【インタビュー】AK-69、使命を胸に

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アンセム=聖歌、祝歌、一つの集団を繋ぐシンボルとしての賛歌。自他共に認めるこの国のヒップホップのトップランナー・AK-69、およそ2年半ぶりのオリジナル・アルバムのタイトルは、ずばり『THE ANTHEM』だ。再び挑戦者に戻る決意を綴るタイトル曲「THE ANTHEM」から、昨年リリースのコラボ・ベスト『無双Collaborations -The undefeated-』に収録されて大反響を巻き起こした、Toshl(X JAPAN)をフィーチャーした「BRAVE」のオーケストラ・バージョンまで。清水翔太やt-Aceなど多彩なゲストの熱演も加わり、全11曲に詰め込んだ熱量は過去のどの傑作にもひけを取らないほどのハイ・レベル。孤高の道をひた走るAK-69、ソロ・デビュー15周年の幕が華々しく開いた。

  ◆  ◆  ◆

■自分も戦ってるから戦ってる人に響く
■全部が答え合わせのような

──11曲だから、コンパクトにさらっと聴けるかと思ったら、とんでもなかった。めちゃくちゃ濃い。

AK-69:濃度、濃いめですよね(笑)。

──まさに。2年半待った甲斐がありましたよ。

AK-69:去年客演ベストを出したりしたんで、2年半何もやってなかったわけではないんですけどね。前の作品との間にいろんな曲がたまっていて、タイアップが決まった曲だったり、半分近くはもう出来てたのかな? そういう曲を集めたコンピみたいな感じになるかな?と思ってたんですけど、出来てみたらめっちゃ濃かった。

──タイトルは、ずばり『THE ANTHEM』。

AK-69:自分の曲はアンセムと言われる曲が多くて、アスリートの方、経営者の方、普通に勤めている中で戦っている方とか、葛藤の中で頑張っている人たちに響く曲が自分の神髄だと思ってるんですけど、必然的にそういう曲が増えてきたんで。出来るべくして出来たアルバムだと思ってます。

──でっかいタイトルですよね。今この言葉を掲げるべきだと思ったのはなぜ?

AK-69:今までもそういう曲を作ってきたからということもあるんですけど、あらためて思うと、一昨年の武道館は俺自身の再起を賭けてやって、2018年にはToshl(X JAPAN)さんとコラボさせてもらったりとか、いろんな経験をしたことが大きいです。あと、長渕剛さんに会ったこともすごく大きかった。

──おおー。

AK-69:恥ずかしながら、長渕さんのライブを見に行かせてもらうのは去年が初めてだったんですよ。もちろん彼の歌は知りすぎるぐらい知ってますけど、初めて行って、楽屋に呼んでいただいて、すごい長いこと話をしてくれたんです。長渕さんは、俺のことを数少ない使命を持ったアーティストだと思ってくれていて、おまえはそういう使命のもとにいるアーティストだから、アティテュードが曇ったり、もういいやと思ったりすることもあるだろうけど、俺も40歳手前ですごい葛藤に押しつぶされそうになって、死にてえと思うところまでいって、そこで「STAY DREAM」という曲が出来たんだよという話をしていただいて。「おまえはまだまだここからだから、選ばれた者としてちゃんと戦い続けろよ」と言っていただいた、それも一つのきっかけになってます。

──それは響きますね。

AK-69:振り返ってみても、自分の生き様から紡ぎだす音楽が、自分も戦ってるから戦ってる人に響くという単純な話であって。それを言葉にするなら『THE ANTHEM』かなと思ったんですね。人を愛する感情とか、パーティ・ソングとか、アーティストとしていろんな歌を書きたいですけど、俺の神髄にあるのはこれなんじゃないか?ということです。

──オープニングの「THE ANTHEM」は、まさにもう一度ここから挑戦者になるという決意の曲。

AK-69:傑作のアルバムが出来る時って、だいたいいつも最後に録った曲が1曲目になるんですよ。今回もスケジュールが詰まってて、ツアー中でもあったし、精神的にも研ぎ澄まされた状態で最後に出来たのが「THE ANTHEM」です。それと、数々の傑作を作ってきたプロデューサーが戻ってきたんですよ。俺の地元の後輩で、みんなが知ってるヒット曲のほとんどを作ってるRIMAZIって奴が。しばらく音楽から遠ざかってたんですけど、もう一回音楽で出直したいという決意を固めて、去年俺の事務所に入ることになって。AK-69とRIMAZIのタッグが戻ってきた。たぶんファンの人たちが聴いて「あの頃のAK-69が戻ってきた」と思うのは、RIMAZIというプロデューサーの存在がすごく大きいと思います。

──それに続く「THE RED MAGIC BEYOND」も重要な曲ですよね。かつての「THE RED MAGIC」の、続編と言うか第二章と言うか。

AK-69:あんまり大きな声では言えないですけど、薬物にたとえて、俺の音楽がこの街に口コミで広がっていく様を描いたのが、オリジナルの「THE RED MAGIC」。勢いのある時じゃないと書けない歌なんですよ。前作の『DAWN』(2016年)を作る前は、もうここまでかなと思うこともありましたし、それから自分の事務所を立ち上げて、アルバムを作って、無理だと言われた二度目の武道館公演を成功させて、それがToshlさんたちとのコラボにも繋がった。今あらためて、自分の音楽がヒップホップの客層を通り越していろんな人に響くようになったことが実証されて、全部が答え合わせのような、自分が信じてやってきたことは間違いじゃなかったという、一周回ってまた勢いづいてるというのはありますね。

▲AK-69/「THE RED MAGIC」

▲AK-69/「THE RED MAGIC BEYOND」

──勢いに深みをプラスして。

AK-69:そう。1曲目のSEがそうですけど、ああいう苦悩や葛藤の中から始まっていく。若い時みたいにただ勢いだけで、「俺は地方馬だけどやってやるぜ」みたいな、そういうことだけではない、ある種の負け、諦め、葛藤とかを通り越えた上での挑戦という、そこが昔とは違うところだと思いますね。

◆インタビュー(2)へ
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