【インタビュー】ASKA、自分のスタイルを“ありったけ”積み上げたバンドツアーと、散文詩集

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▲『ASKA書きおろし詩集』(左:Loppi・HMV限定版 右:通常版)

■1回レコーディングをスパッとやめたんですよ。
■やめたときに散文詩を書いてみようと思って、2カ月ちょっとで120〜130篇ぐらい


──このツアー開催中、3月20日には散文詩集『ASKA書きおろし詩集』が出版されました。こちらは、なぜこのタイミングで出そうと思ったんですか?

ASKA:じつはこれまで様々なところで散文詩を寄稿したり、ステージ上で語りで読んだりしていたので、僕が散文詩を書くことはファンは知ってるんですね。それを、いつかまとめて本を出せればいいなと思っていたんですが、そんなこと思っているだけではダメなんですよ。「出そう」と思わなきゃ。それで、一昨年かな? とにかく忙しくしなきゃ自分の精神状態がやっていられない状況だったからレコーディングをひたすらやってた時期があったんですけど。自分の持ち味は楽曲のバリエーションだと思ってるんですね。それが、ちょっと似通ってきたなと思ったことがあって。

──作る楽曲が?

ASKA:ええ。僕は自分の楽曲でさえ、あるフレーズがあの曲のあの部分にちょっと似てる、というだけでも嫌なので、1回レコーディングをスパッとやめたんですよ。やめたときに散文詩を書いてみようと思って、2カ月ちょっとで120〜130篇ぐらいを書きまして。それを当時ブログに毎日1作、1カ月ぐらい続けて公開しました。誰かが見てくれてるものですね。すぐに、いくつかリリースのお話がありました。本当は去年出そうと思ってたんですが、去年は毎月配信したりベスト盤も含め、いろんなものがリリースラッシュだったので、今じゃないなと思って。それを、年をまたいで今回このタイミングで発売したというだけです。狙うんだったらツアーの初日に出してますから(笑)。そこはなにも狙ってないです。

──実際に自分で読み返してみて、どんなことを感じましたか?

ASKA:あんま読み返してないんですよ(きっぱり)。

──えーっ!!

ASKA:僕は双葉社の人に手元にあるものを全部渡して「ここから選んでください」といっただけだから。どれも自分にとっては意味があるものなのでどれを選んでもらってもいいんです。

──そのなかでもこれは入れて欲しいとかは。

ASKA:あんま気にしてない。

──すごい! 男らしい。

ASKA:すごくない、すごくない。無頓着なだけ。

──無頓着(笑)。

ASKA:双葉社の人がカテゴリー分けをして入れてくれたんだけど。それをみて、これはこのカテゴリーに入る詩として見てくれたんだなと思ったぐらいで。あとはなんにもしてない。

──こちらの散文詩のなかから音楽にまつわる詩をピックアップしたので、それについてお話を聞かせてもらってもいいですか?

ASKA:はい。いいですよ。

──まずは「ラブラブショー」について。このなかでASKAさんは“詩は色感 歌詞は語感”と表現されています。ASKAさんのなかで、詩と歌詞の違いを詳しく教えてもらえますか?

ASKA:大きくいうと、散文詩の詩と歌詞はまったく別物です。ですけど、僕の場合は歌詞を書くという自分のスキルを身につける上で“歌モノ”の歌詞を意識しなかったんですよ。たまたま出会った散文詩の世界のほうに興味を持っちゃったから、それを歌になるように作ってきたんですね。

──同時に、散文詩も書き出したんですか。

ASKA:ええ。最初は真似事で書き始めたんですよ。それを「よい」といってくれる方々がちらほら出てきて。「詩集を出しませんか?」といわれるようになったんですね。この間まで歌詞で苦しんでた者がそんなことをいわれるのが不思議でしょうがなかったんですけど。それで『オンリー・ロンリー 飛鳥涼詩集』を84年に出したら、意外や意外、増刷が繰り返されたんですよ。これまで自分が書いてきた歌の歌詞とは違って、自分の日常を書いた散文詩だったんだけど。そういうものがこれだけストレートに読んでくれた人に届くものかと驚いたんですね。これは、もしかすると歌もそうあるべきなんじゃないかと思って。それまでは、僕は女性言葉で歌ったりしてたんですよ。たしかにそれは作品なんだけど、男が女性言葉で歌う時点で作品に無理があると思いだしたんですよ。この詩集を出したことによって。

