【対談】「【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2」にかける期待とチャレンジ

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全国各地から170ものリミックス作品が寄せられた「【XFLAG公式】リミックスコンテスト」が審査を終え、各審査員賞を獲得した優秀作品は、無事に日本コロムビアからコンピレーション・アルバム『B.B.Q. with SOUND CREATORS vol.1』としてリリースされた。

楽曲制作でもなく、ステージでのパフォーマンスを競うコンテストでもなく、純粋にリミックス音源を制作するというコンセプトは、優れた作品の募集をきっかけにそのクリエイターを直接支援したいというXFLAGの想いから生まれたものだ。本コンテストの結果発表とともに、当企画はさらなる加速を付けるべく、第二回目となる「【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.2」の開催も発表されている。

「【XFLAG公式】リミックスコンテスト」はどのような発展を遂げ、どのようなクリエイターとケミストリーを生み出すのか。「【XFLAG公式】リミックスコンテスト」の発起人である株式会社ミクシィ内XFLAG SOUNDチームの統括リーダー高津戸勇紀と、XFLAGが行うイベントの音響/映像などをプロデュースしてきた島津真太郎プロデューサーという今回のリミックスコンテストの仕掛け人とも言えるふたりに話を聞いた。


──「【XFLAG公式】リミックスコンテスト vol.1」では、素晴らしい作品の数々が誕生しましたね。

高津戸勇紀:まず、170にも上る、たくさんのご応募ありがとうございます。いやぁ、応募曲のレベルの高さに、正直びっくりしました。仕事柄、『モンスターストライク』の楽曲のいろんなアレンジを聴いてきたので、もう聴き尽くしたんじゃないかってくらいに思っていたんですが、「まだこんなアプローチがあったか」って驚かされる作品だらけで、すごくハイレベルなコンテストになったんじゃないかと思っています。

島津真太郎:たくさんのアーティストさん、クリエイターさん、企業さんにもご賛同いただけて、みなさんの善意で革新的な取り組みができましたよね。

高津戸勇紀:XFLAGとしての初の試みだったので「全然応募が来なかったらどうしよう」とかハラハラしていたんですが(笑)、いろんなメディアさんにもご協力いただいて、たくさんのクリエイターさんたちにXFLAGを知っていただく機会にもなったんじゃないかと思っています。

──高津戸さんは審査員も務めましたが、審査の基準は何だったのでしょう?


▲高津戸勇紀

高津戸勇紀:アイディアですね。YouTubeを見ていても「画質は悪いけど面白い映像」ってたくさんあるじゃないですか。そのまま手を加えずにイベントとかで使えそうな作品もたくさんあるけど、「この発想はなかったな」っていう驚きがある作品には惹かれますね。今は編集ソフトの機能も格段に良くなっていて、作品として最低限のクオリティまでもっていくのは難しいことじゃなくなってきている時代ですから、必要になってくるのは発想力だと思っています。ぼくが選ばせていただいたPinotFGさんの作品は『モンスターストライク』とはまた違う方向性のファンタジーを感じさせてくれる楽曲で、聴いた瞬間とてもびっくりしました。映画を見ているような感覚で聴かせていただきました。



島津真太郎:PinotFGさんの作品は打ち込みの技術がすばらしかったですよね。生演奏っぽく仕上げてきていて、深いオーケストレーションの知識がないと作れない作品です。打ち込みを使うひとつの理由として「生演奏を録音する予算がない」ことが挙げられると思うのですが、そうなると「いかに本物に近づけることができるか」が勝負のカギになってくる。そこで必要となってくるのが生音に対する理解と技術力だと思うんです。

高津戸勇紀:まさに、発想力とクオリティ両方を兼ね備えた作品でした。

島津真太郎:今回は、受賞者の方の音源はメジャーレーベルから配信リリースされるということも、応募者全体のレベルを上げる要因だったかもしれないですね。

──ちなみに『モンスターストライク』メインテーマの生みの親、桑原理一郎氏も、PinotFGさんの作品を選出していましたね。

高津戸勇紀:そうなんですよ。被っちゃいました(笑)。

島津真太郎:『モンスターストライク』の音楽という部分に携わっているおふたりが、同じ感覚や思想を持ち、そんな方たちが一丸となってクリエイトしているからこそ素晴らしい作品ができて、たくさんのユーザーさんに愛されているんだなって思って、ちょっと感動しました(笑)。

──ちなみに島津さんの推し曲は?


