【インタビュー】メトロノーム「20周年イヤーの節目を超えたけど落ち着いたりせずにまた攻めていきたい」

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■僕らはギャップが好きなので、MVは能楽堂で撮ったんですが
■この場所に自分達みたいなバンドが立っていいのか…と(笑)


――3曲目の「楽観ばっか」は、フクスケさんが作詞/作曲を手掛けたハードなナンバー。

フクスケ:最初に3人で曲出しをしたときに何曲か出して、そこでバランスを見て収録曲を選ぼうと思っていたんですけど、3人で喋ってるときに、もう全員が一番良いと思う曲を入れちゃっていいんじゃないかという話になって。それで、自作曲の中で周りから高評価をもらえた「楽観ばっか」を入れることにしました。この曲は僕がよくやる手法ですけど、リズムが多めに変わることを活かしています。それもあって、サビでガラッとテイストが変わるんですよね。それをより印象づけるために、サビ始まりにしたんです。その結果、キャッチーな印象が一層高まりました。

――ハード&キャッチーという独自のポップネスが印象的です。それに、リズムを無視した感じのキーボードがずっと鳴っているアレンジもいいですね。

フクスケ:あのフレーズは、曲を作っていく中でポッと出てきて、活かすことにしました。もちろん楽曲によりますけど、シーケンスはカッチリし過ぎていると面白くないんですよね。あのシーケンスはちょっとアブナい感じというか、壊れかかっている感じがして、面白いんじゃないかなと思ったんです。

――「楽観ばっか」の歌詞についても話していただけますか。

フクスケ:僕の中には楽観的でいたいなというのがあって。楽観的な人はバカだなと思うけど、自分もそうありたいという。それで、“子供の頃に憧れていた大人になれたけど、思ったよりも苦難が多い。でも、楽観的にいこう”という歌詞を書きました。自分の性格は、どっちかというと前向きなんですよ。後ろ向きなことばかり考えているけど、前向きなんです。そういう面が、そのまま出た歌詞という感じですね。

リウ:「楽観ばっか」は、メロディーがすごくキャッチーですよね。シングルの候補として出たすべての曲の中でも一番キャッチーだったので、フクスケ君はリード曲を狙ってきたなと思いました(笑)。実際、リード曲は「Catch me if you can?」でいこうと決まったときに、レコード会社のほうから「楽観ばっか」は次のシングルのリードに取っておくというのも“あり”だと思うという話が出たんですよ。でも、フクスケ君が3曲ともリード曲クオリティーのシングルというのはいいんじゃないかと言って、今回のシングルに入れることになりました。それは、すごく良かったなと思います。

シャラク:「楽観ばっか」もサビがとてもいいし、しかもサビ始まりということで、僕もフクスケは今回もリード曲を狙っているなと思いました(笑)。純粋にいい曲だし、フクスケ君らしさもあるよね?

リウ:うん。なんかポップなんだけど、ちょっと不安にさせるというか、アブナい感じがあって、そこがフクスケ君らしい。ただのポップな曲で終わらせないのは、さすがだなと思いますね。ベースに関しては、ドラムが結構激しかったので、リズム隊で引っ張っていくイメージがあって。それにプラスして、僕はシングルを頭から聴いていったときに、3曲でベーシストとしてなにか見せたいというのもあるので、そういうところで他の2曲とはまた違ったアプローチをしています。


――この曲のリフで押しまくるベースもカッコいいです。それに、ギター・リフとのユニゾンと、カウンター・リフを使い分けていますね。

リウ:そうです。デモは全部一緒のリフだったけど、弾いていて使い分けたほうが、より楽曲が良くなると自分の中で感じて。フクスケ君もそれはわかっていて、デモはとりあえずコピペで済ませているけど、好きに変えていいよ…という感じだったんです。なので、好きに変えさせてもらいました。

シャラク:この曲の歌は難しかった。歌中の符割りが難しいんですよ。サビになると開放される感じがあって、“よかった、やっとサビが来た!”みたいな(笑)。歌中の符割が細かいぶん、サビが一層キャッチーに聴こえます。

フクスケ:ギターは、もう自分が好きなスタイルのバッキングをひたすら弾いているという感じです。あとは、メトロノームが21年目に入った最初のシングルなので、その後のライブで新しい機材を使いたいという気持ちがあって。それで、「楽観ばっか」の間奏は、テルミンを使うことにしたんです。

――えっ? 間奏のアナログシンセのような音は、テルミンですか?

