【インタビュー】Linked Horizon、「真実への進撃」を語る。「“使命”であるとは思っているかもね」

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■夢や理想が人を動かしていく原動力の一つになっているという。
■それを描くならSeason3 Part.2がベストのタイミング


──「憧憬と屍の道」において、エレンやアルミンたちの顔も浮かんできますが、やはりエルヴィンの存在が大きく感じられました。

Revo:その存在感の大きさがやはり彼の偉大さでもあり、業の深さでもあるんでしょうね。惜しい人を亡くしたと思います、本当に。“夢”という話になってくると、本来さまざまなキャラクターが持っているものですよね。その“夢”が作中で分かりやすい形で表現されているキャラクターたちがいて、象徴的に描かれていますけど、その夢や理想が人を動かしていく原動力の一つになっているという。それを描くならSeason3 Part.2がベストのタイミングだと思いました。なぜなら今描かないと、今感じている彼らの夢や理想や希望がまったく形を変えて我々の前に登場することになるかもしれないからね……。

──なるほど。

Revo:……この作品に関連した夢について考えると、本当に夢を叶えている人ってどれだけいて、そのことで幸せになれた人ってどれだけいるんだろう? なんてことも考えるよね。僕たちは『進撃』の世界よりも平和な世界に生きているとは思っているけど、そんな僕たちだってそれぞれの現実にいろいろな問題があると思うし、夢や希望って何だろう? と考えるわけで。彼らを突き動かしている原動力に、夢や希望が確かにあって、今はそれを僕なりに言葉にしたいと思った……そんな感じですね。それは進撃の巨人という作品においてとても大切な要素であったし、これからも意味を変えながら大切な要素であり続けるだろうと感じています。そして、その夢には皮肉も含まれていて、果たして夢を見ることは良いことなのだろうか? と。

──エルヴィンは父親を死に追いやってしまった、そのきっかけとなった夢に囚われて生きていくことになるわけで。

Revo:そういう人生の重荷を背負わされたのは、夢を見てしまったからなのかもしれない……ただ、『進撃の巨人』が最終回を迎え、“憧憬と屍の道”として振り返ったとき、何か別の物語がそこに生まれているかもしれない。

──人は常に何かを選択しながら生きていますが、真実を知ることが良いことなのか、知らない方が良いのか、それは選択してからではないと分からないことでもありますね。

Revo:真実というのは本当に難しい。何をもってして真実と言い切れるのか……人は生まれたらいずれ死ぬ、くらいしか揺るがない真実ってないのかもしれない。しかしその“死”の概念だって何百年後かには変わるかもしれないし……いかんいかん、この話を深堀りするのはやめておきましょう(笑)。

──「憧憬と屍の道」はこれまでの主題歌と同様にすさまじい情報量が1曲の中に凝縮されています。制作は大変だったのでは?

Revo:簡単ではなかったけど、とりわけすごく難しかったわけではなかったような気もしています。最初から一気にこの形を目指したわけではなくて、まずTVサイズの枠組みを作ってからフルサイズに広げていったんです。

──そうだったんですね。

Revo:TVサイズを作った際のイメージとしては、クライマックスまで一直線に駆け抜けること。これ以上の駆け抜け方をすると聴く人どころか、演奏するプレイヤーたちがついてこられなくなってしまうから、現状では限界のような駆け抜け方をしたかなと。そしてTVサイズはSeason3 Part.2の主題歌としてこの曲が流れた瞬間「『進撃』が帰ってきた!」と思ってもらいながら、この『進撃』がどのような物語だったかを思い出してもらいつつ駆け抜けるように物語へと想いを馳せてもらえるような曲をイメージしました。TVサイズであまりネタバレ的なことをするのはよろしくないと思ったので、あくまでも真実に向かって猛進していく雰囲気が感じられるようにしようと。そしてこのフルサイズが発売されるタイミングではオンエアも進んでいるので、その真実の内容について触れても大丈夫だろうということで、曲が途中でがらりと変わり、そこで“真実”の一端が語られる。その”真実”は一瞬エレンたちとは無関係と思えるようなことかもしれないけど、その真実の世界とアニメ時間軸の現実の世界がどんどんクロスオーバーしていく……それを1曲の中にまとめたのが「憧憬と屍の道」です。

──フルサイズを聴いて「ここまで言及するんだ」という驚きもありました。

Revo:エレンたちが追い求めている真実の中にも“憧憬と屍”が存在しているからね。いろんな意味で“道”は繋がっていると。

▲「真実への進撃」通常盤(初回出荷限定ジャケット)

──改めてSeason3 Part.2の魅力を、Revoさんはどのように捉えていますか?