▲島津真太郎

島津真太郎:ぼくは審査員じゃないので自由な感覚で聴かせていただいちゃったんですけど、Blacklolita & Avansさんの楽曲が好きです。トレンドのつかみ方、音の使い方、ミックス等、すべてのクオリティが高くて感激しました。素材音源もすごくきれいに使われていて、これぞリミックスって感じかなと。


高津戸勇紀:Blacklolita & Avansさんの作品はカッコよかったですよね。彼もそうでしたが、今回気になったのは、コライト(Co-writing/コーライティング)での応募が多かったことです。受賞者の方にも何組かいましたよね。

島津真太郎:コライトって複数人でDAW上での音の情報交換をしながら制作するようなイメージがあるけど、なんだかそれって、昔バンドでスタジオに入ってジャムっていた感じというか…、形は変わっても、みんなでワイワイしながら音が交流し合うあの感覚って、いつの時代もあるんだなって思いますね。

高津戸勇紀:まさにそれですよ(笑)。XFLAGのロゴの下に“B.B.Q.”って書いてある通り、バーベキューのように友達や家族と集まって、熱く盛り上がれる場所を創ることを目指しているのですが、リミックスコンテストでもクリエイターが一堂に会してワイワイ楽しくやれるような場を創出できたらと思っているんです。そんな交流を通じて、弊社クリエイターと応募者の方がコライトしてみたり、いろんな広がりが生まれたらいいなと思い、現在企画を練っているところです。

島津真太郎:クリエイターって、はじめは友達とか家族とか目の前にいる人を感動させたくて音楽を作ったりしていると思うんです。その延長でだんだん感動させたい対象が広がって、いつの間にか音楽が仕事になっていたら素敵ですよね。逆に音楽が仕事になっている人は、いつの間にか音を創ることが作業になってしまっていることもあるので(笑)、たまにはこうした自由なコンテストに応募してみると、いい気付きがあるかもしれないですよ。

高津戸勇紀:後から分かったことなんですが、実は、関係者も何名かこっそり応募していたみたいなんです(笑)。その作品を改めて聴いてみると、みんな生き生きしていて、「そういうの、なんかいいな。やってよかったな」って。

──vol.2ではどんなコンテストになりそうですか?

高津戸勇紀:今回は、2018年に幕張メッセで開催したイベント<XFLAG PARK 2018>の中のステージ“XFLAG SYMPHONY”で演奏された楽曲「超絶 咎 ボスBGM XFLAG SYMPHONY 2018 ver.」が課題曲になります。ゲーム内楽曲「超絶 咎 ボス BGM」を、vol.1でゲストリミキサーとして登場してくれた近谷直之さんがステージライブ用にボーカルアレンジしてくださった音源です。

島津真太郎:矢内景子(SHADOW OF LAFFANDOR)が歌うボーカルトラックを使うのがお題となっています。本コンテストは「提供された素材音源を必ず使用する」というシンプルなルールだけを掲げているのですが、vol.1では五十嵐公太さんと武田真治さんの素材音源の個性がかなり強かったので、実はすごく難しかったと思います。今回の素材音源となるボーカルトラックは、短くシンプルな英詞のものなのですが、また前回とは違う難しさがあると思うので、コンテストに新たな広がりを見せてくれそうな気がしています。

高津戸勇紀:声・歌詞があるとメッセージ性が色濃く出る分、制約も大きくなるかもしれないですね。その中で、応募者の皆さんがぼくたちをどのように驚かせてくれるのか、今からとても楽しみです。

──そうですね。

高津戸勇紀:XFLAG SOUNDチームはいち企業の中の音楽部門として活動をしていますが、せっかく音楽をやるからには、企業という枠を飛び越えて音楽業界の方にも気にして頂けるくらいの面白いことがしたいとずっと思っていました。このリミックスコンテストを通じ、音楽業界と接点を作るキッカケになればという想いがあります。これを軸にさらにチャレンジを続けて、もっと大きな取り組みができたらいいなと思っています。

島津真太郎:やるからには常に最高を目指したいと思って生きてきました。XFLAGに関わって思ったことは、スタッフの皆さんがすべてにおいて最高を目指そうとしているということ。そんな思想に共感してご一緒させていただいてから、もうすぐ3年がたちます。常に変わらず尖ったエンタメを提供していくXFLAGにこれからも注目していただきたいです。

──では最後に、応募者の方へアドバイスと応援メッセージを。

高津戸勇紀:聞かせて頂いた中で耳に残った作品の特徴を挙げるならば、「アイデアが斬新であること」と「作り上げている世界にサンプルを引き込んで、自分のモノにしているか」という点でした。応募の際は是非、意識してみてくださいね。

島津真太郎:第1回を終えて感じるのは、やはり自分の好きな音楽のアイディアをきちっと表現できている人が最終的に審査員の心を掴んでいる気がしています。トレンドを採り入れることや総合的なクオリティを上げることもとても大切ですが、好きな楽器やジャンル感、いつかやってみたかったアイディアなどで勝負してみるといいかもしれませんね。今回は歌ネタではありますが非常に歌素材自体は短いので、どこで素材を使うのかという楽曲の構成力が求められます。常識にとらわれない素晴らしい楽曲の応募を期待しています。

取材:田村優季
文:大木由佳子

◆【XFLAG公式】リミックスコンテストvol.2 オフィシャルサイト
◆【XFLAG公式】リミックスコンテストvol.1 オフィシャルサイト
◆【XFLAG公式】リミックスコンテストvol.1 BARKS内特設ページ
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