──あの詩集が、歌詞を書く上でのターニングポイントにもなっていたとは。

ASKA:だから、あれ以降はすべて男性の言葉で歌詞は書くようになりました。そこからはラブソング、自分の人生観も歌いますけど、そのなかで自分の身の回りで起こることと聞き手との“共有”を探し求めて歌詞を書くようになりましたね。

──ちなみに、ASKAさんはどんな散文詩を読まれてたんですか?

ASKA:散文詩を読む前に、(歌の)歌詞がダメだっていわれだして。それは、自分でもよく分かってたんですよ。

──え、誰にいわれてたんですか?

ASKA:プロデューサーとかにですよ。アマチュアからプロになったばかりの頃ですけど。それで、ASKAは詩がダメだからってことで、作詞家の松井五郎を発掘しました。

──ああー。安全地帯やBOØWY、氷室京介の歌詞を書いてらっしゃった。

ASKA:どこかにいい作詞家はいないかって探しているときに、ヤマハのポプコン(ヤマハポピュラーソングコンテスト)で彼が書いてた「乗り遅れた747」という曲の歌詞がすごいよくて。アイツを使おうよと。五郎のデビュー作は(チャゲ&飛鳥の)「熱風」なんです。五郎はこれでこの業界に入ってきたんです。そこで僕は、メロディーをつけて歌うだけでいいんだという開放感と同時に、どこか自分のアイデンティティーを一つ削られた気がしてしまったのも本音です。そのときに詩集を読み出したんです。

──歌モノの歌詞を研究するのではなく。

ASKA:そう。本屋に行って詩集を眺めた。難しいことばかり書いてある訳。でもそのなかでふと目に飛び込んできたのが谷川俊太郎さんだったんです。すごく分かりやすい言葉で、なおかつ切れ味があって、胸に響いて。この谷川さんの詩集をたくさん読んでみたいなという気持ちと同時に、なら他の詩も読んでみようと思って。そこからは散文詩をむさぶるように読んでました。当時の僕をよく知るスタッフは「ASKAはいつも本を持って歩いてた」っていいますよ。つねに詩集を持ってたから。そこから自分でも真似事を書き出したんです。

──そうでしたか。それではまた歌詞と詩の違いについての話題に戻りたいと思うんですが。ASKAさんの場合、曲先だから歌詞を書かくときは曲があるじゃないですか。なにもないなかで散文詩を書くのはどんな感覚なんですか?

ASKA:メロディーがないほうが書きやすい。だって、文字制約がないでしょう?

──そのなかで、テーマをあらかじめ決めてから書き出す訳ですか?

ASKA:そういうこともありますし、書き出したらテーマが見えてきて、そのテーマを軸にもう1度書き始めたりすることもあります。テーマ探しのためにとにかく文字を綴ってみるということから始めるのが自分のスタイルですね。

──なるほど。歌詞のメイキングを綴ったようなこの作品に『ラブラブショー』というタイトルをつけたのは?

ASKA:昔、「ラブラブショー」という番組があったんですよ。芸能人と芸能人が相性診断をしてカップルになるのを、子供ながらにすごくワクワクしながら見てましたね。この作品は楽曲を作る過程のなかのことを書いてるんだけど。僕は、アルバムができあがったときが作品の完成だとは思ってないのね。完成したものを共有しあえるライブ空間こそが最終目的地。

──それが詩に綴られていた“共有空間”。

ASKA:あの空間がラブラブショーだなと思って。

──そういうことでしたか。素敵なネーミングですね。ではもう1篇。こちらは「音楽」というタイトルがつけられてまして。音楽は隅々まで美しくあらねばならないとか、音の妖精の憩いの場だとか、こちらはASKAさんの音楽愛溢れる言葉がロマンチックで素敵でした。

