【インタビュー】yohiaco、Eins:Vierの浩文と佳嗣が語る「バンドでは得られない気づき」

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Eins:Vierの山田浩文(Vo)と中村佳嗣(G)によるアコースティックユニット“yohiaco”が3月13日、2ndアルバム『kéɪn』をリリースする。1stアルバム『yohiaco』から3年ぶりとなる『kéɪn』には、結成当時に作られたライブでお馴染みのナンバーから昨春のEins:Vierリユニオンツアー後に手掛けた最新曲まで、全11曲がパッケージされた。

◆アルバム『kéɪn』全曲トレーラー 動画

アルバムリリース前に先行公開されたリード曲「稜線」のリリックビデオが物語ったサウンドは、胸が締め付けられるようなメロディと感情をなぞるギターアレンジが空間を彷徨う6分半超えの大作だった。メロディーラインとギターを核としたサウンドは、いわゆるアコースティックユニットから想像するものとは一線を画しているといって過言でない。入念なボイシングや立体的な広がりを伴うサウンドアレンジが楽曲を絵画的に演出し、壮大でドラマティックだ。

BARKSは、yohiacoとしては初登場となる山田浩文と中村佳嗣に、結成の経緯や音楽的本質、そして『kéɪn』のサウンド&リリックについて話を訊いた。装飾を削ぎ落とされることが許された全11曲は、個々の高度な音楽性と完成された技量に裏打ちされたもの。それ以前に、2人で奏でる音が、旅が、楽しくて仕方がないといった精神性がyohiacoサウンドをより輝かせているようだ。

   ◆   ◆   ◆

■バンドでもソロでも自分中心だったから
■音楽人生を振り返ってもなかったこと

──yohiacoは2014年2月からアコースティックユニットとして始動しましたが、結成のきっかけは?

浩文&佳嗣:きっかけは……。

浩文:……今回は、最初に佳嗣からしゃべるっていうのをやってみよう(笑)。

佳嗣:なんやそれ(笑)。2011年10月にEins:Vierが復活して、2013年9月のアコースティックライヴを以て一旦活動を終了したんですね。そのアコースティックのヒロ(浩文)ちゃんの歌を聴いた時、アコースティックのほうがダイナミックで力強く感じられて、“こういう形も素敵やな”と思ったんですよ。ちょうどその頃、僕は他の仕事とかでアコースティックギターに触れる機会が多かったし、ヒロちゃんと2人でアコースティックユニットを組んだら面白いことができるかもと思ったのがきっかけですね。

浩文:僕は、“Eins:Vierの活動が一区切りした後、どうしようかな?”とちょうど思ってたときだったんですよ。弾き語りが活動のが中心になっていく中で、なかなか思うようにやれていなかった時期だったことも重なって、“それ、なんか面白そうや”なと。

▲山田浩文(Vo)

──佳嗣さんの呼びかけで始まったアコースティックユニットなんですね。yohiacoというユニット名には、肩肘張るような気取ったところのなさと、明確なコンセプトも感じられます。

浩文:“佳嗣と浩文のアコースティック”を縮めた“ヨヒアコ=yohiaco”というネーミングですからね(笑)。

──20年以上も一緒に活動してきた勝手知ったる仲ということもあって、結成当初から曲作りもスムーズでしたか?

佳嗣:スムーズと言えばスムーズでしたね。僕がメロディとコード進行を作って、そこに歌詞を乗せてもらう形から始めたんですけど、“とにかくいいメロディさえあれば”っていうことがテーマでした。

浩文:佳嗣の音世界というものを理解しているから安心できることに加えて、彼がメロディの細部まで作り込んでくるっていうのはEins:Vierでは経験してなかったので、すごく新鮮だったんです。Eins:Vierはバンドだから、メンバー4人のアレンジありきで曲作りが進行するわけで。展開によってはメロディを変えたりして、原曲とは全然違ったものになることもあったんです。でもyohiacoは、基本的には佳嗣が紡いだメロディに忠実に詞を乗せるっていう形。自分本位ではなく、メロディを作った人の思いを解釈して歌詞を乗せるっていうことは、これまでの音楽人生を振り返っても、僕自身あまりなかったことで。バンドでもソロでも自分中心だったから(笑)。自分としてはそういう変化がおもしろかったし、それは今も続いてることです。

──佳嗣さんの曲作りも、Eins:Vierとは意識が違いますか?

佳嗣:最初のほうのデモは、やっぱりバンドっぽい作り方をしてましたね。リズムや上ものが入ってたり。それをアコースティックギター1本でやるために、削ぎ落としていく作業もありましたから。ただ、ヒロちゃんが歌うっていうことは、当初から意識して作ってますね。声を想像しながら。

──アコースティックギターと歌だけで完結させる曲づくり?

浩文:まず、2人ならフットワークが軽いし、どんなところでもやれるっていうことが前提のアコースティックでもありましたから。曲に対していろんなアレンジのアイデアが湧いたとしても、アコースティックでやろうよっていう。そういう気軽さがスタートだし、重要な部分であって、考え方としては今も変わらないですね。

▲中村佳嗣(G)

──そういうスタンスで、各地でライヴを重ねつつ、2016年5月にリリースされた1stアルバム『yohiaco』は、メロディを主軸としたアコースティックサウンドに様々なアレンジを加えたものでした。そして約3年ぶりとなる2ndアルバム『kéɪn』は、それをさらに突き詰めた作品になりましたよね。結成時から最新曲までライヴでお馴染みの楽曲が収録されている作品が『kéɪn』だということですけど、曲によってはエレキギターやベース、シンセなども入ってます。

浩文:今回もそこ、なんですよ(笑)。アコースティックで作ってライヴでも演ってる曲なら、音源もアコースティックでええやん!って思うでしょ? ところが、結局のところやっぱりバンドマンなんですよね、掘り下げれば……いや掘り下げなくても(笑)。

──『kéɪn』も、アコースティックじゃないものも、というテーマが最初からあったんですか?

浩文:いや、ライヴに向けて曲を作っていく中で、“曲が溜まったからアルバムを作りたいね”って始まったのがこの2ndアルバムで。ただ、音源をひとつの作品として考えた時に、“俺らは自由なスタンスで活動をしてんねんから、ライヴでの形態通りにアコースティック作品を、みたいに縛られる必要はない”と思って。頭の中でバンドアレンジが鳴ったんなら、それを入れようやみたいな。そういう意味では、ライヴと作品は別モノとして考えてますね。ライヴに来てもらったら、作品とは全然違って同期も入れないし、アコギ1本と歌とコーラスだけ。恐ろしくシンプルですよ(笑)。

佳嗣:もちろん音源は1曲1曲のカラーを大切に仕上げていくんですけど、収録曲が決まって各曲のアレンジを詰めていく段階で、さすがに全曲にリズムが入ってるのは違うなと思ったので、その辺りのバランスは考えましたけどね。

浩文:バンドサウンドが頭の中で鳴ってた原曲をアコースティックで仕上げた楽曲が収録されているのが1stアルバム『yohiaco』で。一方、アコースティックで曲作りしてたけど、頭の中にバンドの音が鳴ったからそのまま入れたのが今回の2ndアルバム。結果は同じでも解釈と言うか、過程が違います。

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