Revo:巨人がやってきて、故郷や大切な人の命が奪われてしまった。その奪っていった巨人に対して人類が戦いを挑んでいく物語だったところから、Season3 Part.1でその戦いの対象が人間になってしまった。そこで物語が少し方向転換をしますが、そこに一つ決着をつけた上で、Part.2ではもう一度巨人と相対する王道な展開を迎えるわけですが、以前の“対巨人”とすでに意味合いが変わってきていて、見え隠れする複雑な要素が絡み合ってくる。それは「白夜」の回を見てもらえれば分かりますが、敵と味方には立場の違いがあり対立する要素が出てきますが、味方である調査兵団の中にも対立する要素が存在している。世界の真実をまだしらない彼らの敵は本当に敵なのか?という価値観さえいずれ揺らぐでしょうが、仲間とは言え、大事にしているもの、守りたいもの、憧憬の形などは一人として同じものはないんです。Season3 Part.2はその価値観の対立のようなものが初めて分かりやすく表出した物語で、この要素がこの先ずっとこの先の物語にも意味を持ち続ける。キャラクターたちの本当の意味での心の葛藤がはじまったし、地獄の蓋も完全に開いてしまったなって。恐ろしい物語ですね。

──常に過酷な選択を強いられてきた調査兵団ですが、エルヴィンを救うかアルミンを救うかという究極の二択を強いられた「白夜」は忘れられない物語です。Revoさんはエルヴィンをどのようにご覧になっていますか?

Revo:すごい男ですよね。エルヴィン団長が焦っている描写なんか見たことがなかった。内心の部分は分かりませんが、常に冷静に、的確に指示を出して調査兵団を仕切ってきたという、バケモノ級の精神力を持った男です。その一方でお父さんとのあのエピソードもあって、純真な光が世界を照らした時に生じる影の色濃さというか、不条理にも似た真理のようなものを感じますね……言葉では上手く言い表せないですが。数々の登場人物たちが死んでいきましたが、『進撃』においてエルヴィンの死はやはり重いと思います。エルヴィンを生かさない選択をしたのはリヴァイ兵長ですが、リヴァイの選択はエルヴィンに対する救いであり、その一方で別の誰かを地獄へと誘う行為でもある。リヴァイは彼の代わりにそのすべてを背負ったのだと思います。この2人の関係性というのは、本当にすさまじいなと思いますね。

──歌詞カードを見ると、屍の道に沿って歌詞が連なっていますね。

Revo:こうすべきだと思いました。でも意外と大変なんですよ、改行する場所が変わってくるから。

──まさに真実を求めて屍累々の道を突き進む調査兵団たちですが、アニメのOP映像をご覧になった感想はいかがでしたか?

Revo:これしかないだろうな、と感動しながら見ましたね。それは今までもそうだったんですが、今回も本当に職人技だなと。すさまじいなと。曲に集大成的な意味を持たせたんですが、おのずと映像も集大成的なものになっていたんですね。映像を作っているみなさんと、同じ方向を向いているということが分かりやすく提示されていた気がします。それは演じている声優さんたちも同じだと思いますが、そんなみんなの思いをまとめ上げて、総監督は一つの作品を作り上げているんだなと。

──OP映像のメドレー部分、時間にすると数秒の間ですがすさまじい情報量がぎゅうぎゅうに詰まっていて。もはやサブリミナルのレベルですが。

Revo:曲もすさまじい情報量だったから、とんでもないよね。歌詞やメロディだけではなく、アレンジやフレーズ、使っている楽器に至るまですべてに意味を持たせていますから。あの映像演出にした気持ちはすごくわかります。

──「憧憬と屍の道」、ぜひ一瞬一瞬を逃さずに繰り返し聴いてもらいたいですね。

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