ASKA:いまいわれて、そういうのもあったなというのを思い出しました(笑)。この間谷川俊太郎さんと対談させていただいたときに、「谷川さん、お書きになったもので憶えてらっしゃらないものっていっぱいありますよね?」とお伺いしたら「うん。憶えてない」とおっしゃってたんですけど。僕もそうなんです。こういうものがありましたねっていわれたら思い出すけど、意外と憶えてないものですよ。だから、固執してないんだと思う。自分の作品に。自分がそうだから谷川さんもそうに違いないと思って聞いてみたら、やっぱり同じでした。

──だけど、詩集にもありましたけど、小さい頃に使ってたアトムのお茶碗がなくなったのはよく憶えてるんですよね。

ASKA:ああ、アトムのお茶碗ね。これね、使うのは2回目なんです。1回アルバムで書いたことがあるはず(ソロ1stアルバム『SCENE』のブックレットに掲載した散文詩に登場)。そのときとは内容は違うんだけど。僕はそのお茶碗を割った記憶はないんですよ。父も母も憶えてないっていうから、いつ、どこで無くなったのかはいまだに分からないんですよ。あの頃、僕らの時代の憧れでしたから。『鉄腕アトム』は。大好きでしたね。最終回をワンワン泣きながらTVで観てたのは憶えてますね。ウチはちょっと変わった家で。お金はないくせに電化製品が並ぶ家だったんです。ウチのお袋が豪快で。ある日家に帰ったらTVがあった、と。またある日家に帰ったら冷蔵庫があった、と。さらにある日家に帰ったら洗濯機まであった、と。

──すごい!

ASKA:TVは確かに突発的にお袋が買ったみたいなんですよ。でも、のちのち聞いてみると、まず、ウチの道路を挟んだ前の家が電気屋さんだったんですね。当時は高度成長期をこれからむかえようという頃だったから、電気屋さんは電化製品をたくさんストックしてたようです。それで、ウチの前の電気屋さんは、自分のお店に置けないぐらいストックを入荷しちゃったもんだから、その電気屋さんから「使ってもいいから、この電化製品をお宅に置かせてくれないか?」っていわれて。それで、家に家電が並んでたみたいなんですよね。

──うわー。ASKAさんのお母さんも奇跡を引き当てる人だったんですね。それで、こちらの詩集はツアー会場以外に、CDショップでも発売されるそうですが。

ASKA:これからCDショップは変貌を遂げなきゃいけないと思ってるんですよ。

──いまの時代に合わせて。

ASKA:そう。アーティストにとって、CDショップこそ地域密着型の大事なプロモーターですから、CDショップは無くなっちゃいけない。今後のCDショップのあり方について僕なりに思ってることがありまして。今回の詩集発売はそれの一環でもあります。


──そうして、現在開催中のツアー後にはアジアツアーも決定しているASKAさんですが。今年はどんな活動をしていこうと考えてらっしゃいますか?

ASKA:アジアツアーが終わったら、今年の春までにアルバムを出したいと思ってたのが、いろいろバタバタと入ってきちゃってできなかったので。すぐにアルバム制作にとりかかりたいなと思います。

──分かりました。では、最後にBARKSの読者に向けて、ASKAさんから一言メッセージをお願いします。

ASKA:いろいろあっての今回のバンドツアーです。いまの僕のコンサートを観てない方、後に僕の音楽を聴いてくれるであろう方々がいたとしたら「なんであのときのASKAを観ておかなかったんだろう」といわせてしまうコンサートをやっているつもりなので、ぜひいらしてください。

取材・文◎東條祥恵

<ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA - 40年のありったけ - >

■追加公演
<東京>
2019年4月23日(火) 日本武道館
開場 17:30 / 開演 18:30
一般発売日:2019年3月24日(日)
問合先:ディスクガレージ TEL 050-5533-0888 (平日12:00~19:00)
https://www.diskgarage.com/ticket/detail/no080950

<大阪>
2019年4月25日(木) フェスティバルホール
開場 17:30 / 開演 18:30
問合先:夢番地 大阪 TEL 06-6341-3525 (平日11:00~19:00)
チケット一般発売日:2019年3月24日(日)
https://www.yumebanchi.jp/artists/29954

