【ライヴレポート】MUCC、ホールツアー初日“音楽的好奇心の旺盛さ”と“音楽的情報量の多さ”

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MUCCが5月1日、ホールツアー<壊れたピアノとリビングデッドfeat.殺シノ調ベ>の幕開けとなる東京公演を中野サンプラザで開催した。鍵盤+弦楽隊との合体により披露された必殺曲の数々に中野サンプラザが熱狂した同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆MUCC 画像

MUCCというバンドの音楽的好奇心の旺盛さと、20年を超える活動歴のなかで彼らが身に付けてきた咀嚼力のすごさ。日本が令和という時代を迎えた最初の夜、それを存分に見せつけられた。


現時点における彼らの最新作は、去る2月13日に発売された『壊れたピアノとリビングデッド』。キーボード奏者の吉田トオルを期間限定メンバーとして迎え、鍵盤ありきの発想によるコンセプト・アルバムとして制作された作品であり、ゾンビを連想させるリビングデッドという言葉は、生を受けつつもしばらくお蔵入りの状態にあった楽曲のいくつかが今作をもって世に放たれた事実を指している。

この作品を携えながら、彼らは2月半ばから4月1日にかけて名古屋、大阪、東京を巡演する全4公演のZeppツアーを実施しているが、5月の到来とともに幕を開けたのは、同様に三大都市をめぐる<壊れたピアノとリビングデッドfeat.殺シノ調ベ>と銘打たれたホール・ツアーである。今回も全4公演という限られた本数であるだけに、ファンの多くは、何か特別な趣向が凝らされたものになるのではないか、との期待感を膨らませながら会場を訪れていたに違いない。


しかも今回の公演タイトルには“殺シノ調ベ”というキーワードも含まれているのだ。これは彼らがセルフ・カヴァー・アルバムの表題として掲げていた言葉であり、さらに言えばBUCK-TICKという先達から受け継がれたものでもある。そうした公演名からも、この場で最新作からの楽曲群がたっぷりと披露されるのみならず、バンドの歴史を彩ってきたさまざまな楽曲が今現在の切り口によって再構築されるであろうことは、ある意味、容易に想像可能ではあった。が、重要なのは、実際のライヴがそうした想定を遥かに上回るものだったことだ。

館内が暗転したのは、開演予定時刻の午後6時を20分ほど経過してからのこと。最新作の幕開けを飾っていたミステリアスな「壊れたピアノ」が流れると、まず吉田が登場してピアノを弾き始め、SATOち、YUKKEがそこに加わって各々の音を重ねていく。続いて登場したミヤはギターを抱えるのではなく鍵盤の前へ。さらにステージ後方上部には4名の女性たちが登場。去る2017年、結成20周年記念ツアーの際にも花を添えていた弦楽隊、Killer’s Orchestraの面々だ。加えて、舞台の両脇に設えられた不気味な処刑台にも男女のヴァイオリン奏者が姿を現す。しかもそこで奏でられていたのはBUCK-TICKの“ICONOCLASM”の調べ。あまりにも情報量の多いその幕開けに、筆者はめまいをおぼえそうになった。


満を持して現れた逹瑯がステージ中央へと歩み出る。彼が「始めようぜ」と呼びかけた頃、ミヤはすでにギターを手にして戦闘態勢を整えていた。そして『壊れたピアノとリビングデッド』の冒頭の展開と同様に「サイコ」が爆裂。きわめてヘヴィなバンド・サウンドに鋭利なストリングスの切れ味が絡んだ音の洪水のなかで、フロントの3人と処刑台上のヴァイオリン奏者たちが、何かから解き放たれたかのように暴れ始める。ステージの背景は、一面に大きく描かれた最新作のアートワーク。目に飛び込んでくるその光景は地獄絵図のようでも、アミューズメントパークで過激な音楽活劇が繰り広げられているようでもある。とにかく圧倒的と言うしかない。

以降のステージ上での時間の流れについて必要以上に細かく追っていくことは、これから名古屋(5月19日)、大阪(6月9日:言わずと知れた“MUCCの日”である)でこのライヴを観ることになる人たちのためにも避けておきたい。ただ、このバンドが未成熟だった時代から今現在に至るまでの間に提示されてきたさまざまな楽曲たちが、過去最強の説得力と実験精神をもって次々と披露されていくさまが、きわめて音楽的な興奮に満ちたものだったことは間違いない。


