レポ&インタビュー:BURNOUT SYNDROMES『明星』ツアーファイナル「愛してます、仙台」

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BURNOUT SYNDROMESが3月30日、宮城・darwinにて<全国ワンマンツアー2019『明星〜We have a dream〜』>のファイナルを迎えた。

総監督・石川大裕(B&Cho)が仕掛けた今回のツアー演出は“時間”と“旅”を主軸に据えたもの。BARKSでは当日のライブの様子に加え、終演後に行なったメンバー3人へのソロインタビューをお届けする。

  ◆  ◆  ◆

2019年3月30日。みぞれはだんだんと雪へと変わり、街に降り注ぐ。仙台は、彼らのメジャーデビュー曲「FLY HIGH!!」がオープニングテーマとして起用された、アニメ『ハイキュー!!』の聖地。この場所で締めくくられる今回のツアーをどうしてもこの目で観たかった。

仙台駅から会場に向かう途中、BURNOUT SYNDROMESのファンを見つけた。ツアーTシャツとトートバッグを身に着け、「多分こっちだと思う」と話しながら歩いている。仙台に来たのは初めてなのだろうか。とても寒そうにしていたけれど、今から起こることのすべてに期待を膨らませた、素敵な笑顔だった。


開演時刻の17:30。スクリーンに映った時計の針がぐるぐると回転したかと思うと、76歳になった「2069年3月30日」の石川の姿が映し出された。石川は、BURNOUT SYNDROMES解散のキッカケとなった、2019年3月の出来事を悔いていると語る。不注意により起こった事故で彼らはワンマンライブに90分遅刻、ファンの信用を失い、それから3ヶ月後に解散したのだという。

石川は“あの日”をやり直すために50年の歳月をかけてタイムマシンを完成させた。26歳のメンバーが会場に到着するまでの「90分」を繋ぐために、熊谷和海(Vo&G)と廣瀬拓哉(Dr&Cho)を呼び出し、3人で若返りの薬を飲んで50年前へと旅立って行った。

タイムスリップした76歳の3人は、2019年3月の私たちの前に現れた。ステージに飛び込んでくると「会いたかったぞー!」と叫び、「世界を回せ」からライブをスタート、そこからつつがなく演奏を進めていった。「わしが」とか「そうじゃな」とか、そんな言葉が出てきてしまう部分をのぞいて、だけど。

14曲が披露されたところで、2069年にいる石川の助手から着信。もうすぐ若返りの薬の効果が切れてしまうと告げられ、90分のステージを終えた3人は、もとの時間へと帰って行った。


会場に残された私たちは、スクリーンに映った2069年の3人をながめる。なにやら、タイムスリップをしたことが問題となり、タイムパトロールが動き出したらしい。タイムパトロールを出し抜くために協力してほしいと呼びかけられ、その方法が説明された。それは、「バーンアウトシンドロームズはワンマンライブに90分遅刻した」という文言を、それぞれのSNSでつぶやいてほしいというもの。ファンはメンバーの合図で一斉に情報を発信、タイムパトロールによるSNSアカウントのチェックを逆手にとり、欺くことに成功したのだった。

タイムパラドックスによる衝撃波の影響を受け、通信が途絶えそうになる直前、石川はこう言った。

「次はみんなの番じゃ。きみが必ず夢を叶えるんじゃよ」

タイムマシンの開発に50年を注ぎ続けたことで、BURNOUT SYNDROMESの未来は変わった。彼らがこのライブを通して伝えたかったことは、諦めないこと、挑戦することの大切さだと思う。「ナミタチヌ」で歌われているように、水面は直ぐそこだから。諦めなければどこまでだって昇ることができる。

「遅れてごめん!」そう言って会場に入ってきた26歳のメンバーは、「とっておきの歌ばっかりやります!」と宣言して、仙台ワンマンをスタートさせた。

「ありがとう」
「あなたに見つけてもらえて本当によかった」
「見えてるよ」
「あなたたちのために作った歌です」
「愛してます、仙台」
「あなたといつまでも一緒に歩いていきたい、そんな決意の歌です」

100回伝えたって、1000回伝えたって足りないファンへの愛を、大切な曲にのせて全力でぶつけるBURNOUT SYNDROMES。客席からの大歓声と拍手が、相思相愛の関係を証明してくれている。

本編ラストの曲の前で石川は、昨夜眠ることができなかったと明かした。声が出なくなる夢をみたといい、これから一生、MCを全部フリップに書かないといけないと思ったそうだ。目が覚めて感じたことは、「どんなことがあってもBURNOUT SYNDROMESを辞めるという選択は無い」ということ。それから、昔、熊谷に「声が出なくなったらどうすんの?」と質問した際に、「新しいボーカル入れたらいいやん」と言われ、熊谷もまた“続ける”という道しか見ていないことに気づいたと語った。このエピソードに続き、廣瀬について話そうとした瞬間、石川は涙で声を詰まらせた。「汗がすごいわあ」なんて言いながら涙を隠していたのはリーダーとしての強さ。3人の絆は私たちには想像もできないほど固く固く結ばれているのだと思う。

ツアーは今日で終了したけれど、4月と5月には追加公演がある。そして2019年末から2020年にかけて、過去最大規模となる全国ツアーも発表された。しっかりと繋いだ手を高々と掲げ、深くお辞儀をしてステージを去った3人は、仙台に集まったファンからの愛でまた大きく進化した。

50年後も、BURNOUT SYNDROMESのライブが観たい。


文・撮影◎高橋ひとみ(BARKS)

◆ソロインタビュー(1)へ

セットリスト

1.世界を回せ
2.ハイスコアガール
3.100万回のアイ・ラヴ・ユー
4.アタシインソムニア
5.あゝ
6.MASAMUNE
燃えつきメドレー(7.文學少女、8.檸檬、9.Melodic Surfers、10.Dragonfly、11.月光サンタクロース)
12.サクラカノン
13.ダーウィンに捧ぐ
14.SPEECH
15.花一匁
16.FLY HIGH!!
17.人工衛星
18.ヒカリアレ
19.ナミタチヌ

EN1.商売繁盛
EN2.若草山スターマイン
EN3.ラブレター。

<BURNOUT SYNDROMES 全国ツアー>

2019年
12月15日(日)愛知・THE BOTTOM LINE
12月20日(金)東京・Zepp Tokyo
2020年
1月11日(土)宮城・Rensa
1月24日(金)福岡・BEAT STATION
1月25日(土)広島・VANQUISH
2月11日(火・祝)大阪・なんばHatch
※オフィシャル先行は4月11日(木)12:00〜を予定

<全国ワンマンツアー2019 〜EXTRA SUPER STAGE〜>

2019年
4月26日(金)東京・TSUTAYA O-EAST
5月10日(金)大阪・BIGCAT

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