<愛知>
2019年4月30日(火) 愛知県芸術劇場 大ホール
開場 16:30 / 開演 17:00
チケット一般発売日:2019年4月6日(土)
問合先:サンデーフォークプロモーション TEL 052-320-9100
http://www.sundayfolk.com/liveinfo/6w4n4jy

■本公演スケジュール
<東京>2019年2月6日(水) オリンパスホール八王子 開場 17:30 / 開演 18:30
<神奈川>2019年2月8日(金) 神奈川県民ホール 開場 17:30 / 開演 18:30
<埼玉>2019年2月15日(金) ソニックシティホール 開場 17:30 / 開演 18:30
<福岡>2019年2月19日(火) 福岡サンパレス ホテル&ホール 開場 18:00 / 開演 18:30
<広島>2019年2月21日(木) 広島文化学園 HBG ホール 開場 18:00 / 開演 18:30
<高松>2019年2月22日(金) サンポートホール高松 開場 18:00 / 開演 18:30
<愛知>2019年2月26日(火) 名古屋国際会議場 センチュリーホール 開場 17:30 / 開演 18:30
<静岡>2019年3月1日(金) 静岡市民文化会館 開場 18:00 / 開演 18:30
<大阪>2019年3月12日(火) グランキューブ大阪 メインホール 開場 17:30 / 開演 18:30
<兵庫>2019年3月13日(水) 神戸国際会館 こくさいホール 開場 17:30 / 開演 18:30
<新潟>2019年3月20日(水) 新潟県民会館 開場 18:00 / 開演 18:30
<栃木>2019年3月23日(土) 宇都宮市文化会館 開場 17:00 / 開演 17:30
<宮城>2019年3月24日(日) 仙台サンプラザホール 開場 17:00 / 開演 17:30
<東京>2019年4月12日(金) 東京国際フォーラム ホール A 開場 17:30 / 開演 18:30

書きおろし散文詩集『ASKA 書きおろし詩集』

2019年3月22日(金)発売
本体価格:1,400円(税抜)
出版社: 双葉社
形態:通常版 / Loppi・HMV限定版 ※通常版と限定版では帯が異なります。
【金色帯の通常版】全国の書店&オンライン書店で発売予定(一部では発売日が異なる場合があります)。
【紺色帯のLoppi・HMV限定版】HMV&BOOKS online、HMV各店舗、HMV&BOOKS各店舗、ローソン一部店舗で販売予定(ローソンは限定版のみ販売)
※一部異なる店舗もございます。

特設サイト:
https://www.futabasha.co.jp/introduction/2019/aska/

DVD/Blu-ray『ASKA PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018 -THE PRIDE-』

発売中
【DVD】 DVD 2枚組 品番:HBRD-1001 定価:¥8,000 +税
【Blu-ray】Blu-ray 1枚組 品番:HBRD-2001 定価:¥9,000 +税

ASKA 再始動公演となった2018年11月5日(月)東京国際フォーラム ホール A 公演ライブを完全収録。ASKA と、世界三大合唱団と称される“パリ木の十字架少年合唱団”との共演も特別収録。
その他特典として、インタビュー等も収録。


CDリリース情報

『Made in ASKA』(UHQCD仕様)
発売中
YCCR-10034 3,519円(本体価格)+税
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B07G9TBX1J
e-onkyo music:http://www.e-onkyo.com/music/album/yccr10034/

『SCENE -Remix ver.-』(UHQCD仕様)
発売中
YCCR-10035 3,704円(本体価格)+税
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B07H61KKFV

『SCENEⅡ-Remix ver.-』(UHQCD仕様)
発売中
YCCR-10036 3,704円(本体価格)+税
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B07H5VJLYM
発売中
ハイレゾ配信:e-onkyo music
http://www.e-onkyo.com/news/2149/

<ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA -ASIA TOUR->

【台湾】日時:2019年6月9日(日) 場所:台大體育館
【香港】日時:2019年6月16日(日) 場所:MacPherson Stadium
※ オフィシャルファンクラブツアーも予定。

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