【インタビュー】Linked Horizon、「真実への進撃」を語る。「“使命”であるとは思っているかもね」

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■男の子たちが真実を追い求める憧憬と、それを見つめる目線。
■この2つでパッケージしたら面白いのではないかと。


──さて、続いては「13の冬」について。このタイトルが発表されてからLHのファンだけではなくSH(Sound Horizon)のファン、いわゆるローランのみなさんがざわざわしていたようですが……。

Revo:はい、でしょうね(笑)。

──ただ、“十三の冬”というワード自体はアルバム『進撃の軌跡』に収録されている「二ヶ月後の君へ」の歌詞にも登場していて。アニメで描かれている物語よりも未来の『進撃』においてこの“13”という数字が意味を持ってきますが……改めてこの楽曲はどんな思いから生まれたのでしょうか?

Revo:シングルをリリースするとき、どういうパッケージにして出すかをすごく考えるんですね。曲を作ることも決して簡単なことではありませんが、パッケージとして何を生み出すかを考える方がはるかに難しい。複数曲を収録するということは、そのパッケージの中で曲と曲がどういう関係性にあるのか、そしてなぜこの曲が収録されているかを提示する方が、僕にとってはよっぽど難しいことで。だからこのカップリングを作るにあたってもものすごく考えたんですけど、「憧憬と屍の道」だけでも凄く要素の多い曲なので、作品としては完結できる内容の濃さなんです。ただ別の曲を対比させることにより、歌詞の意味合い的にも、曲想の豊かさ的にも相乗効果でもっと伝えることができる世界があると感じたので、それを目指しました。憧憬ってどちらかというと男の子たちの夢という側面が強いように感じるのですが、彼らの“憧憬”を別の目線から見たらどうなるのか。それが「13の冬」であり、その目線というのはミカサに代表される女の子の目線のことです。男の子たちが真実を追い求める憧憬と、それを見つめる目線。この2つでパッケージしたら面白いのではないかと。ただミカサの曲を作るにしても、本来はもっと後かなと思っていたんです。物語のヒロインポジな存在である彼女を描くことは物語の根幹にも関わってくることだし、あとなぜか僕には〈死んだキャラクターを曲にする〉という法則があるみたいなので(笑)。彼女はこの先死んでしまうのかは分かりませんが、とはいえ今ではないかもしれない……と思っていたんですけど、原作を読み進めていくとアニメの『進撃』ファンにとってはかなり衝撃的な真実?が待っているので、今しか感じられない、届けられないかもしれない気持ちを曲にしておくのもロマンがあるなと。

──そういうことですね。そして石川由依さんにオファーを。


▲石川由依

Revo:ただそう構想したところで、石川さんが請けてくれる保証は何もなかったんですけど。仮に石川さんがOKだったとしても、委員会的にNGの場合もあるかもしれない。これは公式のキャラクターソングではなく、僕が勝手に考えたものだからね。まずはオファーをさせて頂きつつ、曲も思いついたので先に作っちゃっていましたが。だからお蔵入りになる可能性もあったんだけど、石川さんが快く引き受けてくれて、委員会的にもOKということで無事にこうして形になりました。もし石川さんがNGだったら、きっと「憧憬と屍の道」もこうなってはいなかったでしょうね。カップリングが「13の冬」だからこそあの形になったので。モノづくりの化学反応とはそういうものだからこそ、すごく悩むし頭を使いますよ。組曲的な考え方って、その難しさが面白いところでもあるからね(笑)。

──店舗特典として制作されたレイヤードジャケットの、楽しそうにしているエレンとアルミンを見つめるミカサの表情が、まさにこの曲が言わんとしていることを表現しているなって。



▲「真実への進撃」アニメ描き下ろしレイヤードジャケット絵柄
(左上から右へ:エレン ver./ミカサ ver./アルミン ver./エルヴィン ver.)


Revo:一人だけ明らかに違いますよね。モナ・リザ的というか、見る人によっては微笑んでいるようにも見えるかもしれないし、悲しんでいるようにも見えるかもしれない。

──石川さんの歌声について、Revoさんはどのように感じましたか?

