【ヴォーカル対談】怜[BAROQUE] × 田澤孝介[Rayflower]、ツーマン前哨戦で「“歌”って人柄だと思ってる」

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BAROQUE主催による<kiss the sky Ⅰ>が3月27日、マイナビBLITZ赤坂にて開催される。同イベントは2人体制によるBAROQUEが2019年に立ち上げた初ツーマン企画となるもの。その第一弾として迎えられたのがRayflowerだ。

◆怜[BAROQUE] × 田澤孝介[Rayflower] 画像

両バンドは2017年3月22日にLIQUIDROOM ebisuで行われたRayflower主催東名阪イベント<Rayflower presents Night which GLORIOUS>の東京公演で初共演を果たしている。2年ぶり二度目の共演となる今回は、招く側と招かれる側が逆転して開催されることとなる。

BARKSでは、ヴォーカリストの怜[BAROQUE]と田澤孝介[Rayflower]、音楽的な要となる圭[BAROQUE]と都啓一[Rayflower]といった2組の対談を行なった。そのヴォーカリスト対談では、初共演となった<Night which GLORIOUS>の感想はもとより、ヴォーカリストとしての原点やそれぞれの挑戦、作詞方法が物語る双方のバンドスタイル違いのなど、トークが進むうちに個々のキャラクターが浮き彫りとなって両者の発言が止まるところを知らない。15,000字オーバーのツーマン前哨戦となる怜と田澤のロングなトークセッションをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■「上手」と言われているうちは弱い
■それを超える何かが欲しくなる

──2017年3月に開催されたRayflower主催東名阪ツーマンツアー<Night which GLORIOUS>の東京公演にBAROQUEが出演されましたが、今回は逆にBAROQUE主催イベント<kiss the sky Ⅰ>にRayflowerをお招きするカタチですよね。

田澤:そう。実はなかなかない“お返し”の実現となります。

怜:2年ぶりのお返しですね。ちょうど時期的にも同じぐらいで。

田澤:2年も経つんだ、光陰矢の如しですね。で、実際のところ、今回、なんで誘ってくれたんですか(笑)?

▲BAROQUE

怜:ははは。まず、BAROQUEは2018年にワンマンライヴを30数本やって、2019年は“アルバムを出そう”というのと、“ツーマンライヴとかを企画して、もっと外へ出ていこう”という話をしていたんですね。そこで、対バンの候補リストがメンバーとスタッフ側から上がって、第一弾としてRayflowerさんにお声掛けさせていただいたという感じです。

田澤:ありがとうございます。今回、2回目の対バンということになるわけですけど、対バンって「またやろうね」とは言いつつも、スケジュール調整が結構難しかったりするんですよ。実現するのはレアケースなので、喜びを感じてます。

──前回のツーマン<Night which GLORIOUS>は、今振り返ってどんな手応えがありましたか?

怜:お会いする前は、“僕ら、どう思われるんだろうな?”って心配してたんですけど、Rayflowerのみなさんに温かく迎えてもらいまして。ライヴ当日は純粋に気持ちよかったですね。ライヴ後も、僕らのファンから「あの対バン、良かった」という声を聞いていたし、特に最近、インストアイベントでファンと触れ合うことが多いんですけど、そこでも今回の対バンを「すごく嬉しい」と言ってくれているんです。そういう意味でも感触がいい。

田澤:本当? 良かったです。BAROQUEさんの存在はずっと知ってて。前回のツーマンの時は“やるぞ~!”みたいな、実はいい意味でピリッとというか、勝手にフガフガしてたんですよ(笑)。でも、実際に会ってみたら、意外と物腰がすごく柔らかい。

怜:イメージと違いました(笑)?

田澤:そうそう(笑)。“めっちゃええ人やー!”みたいになって、安心した。

怜:僕らも前回はもちろん意気込んではいたんです。“絶対に、現在モードのBAROQUEを見せよう!”というピリッと感はやっぱりありましたから。だから余計に、“あ、Rayflowerのみなさんはこんなに柔らかいんだ”って思ったし、打ち上げでお話したいと思ってたんですけど、田澤さんとはしゃべれなかったんですよね。

田澤:前回の打ち上げは、俺だけ先に帰ったんだったかな? たしか俺だけ次の日、朝が早かったんだと思う。

──今回の<kiss the sky I>は、現体制のBAROQUEとして初主催イベントになるんですよね?

怜:そうなんです。主催ツーマンはこの体制では初でして。

田澤:その一発目がRayflower? うわ~!これは盛り上げないとね!