フクスケ:はい(笑)。今のテルミンは進化していて、音階がつけられるし、キー設定もできるんですよ。で、こだわりというほどのことではないけど、使った音階が“琉球音階”なんです。なので、そこだけいきなり沖縄が香るという(笑)。そういうフックを入れることで、リスナーが耳を惹かれるんじゃないかなと思ったんです。テルミンは面白い楽器だし、使いやすくなっているので、次のツアーで使おうと思っています。

――「Catch me if you can?」はトリプルA面といってもおかしくない良質な3曲が揃いましたね。さらに、「Catch me if you can?」のMVも撮られたと聞きました。

シャラク:今回のジャケット写真とMVは、市ヶ谷にある能楽堂で撮らせてもらいました。能楽堂は撮影とかに貸し出しもしているんですけど、すごくちゃんとしたところなので、制約がいろいろあって。足袋を履いていないと舞台に上がってはいけないとか、舞台上で座ってはいけない、物を置くところには赤い布を敷かないといけない、ドタバタしてはいけないというふうに決まりごとが沢山あるんです。ちょっと音がすると、能楽堂の人が見にくるんですよ。でも、「Catch me if you can?」はドタバタしたい感じの曲なんですよね(笑)。なので、膝の屈伸を活かして、ドタバタしているふうにしました(笑)。

フクスケ:能楽堂には行ったことがなかったので、能の舞台に上がるということが、こんなに厳しいんだと思いました。舞台に上がるときは左足から入らないといけないというようなことまで決まっている能楽堂で撮ることにしたんですけど、この場所に自分達みたいなバンドが立っていいのか…と思いました(笑)。でも、いい絵が撮れたし、特に迷惑をおかけすることもなかったので、能楽堂で撮らせてもらって良かったなと思います。セットを組んだり、CGで作ったりすることもできるけど、それだと“ぽい”で終わってしまう気がして。それはつまらないから現場に行きたいと思ったんです。

リウ:能楽堂で、ああいう衣装で演奏するというのは、すごいことなんですよね。シャラク君が言ったようにいろんな制約があって、演奏シーンを撮っているときにストラップが切れたりしたらどうしようとか思いましたよ。そんなことになったら、もう大惨事じゃないですか(笑)。すごくドキドキ感がある撮影になりました(笑)。でも、能楽堂の舞台に僕ら3人がただ横イチで並んで立っているだけでも、すごくインパクトがあるんですよ。なので、MVの完成が楽しみです。

――さらに、「Catch me if you can?」のリリースに伴って、5月にツアーも行います。

フクスケ:冒頭にも言いましたけど、21年目になったからといって落ち着いたり、守りに入ったりはしたくないというのがあって。そういう思いのもとにシングルを作ったし、ライブでもそれを感じさせたい。なので、それぞれのライブで、なにか1つでも新しいことができるようなツアーにしたいですね。新鮮さを感じてもらえるツアーになると思うので、期待していてほしいです。

リウ:本数はそこまで多くないけど、今回のツアーはファイナルが大阪ESAKA MUSEの2デイズで、それは今までになかったことなんですよ。なので、ちょっと楽しみにしています。それに、今回の衣裳で今までの曲を演奏したら、違う感じに聴こえるんじゃないかなというのがあって。衣裳に寄り添う形で、ステージングとかも変わるだろうし。今度のツアーは、そういうところを楽しんでもらえるといいなと思います。

シャラク:ワンマンももちろん大事ですけど、僕は今の状態で早く対バンをしたいんですよね。今回のシングルは男性リスナーやロックファンにもアピールできると思うから。なので、対バン・ライブやイベントにどんどん出たいと思っています。5月のワンマン・ツアーは衣裳が変わって、涼しそうだなというのがあって。あと、能楽堂で飛び跳ねられなかったという抑圧されたストレスを、ライブで思いきり開放できるといいなと思っています(笑)。

取材・文●村上孝之

リリース情報

「Catch me if you can?」
KICM-1938/\1,400+税
1.Catch me if you can?
2.さくらん
3.楽観ばっか

ライブ・イベント情報

<メトロノーム ワンマンツアー2019 寂滅ヰラクyAtrA>
5/2(木・祝)TSUATAYA O-EAST
5/4(土)仙台darwin
5/12(日)名古屋ReNY limited
5/18(土)ESAKA MUSE
5/19(日)ESAKA MUSE
※サポート・ドラム :JOE(DASEIN、the CYCLE、ELLEGUNS、DAIDA LAIDA)

<メトロノームpresents『 リウの日 』>
6/1(土)TSUATAYA O-WEST
※サポート・ドラム:K(NoGoD)

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