彼らの楽曲のなかには、狭苦しいアパートの一室のようなリアルな閉塞感こそが持ち味といえるものもあれば、大河の流れのようにゆったりとした果てしなさを伴うものもある。それほどまでに各曲の持つ世界観の広さに差異があり、なおかつ総計6人の弦楽隊と交わりながら奏でられる曲もあれば、4人プラス吉田の鍵盤だけで披露される曲もあるという具合なのに、不思議なくらいギクシャクとした感じがない。しかもそうした落差の大きな楽曲群が、演奏上都合のいい順序に並べられているというわけでもない。こんなライヴが成立し得たのは、まずは楽曲そのものに力があるからだろうし、各楽曲の特性をとことん知り尽くしたメンバーたちが、今日に至るまでに経てきた幾多の実験や冒険を通じて得てきたものを噛み砕いて消化し、その間に育まれてきた英知を即時的に活かす術を身に付けてきたからこそであるはずだ。音楽的多様性の面白さのみならず、実際、そうしたバンドならではの力技のすごさを感じさせられるライヴだった。

当然ながら、もっと具体的な意味で象徴的な場面もふんだんにあった。新たな代表曲のひとつにも数えられそうな「自己嫌悪」で、ミヤがギターを武器に次々とメンバーたちを攻撃していく光景からは、この楽曲の根底にある感情的混沌が見えてくるようにも思えたし、そのミヤの弾くピアノに合わせて逹瑯が歌った「積想」もクライマックスのひとつに数えられる。彼がランタンに息を吹きかけて火を消した同曲のラスト・シーンも印象的だった。スクリーンに映し出された大きな月を背にミヤと吉田が奏でたベートーヴェンの「月光」も新時代の幕開けを飾るに相応しいおごそかな空気を感じさせたし、その月が徐々に霞み、雨音が激しくなっていくなかで「雨のオーケストラ」が披露されるという流れも見事だった。



そうした音楽的な起伏のきわめて大きなライヴは、最終的にはそこが整然とした大ホールであることを忘れさせるような、むしろライヴハウス的な一体感を伴いながらの二度にわたるアンコールを経て終着点に至った。しかし同時に、演出面の充実ぶりや音楽的情報量の多さ、スケールの大きさといった意味においては、それは平均的なホール公演を遥かに超越する規模感のものでもあった。こうしたある種の過剰さもまた、MUCCの大きな魅力のひとつだといえるだろう。

そしてひとつ付け加えておきたいのは、翌日に同じ中野サンプラザで行なわれた東京公演第二夜も大盛況のうちに終わったということ。加えてそのステージ上、6月9日のグランキューブ大阪公演が映像化されることが逹瑯の口から発表されている。発売時期などはまだ明かされていないが、こちらについても続報を待ちたいところだ。


前述の通り、この公演はこの先、名古屋と大阪でも開催され、7月以降のMUCCはさらに全国各地で“壊れたピアノ”とともに“殺シノ調べ”を奏でていくことになる。元号が令和に変わり、このバンドが生まれ育った平成という時代が過去形になろうと、どうやら彼らが攻撃の手を緩めることはなさそうだ。今後の重層的なライヴ活動を経ていくなかで、この音楽がさらなる深化を遂げ、彼ら自身にとっても未知の新たな何かが生まれてくることを期待したい。

取材・文◎増田勇一
撮影◎西槇太一



■ホールツアー<壊れたピアノとリビングデッド feat. 殺シノ調べ>

5月01日(水) 中野サンプラザ
open17:00 / start18:00
5月02日(木) 中野サンプラザ
open17:00 / start18:00
5月19日(日) 名古屋特殊陶業市民会館ビレッジホール
open17:00 / start18:00
6月09日(日) グランキューブ大阪
open17:00 / start18:00



■<Free space 〜MUCC DEMO TAPE公開レコーディング 東北・中国 、中部・九州編 & アコースティックライヴ〜>

5月14日(火) 恵比寿LIQUIDROOM
open17:00 / start18:00

■<MUCC BIRTHDAY CIRCUIT 2019「40」>

▼<ミヤ day>〜COMMUNE Feat.EN Miya40TH SPECIAL〜
7月26日(金) 東京 新木場STUDIO COAST
open15:30 / start16:30
出演:MUCC/X-SUGINAMI/ROTTENGRAFFTY/メトロノーム/lynch.