怜:ぜひぜひ。

▲<Rayflower presents Night which GLORIOUS>2017年3月22日@LIQUIDROOM ebisu

──話はもっと遡りますが、そもそも初ツーマン<Night which GLORIOUS>以前は、お互いをどう見ていましたか?

怜:僕からしたらもう、超絶歌が上手いヴォーカリストという印象です。

田澤:えっ、俺のこといつから知ってました?

怜:お名前はずっと前から普通に聞いてましたよ。共通の知人もいるんですけど「すごく上手だよね」って。“とにかく歌が上手い”ということはスタッフ界隈でも有名ですから。

──田澤さんの評判が轟いてるみたいですよ?

田澤:あ~……実は結構、イヤなんですけどね。

怜:へ~! なんでですか?

田澤:損なんですよ。「上手いらしい」と聞いてライヴに来る人には、多少のことではビックリしてもらえない。最初からハードルが高いわけで。ま、そのハードルを軽々と超えていくんですけどね……っていうのは冗談として(笑)、俺が怜くんを知ったのはいつだったかな? バロック名義で活動していた2000年代初頭から、音楽雑誌とかにめちゃ載ってたから存在は知ってて。オシャレというか、美形で男前やなぁって。声もめっちゃいいし、こんなんズルいやん!と。

怜:本当ですか?

田澤:うん。テクニックとかは後でどうにでもなるのよ、練習すればいいんだから。でも、声の良し悪しは本来持ってるものだから、“多方面でズルいなぁ、この人は”と思ってた(笑)。そういう意味では初ツーマンの時、同じ方向で勝負しても勝てないだろうと思ってたし、怜くんは伸びのあるスコン!としたハイトーンをやらないだろうから、俺はそういう違いで勝負しようくらいの感じはあったんですよ。

怜:歌が上手いのもズルいですよ。訓練でどうにでもなるとはおっしゃいますけど、やっぱり元々持っているものってあると思うんですよ。

田澤:いやいや、俺が歌い出した頃の録音データとか聴いたら引くと思うで。音痴ではなかったけど、めっちゃ下手ですもん。

▲Rayflower

怜:歌唱をトレーニングして積み上げていった結果、今があるってことですか?

田澤:そう。俺は最初ギタリストになりたかったのね。X JAPANのHIDEさんが好きで、“コピーバンドでライヴをしよう!”ってギタリストとして臨んだ初めてのステージで、ヴォーカルがドタキャンしたんよ(笑)。

怜:バンドあるあるですね、「来ない!」っていう(笑)。

田澤:ははは。で、俺、声が高かったからX JAPANを弾き語るというか、ギターを弾きながら歌うという無茶なことをして(笑)。その時に“ヴォーカリストは場を支配できる”ということを体感として覚えて、“あ、いいかもな”とは思ったんですよ。だけど、その時はまだ全然ヴォーカリストというパートに魅力を感じなかったし、その後すぐに転向したわけでもないんですよ。たまたまドタキャンがあったから一回歌っただけで、その後もギタリストを続ける気満々だった。そう思いながらも、“オリジナル曲を自分らのバンドでやろう”となった時、1回ヴォーカルに逃げられたというトラウマがついて回るわけですよ。しかも逃げたヴォーカルは元々の友達じゃなくて、当時『バンドやろうぜ!』とか『プレイヤー』とか楽器雑誌のメンバー募集で応募してきたやつで。

怜:懐かしい! ありましたね、メンバー募集コーナー(笑)。

田澤:そこで知り合ったいわゆる“どこぞの馬の骨かわからん”系のヤツだったわけよ。そういうトラウマもあるから、「これからまた募集して、また“馬の骨”にドタキャンされたらイヤやな」みたいな。あと、自分らで書いた曲にもう愛着が沸いてたから、「自分らで歌ったほうがいいんじゃない?」「だったら俺が歌う!」ってことになって。でも、最初は周りに反対されてね。「おまえはギター弾いとけ。歌、下手やねんから」みたいな。「腹立つなぁ。じゃあ上手くなったるわ!」ということで、ヴォーカルの教則本を片っ端から買っては実践練習しましたね。

──今の歌唱力は、その賜物なんですね。

田澤:だから、頑張ったら誰でも上手くなると俺は思ってるんです。だって俺、実際下手やったもん。でもね、上手いっていう評価は嬉しいけど、上手いを武器にするのであれば、圧倒的じゃないとダメで。「上手やなぁ」と言われているうちはまだまだ弱い。それを超える何かが欲しくなるから複雑なんですよ。

怜:そうですよね……。

田澤:人の心を動かせるならなんだっていいんですけど、“歌唱力”ってところで話をすると、“上手やなぁ”とかではなくて、なんだかもう言葉では言い表せないくらいのところにいきたい。

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