Revo:すごいですよ。もともとしっかりとした技術を持っている方だとは知っていましたが、そういう歌唱力云々を抜きにしても、当たり前かもしれないけど彼女の歌は誰よりもミカサなんだよね。すごく繊細なことをこの曲では歌ってもらったわけで、この曲に関しては彼女の歌がなかったらきっとお蔵入りになっていたと思います。表現者として演じるように感情をしっかりと歌に込めることができて、それが聴き手に最も届く歌になっているのだとすれば、この「13の冬」において彼女に勝るヴォーカリストはいないでしょう。さまざまな観点から見ても、すごい表現者だと僕は思います。だからレコーディングでも「ここをこういう風に歌ってください」みたいな話はほとんどしていないんですよ。「自由に表現して、感情を乗せてください」くらいのものです。僕の重要な役割としては曲を書き詞を書くことで、そこに必要な歌の設計図や情報はすべて入っていると思っているので。何回か歌ってもらってテイクを重ねていきましたけど、後半になるにつれてどんどんと心が入って感情が乗っていきましたね。芝居にも近しい表現があれだけダイレクトに歌で表現できる方というのも、とても珍しいと思っています。


──「13の冬」の“冬”ということで、最後にあのピアノのフレーズを入れたのはRevoさんのサービス精神ということで宜しいですか?

Revo:あはははは(笑)。まあそうですね。わからない人にとっては何のことかはわからないと思いますけど、わかった人にとっては〈グラサンパリーン!〉案件でしょうね(一同笑)。

──こういうところに、Revoさんの「ちゃんと(SHも)忘れてないよ」というメッセージが忍ばせてあるなと。

Revo:僕たちにとって“冬”はとても大切なキーワードだと思っているし、やっぱり気軽には使えない言葉ではあるんです。なので、あえてそれを使っている意味を考えてもらえたら幸せに思います。

──『進撃』の話に戻りますが、「二ヶ月後の君へ」(※2ndアルバム『進撃の軌跡』収録曲)の中で“燃え尽きる その-軌跡-は 僕が全て 必ず詩にする”と宣言されていましたが、今後もその気持ちは変わらず?

Revo:僕の気持ちは変わりませんが、僕にこれからもオファーがあるかどうかはまた別の話なので(笑)。ただ僕としては、この『進撃の巨人』という作品を最後まで曲という形で描きたい。いや、曲というものは勝手に生まれるものなので、僕が『進撃の巨人』を読み続ける限り、最終回を迎えるその時まで、曲は生まれ続けていくと思います。それをみなさんに届ける機会があるかどうかは、ポニーキャニオンさんをはじめ僕の周りの大人のみなさん次第かもしれませんね(一同笑)。

取材・文◎冨田明宏

▲「真実への進撃」初回盤

▲「真実への進撃」通常盤(初回出荷限定ジャケット)

4thシングル「真実への進撃」

2019年6月19日(水)発売
【収録内容】
■初回盤
PCCA.04796 / ¥1,389+税
※豪華スリーブ仕様
<CD>
1. 憧憬と屍の道 (TVアニメ『進撃の巨人』Season 3 Part.2 オープニングテーマ)
2. 13の冬

■通常盤
PCCA.04797 / ¥1,111+税
※初回出荷限定ジャケット
<CD>
1. 憧憬と屍の道 (TVアニメ『進撃の巨人』Season 3 Part.2 オープニングテーマ)
2. 13の冬

【「真実への進撃」レコーディング参加アーティスト】
■Vocals:
Revo
石川由依

■Narration: サッシャ

■Musicians:
朝川朋之(Harp)、五十嵐宏治(Key.)、淳士(Dr.)、長谷川淳(Ba.)、三沢またろう(Perc.)、YUKI(Gt.)

弦一徹ストリングス
鈴木正則ブラスセクション
内藤貴司ホルンセクション
髙桑英世木管アンサンブル
Ensemble音の葉 / Voces Tokyo(合唱指揮:木場義則)
すずかけ児童合唱団(合唱指揮:伊東えり)

※順不同

■楽曲配信情報

「憧憬と屍の道 [TV Size]」
(TVアニメ「進撃の巨人」Season 3 Part.2 オープニングテーマ)
配信サイト: iTunes、Apple Music、レコチョク、mora、LINE MUSIC、dヒッツ、Spotify等
主要サイト配信リンク:https://lnk.to/LH_m01_TV_ALL

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