【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>WANIMAの自由に解き放たれた硬軟自在な歌

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セキュリティスタッフがトランシーバーで「子連れの方もモッシュピットに飛び込む可能性があるので、気をつけてください」という声を飛ばしているのが聞こえた。1日の熱気がじっとりと残ったフロアには、ライヴキッズだけではなく子供を抱えたお父さんお母さんも続々とやってくる。SATAN STAGEの麓はあっという間にパンパンに膨らみ、WANIMAのTシャツにあしらわれたラスタカラーよりもカラフルで多様な光景が広がった。

◆WANIMA画像

この6年の歩みの中で、<SATANIC CARNIVAL>を「好きに暴れられる場所」以上に「老若男女、大人子供を問わず誰もが自由に歌える場所」にしてきたのは間違いなくWANIMAだ。今や日本全土に鳴り響く「みんなの歌」そのものになった彼らだが、PIZZA OF DEATHがKen Yokoyama以来初めてマネジメントを手がけたバンドとしてデビューしてからのWANIMAの歩みを振り返れば、PIZZA OF DEATHがHi-STANDARDを起点に繋いで守ってきたパンクロック/ラウドミュージックの強固なユニティとバトンと絆を、より広いフィールドへと大きく伝えてきたバンドだとも言えるだろう。




あくまでストロングスタイルのロックバンドのまま、そしてデビュー時から一切変わらずWANIMAの歌を多くの人と歌いたいという願いを抱き締めたまま、マスもライヴハウスも同時に巻き込んできたのがWANIMAの凄まじさ。そんなWANIMAにとってもまさに「還る場所」として<SATANIC CARNIVAL>のステージは在り続けているし、人と人が個を認め合って生きるための寛容さとユニティを根底に持つパンク/ハードコアの文脈においても、その原点を誰にも開かれた形で表しているのがWANIMAというバンドの歌だ。

“ともに”という言葉と歌の根っこにあるのは、誰もがいつだってひとりで、だからこそ人と関わり合って支え合うことで前に進めるのだと信じる心だ。たったひとりを想い続けるからこそ、そのひとりが自分の人生に必要だと身体で理解しているからこそ、WANIMAのメロディと歌は一切の隔たりを飛び越えて人を巻き込んでいくのだ。

<SATANIC CARNIVAL>では毎年ヘッドライナーのライヴには特殊な演出がひとつ施されている。ということで、2019年のWANIMAはどう出るかな…と思っていたら、なんとライヴ前のSEが聞いたことのないものに。街中で多くの人が聞いて耳にこびりついてきであろう「バーニラ、バニラ、高収入♡」を「ワ~ニマ、ワニマ、サタニック♡」にすり替えた曲が流れ、会場は「新しいSE?しかもこれ?」と驚きを隠せない。が、その刹那、暗転してから流れ出したのはおなじみ、“JUICE UP!!のテーマ”。…あー、よかった。


そこから1曲目に鳴らされたのは「TRACE」だ。冒頭の「誰にも言えず傷は増えて」から、KENTAの歌を凌駕するほどの大合唱が広がっていく。怒号のような歌が会場全体を揺らす様は何度観ても心が汗を流すほどの感動を覚えるのだが、WANIMAは、「傷」や「痛み」を抱えた歌にこそ美しいコーラスと大きなメロディを宿し、人とともに歌い、ドーンと天高く放つ。どんなに悲しかったことも、どんなに軋む心も、誰かとともに歌うことで赦していけるんじゃないか。いつか心から笑える思い出になるんじゃないか…そんな願いがこの歌を生み出しているのだということはきっと、聴く人それぞれにちゃんと伝わっているだろう。

そんな想いをさらに大きな花火にして打ち上げるように鳴らされた「OLE!!」にしても、KENTAの歌の没頭感の凄まじさはまさに「祈り」のようで、畏怖を覚えるほどの切実さが、彼らのデッカい笑顔とともにこちらへぶっ飛んでくる。

KO-SHINが「行けるか、新宿ACB!」「俺達が地獄へ連れて行ってやるぜー」とまったくキャラに合わないセリフを叫んで笑いを誘った一幕こそあったが、今日のライヴはとにかく曲を連打していくものだった。デビュー前から歌い続けてきた「つづくもの」は、より一層多彩になったKENTAとFUJIの掛け合いとリズムチェンジのしなやかさでもって、性急なパンクロックでありながら誰もが歌える曲へ変貌。「Japanese Pride」はクールな表情を保ったまま疾走する演奏が際立つものへ。PIZZA OF DEATHのイベントということもあって比較的初期の楽曲が多く盛り込まれたセットリストだったからこそ、楽曲の進化を端々から感じることができたライヴでもある。


それらは言うまでもなく、日々バンドと音楽に向き合うストイックさの賜物だ。「アゲイン」では、さらに必死にもんどり打つような表情で、叫びスレスレの切実な祈りのように歌うKENTA。楽曲のシンプルな構成にしろ、ストレートに前へ上へと伸びていく歌にしろ、そして“メッセージ”というよりも自分達自身を鼓舞するような歌詞にしろ、改めてWANIMA自身に向き合った痕が熱さとメロディに宿っているのがこの曲だ。そうして原点を改めて示す歌をトリガーにして、歌も音もさらに打点を高くして昇っていく。

たとえば「渚の泡沫」「いいから」に綴られるエロも、彼らは万人の身体中に脈打つ“生きるためのエネルギー”として歌う。生も性も煌めくというか、欲望によって前へと進んでいけることにも嘘をつかないというか。パンクやヒッポホップ、レゲエを消化してきた彼らの音楽性も、それらの音楽が各時代、各土地で“生きるために生み出されたもの”だということを体で理解しているからこそ生まれたものなのだ。

じっくりと溜めの効いたリズムと、一気に行くところの爆発力。ライヴ毎にビルドアップされていく演奏力を担保に、より自由に解き放たれた硬軟自在な歌を聴かせるKENTA。


初期から歌い続けてきた「1106」を鳴らす前、「ライヴハウス、ドーム、ホール。いろんなところを貸し切って、ともに歌って行きたい。これからもPIZZA OF DEATHを、WANIMAを、今日出たバンドと、隣近所と、ともに生きて行ってください」と語ったKENTA。毎日いいことばかりじゃないのも、誰もが不安で大丈夫じゃないことも、わかっている。だからこそ彼らはライヴハウスだろうとドームだろうと同じひとりひとりに歌い続けられるのだろうし、その変わらぬ本質こそがWANIMAの歌への信頼に直結しているのだ。「シグナル」でKENTAは「行け!」と叫んだ。WANIMAにとってのSATANIC CARNIVALがそうであるように、あなたにとってもWANIMAの歌が出発点にも還る場所にもなる。その証を、自らの原点でこそ示すようなライヴだった。

取材・文◎矢島大地
撮影◎瀧本 JON... 行秀、中河原理英

【WANIMAセットリスト】

1.TRACE
2.OLE!!
3.つづくもの
4.昨日の歌
5.Japanese Pride
6.Hey Lady
7.アゲイン
8.渚の泡沫
9.いいから
10.1106
11.シグナル
12.BIG UP

■<SATANIC CARNIVAL'19>

6月15日(土) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
6月16日(日) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
・物販開始 BOOTH AREA 開場 9:00
・LIVE AREA 開場 10:30 / 開演 12:00

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