平等に分配するというのが社会主義国家の大きな特徴の一つです。ソ連は結局失敗してしまったので、社会主義というシステムは上手くいかないということが証明されてしまったわけですが、今回お話する『動物農場』は、社会主義の国だったロシア・ソ連をモデルとして書かれていると言われています。ですが、ジョージ・オーウェル自身も『動物農場』は「おとぎばなし」だと言っているそうで、動物を主人公にした寓話のような話で、ページ数もそれほど多くなく、社会主義や共産主義がどういうものなのか、あるいは教養を悪用するということについてとても読みやすく書かれていると思います。


ジョーンズという農場主が経営する「荘園農場」という農場には、沢山の動物達が飼育されていました。動物達は人間達にいつもこき使われ、食用の動物達や年老いて働けなくなった動物達は無慈悲に屠殺され、人間達の為に払っている犠牲の割には最低限の食べ物と住む場所しか与えられませんでした。しかし多くの動物達はそれについて疑問を持てるほど頭が良くなかったので、境遇を嘆きはすれどどうすることも出来ませんでした。そんな中、雄豚の老メージャーが奇妙な夢を見たというので、ジョーンズが寝静まった後に集会を開き、それを他の動物達に伝えました。

「さて、同志よ、我々のこの世の生活とはどんなものであるか。これをまともに考えてみよう。(中略)イギリスにおいてはいかなる動物も、生まれて一年も経てば、幸福とか暇とかいうものは何であるかわからなくなる。イギリスの動物はだれひとり自由なものはない。動物の生涯は不幸と奴隷状態である。これはまぎれもない真相だ。」

老メージャーは動物達に、今の自分達の境遇は決して仕方のないことではなく、人間によって劣悪な環境を強いられていること、人間こそが自分達の敵であり、人間を放逐すれば動物が飢餓と過労と屠殺に悩まされることは永久に無くなるのだ、と説きます。そして最後に、夢の中で聴いたという、動物達が人間の支配から脱することを歌った「イギリスの家畜」という歌を教えました。

その3日後に老メージャーは亡くなりましたが、荘園農場の動物達の中で特に聡明な何匹かの動物達によってメージャーの思想は受け継がれ(豚は特に頭が良かったので、先頭に立って物事を進めていきました)、あることがきっかけとなりついに農場から人間を追い払い、世界でも初めての「動物が経営する農場」が誕生することになったのです。

初めのうち動物達は(というか多くの動物はほとんど最後まで)、「これからは自分達が搾取されるための労働ではなく、自分達が生きていく為に労働できるのだ」と、労働自体に大きな喜びを持っていました。なので、どんなに大変な労働でも、相変わらず生活が苦しくても、食べるものが少なくても、人間に奪われるためではなく自分達の為に労働しているのだと思えば、誰一人(一匹?)として文句を言う動物はいませんでした。頭のいい豚達が本を読み教養を蓄え、動物達が守るべき法を作ります。頭の悪い動物達は文字も読めずなかなか理解も出来ませんでしたが、それでも豚達が中心となり根気強く動物農場を作っていったのです。

豚は一番頭がいいと尊敬されていましたし、事実、アルファベットを覚えることすらできない動物が多かったので、豚達の言うことなら他の動物達は基本的に全て信じました。果樹園のりんごを豚が全て持っていくと決定しても、牛から絞った牛乳を分配せず豚の食事にすると決められても、農場の中心である豚達の健康維持のためだと言われれば納得します。「全ての動物は平等である」という取り決めに反しているのではないかと疑われるような豚の行動に、一部の動物は一瞬疑問を持つものの、頭のいい豚達からああだこうだと難しい言葉で説得されると、豚の言うことが正しいことのように思えてくるのでした。

農場を奪還しようとする人間達からの襲撃を退けたりしながら、農場経営を続けていく動物達ですが、当初から動物達の先頭に立って農場を経営していた二匹の豚のうち、一匹がもう一匹を密かに追放しようと企てます。その目論見は成功し、自分に並ぶものがついに農場からいなくなった豚は、ほかの動物たちに教養が無いことを利用して、徐々に徐々に、独裁者として振る舞うようになります。果たして、最初に老メージャーが皆に説き、皆が夢見た「動物たちによる動物たちのための平等な農場」は実現するのでしょうか。結末やいかに。

本作では社会主義や独裁者の恐ろしさ、愚昧な労働者の姿なども描かれていますが、もう一つ、「教養があるということの力」についても描かれています。我々日本人は義務養育もありますし、教育を受けられるのは当然のように思えるので、勉強することがどれだけ大切なことなのかを実感する機会が、もしかしたら減っているのかも知れません。でも、自分の人生をどうすればより良くすることが出来るか、それを考えることが出来るのも教養があってこそです。作中に出てくる哀れな動物たちが、せめてアルファベットを読めたなら、もう少し頭が良かったなら、結末はもしかしたら違っていたのかなとも思います。自分自身を助ける為に、教養を身につけることがいかに大事なことか、読んでいて改めて気づかされました。「難しい」「わからない」「知らない」からといって他人任せにして暮らしていると、いつの間にか取り返しのつかないことに巻き込まれているかも。そんな話でした。とても面白かったです。


いつも通り、ただの個人的な感想です。是非是非読んでみてくださいね。
それじゃあまた。

CIVILIAN NEW EP『邂逅ノ午前零時』

2019年3月13日(水)発売
1,389円+税 品番:SRCL-9994

<“Hello,civilians.” 2019全国編>

“Hello,civilians.” 2019全国編・金沢
2019年2月9日(月・祝)金沢vanvan V4

“Hello,civilians.” 2019全国編・高松
2019年2月11日(月・祝)高松DIME

“Hello,civilians.” 2019全国編・福岡
2019年2月16日(土)福岡Queblick

“Hello,civilians.” 2019全国編・広島
2019年2月17日(日)広島CAVE-BE

“Hello,civilians.” 2019全国編・大阪 ー僕語リ午前壱時ー
2019年2月23日(土)梅田CLUB QUATTRO

“Hello,civilians.” 2019全国編・名古屋 ー君望ミ午前参時ー
2019年2月24日(日)名古屋CLUB QUATTRO

“Hello,civilians.” 2019全国編・東京 ー朝焼ノ午前伍時ー
2019年3月17日(日)マイナビBLITZ赤坂

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