▼<SATOち day>〜じゃっくいんざぼっくす-さとちのおたんじょうかい-〜
8月12日(月・祝) 東京 豊洲PIT
open16:00 / start17:00

▼<逹瑯 day>〜Happy Birthday to 逹瑯 -君とムックとあの人とあの人とあの人-〜
8月21日(水) 大阪 なんばHatch
open18:00 / start19:00

▼<YUKKE day>〜YUKKE限定 LASTGIGS -孤独の40歳児、今日だけは許して下さい-〜
『MUCC BIRTHDAY CIRCUIT 2019 Grand Final「40」』
11月5日(火) 東京 TSUTAYA O-EAST
open18:00 / start19:00
<BIRTHDAY CIRCUIT>詳細情報

■収監ツアー<MUCC 2019 Lock on snipe tour>

▼<MUCC 2019 Lock on snipe tour #4『東北型壊れたピアノとリビングデッド収監6days』>
7月01日(月) 青森 Quarter
7月03日(水) 秋田 Club SWINDLE
7月05日(金) 盛岡 club Change WAVE
7月06日(土) 山形 ミュージック昭和Session
7月08日(月) 仙台 Rensa
7月09日(火) 郡山 CLUB #9
詳細情報

▼<MUCC 2019 Lock on snipe tour #5『中国型壊れたピアノとリビングデッド収監5days』>
7月15日(月・祝) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
7月17日(水) 広島 CLUB QUATTRO
7月18日(木) 周南 RISING HALL
7月20日(土) 松江 AZTiC canova
7月21日(日) 米子 AZTiC laughs
詳細情報

▼<MUCC 2019 Lock on snipe tour #6『中部型壊れたピアノとリビングデッド収監6days』>
8月27日(火) 長野 CLUB JUNK BOX
8月29日(木) 名古屋 Electric Lady Land
8月30日(金) 名古屋 Electric Lady Land
9月01日(日) 四日市 CLUB ROOTS
9月06日(金) 浜松 窓枠
9月08日(日) 岐阜 club-G
詳細情報

▼<MUCC 2019 Lock on snipe tour #7『九州型壊れたピアノとリビングデッド収監9days』>
9月14日(土) 沖縄 桜坂セントラル
9月15日(日) 沖縄 桜坂セントラル
9月18日(水) 宮崎 WEATHR KING
9月19日(木) 鹿児島 SR HALL
9月21日(土) 長崎 DRUM Be-7
9月23日(月・祝) 福岡 DRUM LOGOS
9月25日(水) 佐賀 GEILS
9月27日(金) 熊本 B.9 V1
9月28日(土) 大分 DRUM Be-0
詳細情報

▼<MUCC 2019 Lock on snipe tour #8『関西型壊れたピアノとリビングデッド収監7days』>
11月10日(日) 和歌山 CLUB GATE
11月12日(火) 滋賀 U☆STONE
11月14日(木) 神戸 太陽と虎
11月15日(金) 神戸 太陽と虎
11月17日(日) 奈良 NEVERLAND
11月19日(火) 大阪 味園ユニバース
11月30日(土) 京都 KBSホール
詳細情報

▼<ウッサン!ウムサン!ウィールキサン!MUCCと行く日帰り収監バスツアー in沖縄>
9月16日(月・祝)
※詳細は後日発表



■コンセプトアルバム『壊れたピアノとリビングデッド』

2019年2月13日(水)リリース


【朱ゥノ吐VIP会員限定受注生産盤 ※FC限定盤 (CD+スペシャルブックレット)】
MSHN-056 ¥5,000+tax ※別途、送料+手数料がかかります
※スペシャルブックレット:東名阪ツアー<壊れたピアノとリビングデッド>、<壊れたピアノとリビング デッド feat. 殺シノ調ベ>完全密着撮り下ろしライヴ写真をブックレットにまとめ後日発送
【通常盤(CD ONLY)】MSHN-057 ¥3,000+tax
01. 壊れたピアノ
02. サイコ
03. アイリス
04. ヴァンパイア
05. In the shadows
06. 積想
07. 百合と翼
08. カウントダウン
09. Living Dead
※CD収録曲は朱ゥノ吐VIP会員限定受注生産盤と通常盤共通

▼『壊れたピアノとリビングデッド』通常盤購入者の為の即席現像写真機での魂抜き取り会
4月27日(土) 13:00 START
 タワーレコード渋谷店 参加メンバー:ミヤ
5月18日(土) 16:00 START
 名古屋fiveStars 参加メンバー:逹瑯
6月08日(土) 18:00 START
 タワーレコード梅田NU茶屋町店 参加メンバー:SATOち

▼『壊れたピアノとリビングデッド』FC限定盤購入者の為の肉筆署名入特典お渡し会 feat. 呪いの握手
5月11日(土) 東京・Zepp Tokyo Upstairs Space
6月22日(土) 大阪・MIO HALL
参加メンバー:MUCC (死後のお姿)


◆BARKS内『壊れたピアノとリビングデッド』特集ページへ
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