【インタビュー】MINT mate box、幅広くなったサウンドと心を突く歌詞で魅力を増した4th E.P.「Highlight」

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前作「ideal」から6ヶ月という短いスパンで、4th E.P.「Highlight」をリリースするMINT mate box。楽曲や歌詞、アレンジ、メンバーそれぞれのプレイなど、あらゆる面にさらなる磨きが掛かった同作はMINT mate boxのポテンシャルの高さをあらためて感じさせる一作といえる。今回の取材で半年ぶりにメンバーと会った際、3人揃って以前よりも精悍な顔つきになっていることが印象的だったが、それは「Highlight」の制作を経たことが大きかったようだ。より魅力を増したMINT mate boxを味わえる「Highlight」について、メンバー3人に大いに語ってもらった。

■mahocatoの声を活かすために伸びやかなメロディーの曲をやりたい
■それでサビのメロディーがすごく耳に残る「hanabi」をリード曲に


――「Highlight」は、どんな構想のもとに作られた作品でしょう?

やすだちひろ(以下、やすだ):前作の「ideal」もそうでしたけど、私達はバンドという形態でありながら、様々なアレンジを取り入れたサウンドでより多くの人に届けられる音楽を作りたいなと思っています。「hanabi」は楽曲が持ってる清涼感や、聴き心地を重視して作った曲で、まずはこの曲を1曲目に収録しようと最初に決めて制作に入りました。

KJ:次の作品用に制作していたデモ音源の中から全員一致で選ばれたのが「hanabi」だったんですよね。今作は、自分達のサウンドだけで成立させるのではなくて、よりメジャー感のある楽曲で勝負したいという気持ちがあり、アレンジャーに鈴木Daichi秀行さんを迎えて、今の形に落とし込みました。今回自分達の中で一番力を入れた曲で、リード曲にふさわしいものになったなと思います。

やすだ:他にもいくつかリード曲の候補があったんですけど、「hanabi」はその中でもサビのメロディーがすごく耳に残ったんですよね。今までのMINT mate boxの曲は細かい音符に言葉を当てはめていることが多かったんですけど、よりmahocatoの声を活かすために伸びやかなメロディーの曲をやりたいねという話をずっとしていたんです。

mahocato:「hanabi」は楽曲はもちろん、私は歌詞がすごく好きです。去年『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』という映画を観たんですけど、その映画は過去にタイムトラベルをするという映画で。この映画を観て、戻れるとしたらどんな日に戻りたいかとなったときに、結婚式や大会の日といった特別な日じゃなくて、本当に大切な人との何気ない1日だろうな…ということを思うようになって。今この瞬間の1秒1秒を大事にしたいなと思うようになったタイミングで、あがってきた「hanabi」の歌詞を見て自分が思っていることとまったく一緒でびっくりしました。


――「hanabi」は“MINT mate box流シティポップ”という雰囲気の曲調と瑞々しい歌詞のマッチングが絶妙です。そんな「hanabi」はもちろん、今回の「Highlight」は良質なナンバーが揃っていますね。

mahocato:ありがとうございます。今回の曲の中で個人的に一番印象が強いのは、自分で歌詞を書いた「oversized」です。この曲の歌詞は、実は最初は全部英語だったんですよね(註:mahocatoは、元英会話教室の講師)。歌詞を書こうとなったときに、自分にとって日本語は壁をすごく感じるんですよね。

やすだ:ええっ? どこの国の人かと思うじゃん(笑)。

mahocato:純粋な日本人なんですけど(笑)。でも、日本語だとこの言葉を使うのはちょっと恥ずかしいなとか、こっちを使うとカッコつけ過ぎだなとか、この言葉は真っすぐ過ぎてうるさいなとか、いろいろ考えちゃって書けないですよね。英語はそういうことは関係なくて、自分が思うことを真っすぐに伝えられる言語だから、まずは英語で書こうと思って。自分の性格的にも、そのほうが合うというのもあったし。そうしたら、スラスラーっとすぐ書けたんですよ(笑)。それを英語も日本語も堪能なサウンドプロデューサーのヤマモトショウさんが、日本語に落とし込んでくれて完成しました。少し変わった制作の仕方ではあったんですけど、伝えたい事をしっかり言葉に出来たと思います。

――「oversized」は“自分らしく生きようよ”ということと“人生は余白があったほうがいいよね”ということを核にしつつ、“サイズだって毎回同じじゃないから君でいられるかは君次第”と歌っているのがいいですね。

mahocato:自分らしく生きるのは大事なことだけど、自分はこうあるべきと決めつけてしまうと、そこから抜け出せなくなってしまうんですよね。それは違うんじゃないかなと思っていて。私自身、去年の夏くらいから、もう1回英語の勉強をし始めたんです。せっかく英語を学んで、英語の仕事をしていたのに、そこから離れてミュージシャンになって、まったく英語を使うことがないのはもったいないなと思って。その中で大人になってから、英語の勉強をすることで気づいたことがたくさんあって。その中の一つが日本とアメリカの違いだったんです。これは私の私感なんですけど、一般的には、ある程度ルールの上で自己表現している方が多いと思うんですけど、私が出会ったアメリカ人の友達はやりたいことやればいいじゃんという考えを持っていて。去年ツアーが終わった後、アメリカに行って、そこでありのままの自分を出すということを体感して、これは心地好いなと思って。それで、MINT mate boxのファンの子達に、もっと自分を出していこうよということを伝えたいなと思ったんですよね。自分がこのバンドにボーカルとして、日本語で歌っていくことの意味はそこにあるなと。そういう思いのもとに「oversized」の歌詞を書きました。

