【インタビュー】a flood of circle、爆発するグルーヴの作り方「未来のバンドであるために」

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■昔のグルーヴに戻るということではない
■誰もやってないロックバンドの音

──それを実現するために、レコーディング方法をはじめ、楽曲そのものから組み立て直したのかなと思いますが。

佐々木:自分の曲はいっぱいできてたんですけど、方向性が全然バラバラで(笑)。俺、曲ができたらメンバーにデータを送るんですね。去年は月に3〜4曲送ってたかな。その度に、メンバーそれぞれが手をつけてくれてもよかったんだけど、まぁ溜めてたんでしょうね(笑)。3人でカラオケに行ってパソコンで再生しながら、「これは良い、これは悪い」とか言い合ってたらしいんです(笑)。「アルバムを作ろう」ってことになってそういう会議を経て、みんながどういうふうな曲のチョイスをするかな?と思ったら、バンドで再現しやすい曲から手をつけていくことになったんですよ。それが、当たり前なんですけどね(笑)。ただ、そのモードが真実だと感じたし、それと俺自身の中にあるものを合わせて思い付いたのが、”新しいバンドになりたい!”ってことで。テツが加入して最初の勢いみたいなのもあったし、メンバーが輝くものでないと面白くない、俺のソロ的な考えを押し付けるのは、マジで意味ないなと。彼らが本能的にやりたいことに導かれれば、バンドとして答えが出るかなって。最初は俺もモヤっとしていてたんですけど、だんだん、そういう感じになっていきました。

──レコーディングは実際のところ、どうだったんですか? 不安を感じながらのスタート?

佐々木:不安はメチャメチャあったみたい(笑)。レコーディング自体は全員で、“せーの”で演奏してテイクを選んでいくってやり方。昔はナベちゃんもクリックを聞いて叩けなかったんだけど、デビュー以後“クリックを聴いて叩かなきゃ”って環境が普通になっていて、逆にクリックに合わせるのが上手くなりすぎてたんですよ。だからこそ今回、クリックなしでどうやっていいかわからない、みたいな感じだったんですけど、だんだん昔の感覚を思い出したみたい。

▲アルバム『CENTER OF THE EARTH』

──徐々に?

佐々木:このアルバムのレコーディング中に、UNISON SQUARE GARDENの田淵(智也)さんがプロデュースしてくれたシングル「13分間の悪夢」(11月7日発表)のリリースがあって。その収録曲「美しい悪夢」のミュージックビデオをTOKYO FMの番組(『FESTIVAL OUT』)と一緒に、ナベちゃんが製作総指揮して映像を作るっていうコラボ企画があったんですよ。加藤マニ君っていう映像監督とタッグを組んだんですけど、クラウド・ファンディングのリターンで、俺たちのデビューアルバム収録曲「シーガル」を今のメンバーで再録してプレゼントしようってことになって。ライヴのたびにテンポが変わったりしてた曲だったから、再録レコーディングの時、一応クリックを聴いてやってみたんです。そうしたらメチャメチャカッコ悪かった。グルーヴがないし、抑揚もない。その時、“これじゃん!ナベちゃんのいいところ”って思ったんですよ。ナベちゃんは、ライヴ慣れしてない曲でクリックを聞きながら録ると若干小さい音になっちゃうんだけど、クリックなしだと爆発して音がバカでかい、とにかく最高なんですよ。アルバムレコーディングの前半にそういう体験があったので、ナベちゃん自身も昔の感覚を思い出したんじゃないかな。

──そうなると、ドラムの自由さに触発されて、ベースにもギターにも影響があったんじゃないですか?

佐々木:そうかもしれないですね。姐さん(HISAYO / B)はけっこうバンド内のバランサーなので、“ナベちゃんそこまでいくなら私も”ってなっただろうし。テツは末っ子キャラなので、みんながいくなら俺も、みたいな感じで、はしゃげたというか(笑)。

──佐々木さん自身も、このバンドの新たな魅力を再発見したみたいな?

佐々木:うん、改めて。ただ、昔のグルーヴに戻るということではなかったんですよね。たとえば、「ハイテンションソング」は、今っぽい3連のラップ的な譜割だったり、コーラスがチャンス・ザ・ラッパー風だったり、意識して上もので今っぽさや先進性を出そうと思ってた曲で。それが混ざれば、誰もやってないロックバンドの音になると思ったから。

──「美しい悪夢」と「夏の砂漠」は、どちらも田淵さんのプロデュースでシングルとして先行リリースされてますけど、他の収録曲はこの2曲とのバランスを考えて選んだり、レコーディングしてるんですか?

佐々木:“バンドのメンバーが輝く”ってさっき言ったじゃないですか。誰かに輝かせてもらうんじゃなくて、自分たちで輝く状態を作りたいとは思いましたね。田淵さんには以前もプロデュースしてもらってるんだけど、すごくa flood of circleのファンでいてくれるというか、いいところを客観的に引き出してくれるんですよ。その経験とかそこで得たものを生かして、俺たちで作ろうって感じでしたね。

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