【ライブレポート】Eins:Vierの山田浩文と中村佳嗣によるyohiaco、全国ツアー完遂「素敵な旅になりました」

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Eins:Vierの山田浩文(Vo)と中村佳嗣(G)によるアコースティックユニットyohiacoが5月25日、渋谷VUENOS TOKYOにて全国ツアー<tabiyuco tour 2019 2nd Album“kéɪn”レコ発 全国18ヶ所巡り>のファイナル公演を開催した。同ツアーは約3年ぶりとなる2ndアルバム『kéɪn』を引っ提げて、3月17日の下北沢 Laguna公演を皮切りに足掛け3ヵ月間の規模で行われたもの。その最終公演のレポートをお届けしたい。

◆yohiaco 画像

黒のジャケットを羽織り、シックな装いでステージに登場した山田浩文(Vo)と中村佳嗣(G)。大きな拍手で迎えられた浩文は、“「月光」!”とタイトルコールすると、まるで濃紺の空の下、月明りを浴びるかのような光景の中、佳嗣は柔らかなアコギの音色を奏で、浩文は目をつむり、感情の赴くまま歌い始めた。一瞬にしてyohiaco独特の音空間で場内を包む。続く「ゆらゆら揺れてる」では、佳嗣が奏でる流麗な音の波に身を任せ、全身をゆらゆらと揺らしながら歌う浩文。それまでじっとステージを見つめていたファンも、その音に身を委ねるようにゆったりと体を揺らした。


「ついにツアーファイナルとなりました。この日を楽しみに、ひとつひとつ積み上げながら向かってました。今日の日を迎えられて本当にうれしいです。どうもありがとう!」──山田浩文(Vo)

浩文が感謝の気持ちを伝えると、佳嗣も会釈。「この一瞬一瞬の今を楽しんで。笑顔で明日を迎えられるように、みんなリラックスして楽しんでいってね」と語り、優しいタッチでアコースティックギターの弦をつま弾く「凍りゆく世界」、セピア色に染まったステージの中、どこか懐かしくノスタルジックな心象風景を描く「流転の石ころ」へ。アコースティックギター1本とは思えない、表情豊かで深みのあるサウンドを奏でる佳嗣。歌詞に込めた想いをより忠実に伝えるべく、繊細かつ情緒的な歌声で歌う浩文。また、佳嗣のコーラスが歌に広がりを加える。当然クリックを聴きながらの演奏ではない。それでもブレイクやキメ、タメ、入りのタイミングが見事なまでに息ぴったりだ。

「楽しんでますか?」と椅子に腰かけて、ファンに問いかけると力強い拍手で、これに答えるファン。今回のツアーはほぼカフェやバーのような会場を選んで廻ってきたという。「突然、大きな会場になったから、アリーナかなと思って」と笑いを誘った浩文は、続けて「スタジアムかな?と思ったなあ」と佳嗣に話をふると、「そんなこと、思わへんよ」と冷静な対応(笑)。息ぴったりの演奏とは反対な2人の気ままなトークもyohiacoのライブの楽しさである。そして、「ツアーで培ったものは何かと言えば、やっぱ演奏と歌ですね。自分らで自分らを褒めるのも恥ずかしいんですけども、曲が成長していくのが実感としてあったんですよ。それがツアーの醍醐味でもあるし、今日いいものを観せられるなっていう自信の中でステージに立ててます」と浩文が語った。


「演者の告白」「夜光虫」に続き、『kéɪn』のリード曲「稜線」では、アルペジオギターに寄り添い、叙情的に歌い上げる浩文。最後の一音、また、その余韻まで、ファンは微動だにせずに聴き入った。『kéɪn』収録曲はエレキギターサウンドが収録されるなど、バンド編成の楽曲が多かったけれど、それらの楽曲もライブでは佳嗣の“アコースティックギター”と浩文の“歌”のみで表現されていく。だからこそ、yohiacoサウンドの核となっている“メロディ”、“歌詞”、“歌”がストレートかつダイレクトに伝わってきたのだろう。

後半は、「ファイナルということでスペシャルに」と、パーカッションの“やっちん”こと仲川泰弘(青天の霹靂 / wipe / シュガーパレード)を迎え、3人で演奏。生のリズムが活きるノリの良い楽曲がセレクトされ、ファンも手拍子で参加して大盛り上がり。「本当に素敵な旅になりました」と語り、本編ラストは「空色ボタン」で、すべてのファンを晴れやかな笑顔にして終了した。

アンコールはツアー中にできたという新曲「きみとぼくとの知覚の境界」、『kéɪn』のラストナンバーにして彼ら自身のことを歌った「ララ・ララ」を演奏。照れる佳嗣の手を取り、2人並んでバンザイをして締め括った。

ツアーを通して成長した楽曲たちの、現時点での“完成形”とも言うべき演奏と歌を聴かせた彼ら。アンコールでの新曲紹介の前に、「俺らは音楽ありきなんですよ。自分らが思い描く曲を書けるか、詞を書けるか。それが書けてるうちはまだまだ続けられるなと思うし、そこに俺らは自分自身の成長を見てるんです」と語っていた浩文。成長しているという実感が“聴かせたい”という想いに変わり、その想いがリスナーに伝わることで喜びと共に制作意欲へと繋がっていく。<tabiyuco tour>は本公演で終了したけれど、その想いがある限り“yohiaco”という音楽の探求の旅路は続いていく。

取材・文◎牧野りえ

■<tabiyuco tour 2019 2nd Album“kéɪn”レコ発 全国18ヶ所巡り>5月25日@渋谷VUENOS TOKYOセットリスト

01. 月光
02. ゆらゆら揺れてる
03. yes i do
04. 凍りゆく世界
05. 流転の石ころ
06. solitude song ※Eins:Vierカバー
07. 演者の告白
08. 夜光虫
09. 稜線
10. Trash of tears ※Eins:Vierカバー
11. 衝動
12. Happy? ※with 仲川泰弘
13. 二次元上のパーフェクト ※with 仲川泰弘
14. 君惑うニュアンス ※with 仲川泰弘
15. 空色ボタン ※with 仲川泰弘
encore
en1. きみとぼくとの知覚の境界 ※with 仲川泰弘
en2. ララ・ララ



■2ndアルバム『kéɪn』

2018年3月13日(水)発売


yhac-02 / ¥3,000(tax out)
LIZARD NEO / FWD.Inc
01.空色ボタン
02.月光
03.稜線
04.衝動
05.君惑うニュアンス
06.二次元上のパーフェクト
07.yes i do
08.凍りゆく世界
09.Happy?
10.ゆらゆらゆれてる
11.ララ・ララ

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