やすだ:マホ(mahocato)が「oversized」の歌詞をあげてきたときに、マホらしいというのはこういうことだなとすごく感じました。“自分を出せばいいんだよ”と言われるだけだと、“いや、わかってるし”って思いますよね。みんなわかっているけど、なかなかできないことだから。でも、マホの普段からのキャラクターやミュージシャンとしての生き方を見れば「oversized」は説得力があるし、聴いてくれた人も受け入れやすいんじゃないかなと思って。

KJ:やすだも言ったように、mahocatoが普段から発信している言葉とリンクしているし、今の自分達がライブのMCとかで伝えていることがわかりやすく1曲になって良かったなと思います。それに、mahocatoは声とか歌い方が柔らかいので、こういうことを歌っても押しつけがましくないというのは強みな気がしますね。あと、「oversized」は、シャッフルのリズムを取り入れたりサウンド的にも新しいことに挑戦出来たのでとても満足しています。


▲mahocato(Vo./Gt.)

mahocato:アレンジを、1st E.P.の時から参加してくれてる宮野弦士さんにお願いし、制作に取り組みました。デモの段階からプロデューサー、そしてバンドから宮野さんにある程度リクエストをしたのですが、それ以上に出来になって。逆にレコーディングに結構時間がかかってしまいました。サウンドとしては、爽快感がすごく伝わる曲になっていて。それが私の歌詞とすごくマッチしていて、自分を出していくことで心地好くなっていくことを、いい形で表現してくれてとても感謝しています。

やすだ:私は「present」という歌詞を書きました。実は、MINT mate boxの1st E.P.のタイトルが「present」なんですよ!このタイミングで曲としてこのタイトルを引っ張ってくるのは面白いなと思ったんですよね。ただ今回の楽曲では“present”の意味は“贈り物”ではなくて、“今”という意味合いの歌詞になっています。今回“私が歌詞を書く意味”をすごく考えて歌詞を書きました。私はすごく飽き性で。髪形やメイク、ファッションとかもすぐ変えたくなってしまう。でもそれが楽しいと思っていて。適当になんとなく変えているわけじゃなくて、そのときに真摯に向き合って出した答えを形に出しているから。私の中ではポジティブなことなのに、結果だけを見ると、「また言ってること変わってるわ」みたいに捉われがちだなと思っていて。だから、変化していくことはすごくポジティブで、それを肯定してあげる歌詞を書きたいなと思って「present」を書きました。

――いろんな自分を楽しむのは、いいことですよね。

やすだ:ただ、日々生きていくと変化することがある反面、変わらないこともあって、思い出したいこととか、ずっと新鮮であってほしいこともあって。なので、歌詞の1番では変化することをポジティブに歌いつつ、2番の最初のところはかわらずにいてほしいこと……たとえば、恋愛とかでもつき合いたてのフレッシュさはずっと続いてほしいじゃないですか。出会った日の事や、付き合い始めた頃の話を彼氏と一緒にすることで、そのときの気持ちやトキメキを思い出せるなと思っていて。だから、2番では“忘れたくない気持ちもあるよ”とか“継続していくこともしっかりあるんだよ”ということを入れました。


▲やすだちひろ(Ba.)

mahocato:前作でやすだが歌詞を書いた「君のことで悩みたい」の時にも思ったんですけど、「present」はサウンドがカラフルで、やすだの生き方やイメージと重なるなって思って。私が歌詞を書いた「oversized」はシンプルで音数が少なくて、これも私のイメージと重なる。そういうところで、音楽は面白いなとあらためて感じました。

KJ:カラーが出たということは、僕も感じています。やすだとmahocatoが歌詞を書いた曲がまったく別というか、とても同じバンドとは思えないというか。MINT mate boxらしさを残しつつ2人のキャラの違いを楽曲で表現できるというのはバンドとしていいことなので、そこはさらに突き詰めていきたいですね。“同じバンドとは思えない” ということでは、「恋の殻」も聴いてほしいです。この曲は楽曲的に新境地だし、今回の中で唯一バンド・サウンドだけで成立させたんです。「恋の殻」はライブでこういう曲もやりたいねというところから始まって、UKっぽいサウンドでいこうということになったんです。いいところに落とし込めたんじゃないかな。

mahocato:恋愛ではフラれたほうがツラいというイメージがあるけど、フルほうもツラいんですよね。それをみんながわかっていれば、いい形で別れられんじゃないかなと最近思っていて。「恋の殻」の歌詞はそのことも含めて今思っていること、伝えたい事をプロデューサーのヤマモトさんに伝えてじっくりと話し合い、それを歌詞に落とし込んでいきました。バンドでアレンジして、オケをレコーディングして、歌を入れているときに、ラストのサビにいく前に何か物足りないな、と思って。それで、ギターを入れることにしたんですけど、そうしたらKJがこの曲に欲しい!と思ったギターを弾いてくれて、最後にもう1回泣かせにいく構成になって、提案して良かったなと思います。

やすだ:「恋の殻」は初めての曲調だったので、みんなでやろうとなったときも、始めはどうアレンジしたらいいのかわからなくて。色々考えた末、バンド・サウンドにこだわる1曲があってもいいんじゃないかと思ったんです。ライブで演奏したときに、お客さんの胸を“ギュッ”と絞めつけるような曲をやりたいと思っていたので、それをイメージしながらアレンジを進めていったら答えが見えてきたんです。ベースはすごくシンプルにしたんですけど、歌を聴かせたいなって思った時に、どんなエースフレーズが良いのかをしっかり考えて、一つ一つフレーズを入れていきました。

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