新レーベル「REXY SONG」にメディア初潜入+話題のRED HOT CHILLI PIPERSメール・インタビュー

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■ これまで「REXY SONG」からリリースされた3作品について

◎REXY-1
INTERACTIVO/『QUE LINDO ES EL AMOR(ケ・リンド・エス・エル・アモール)』
国内盤CD/2,000円(税抜き)
2018年7月13日発売


▲『QUE LINDO ES EL AMOR』

山田:「REXY SONG」の最初のタイトルとなったのが、日高さんがキューバで見つけてきたバンド、INTERACTIVOのスタジオ最新アルバム『QUE LINDO ES EL AMOR(ケ・リンド・エス・エル・アモール)』です。本国では配信しかしていないこの作品を世界で初めてCD化したもので、キャリアのあるINTERACTIVOの魅力が伝わりやすいアルバムなんじゃないかと。彼らの一番の魅力はジャンルレス。でもそれは、キューバのトラディショナルなところが基盤にあるジャンルレスで、曲毎にボーカルや演奏メンバーを変えることで今のキューバ音楽を象徴するような多彩な楽曲を聴かせてくれています。キューバ音楽だと日本ではどうしてもブエナビスタ(『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』)のイメージがありますよね。

── 確かにその印象が強くありますね。

山田:あれは、ライ・クーダーが中心になって革命前のキューバのアーティストを集めてやった素晴らしいアルバムですが、INTERACTIVOの場合はリーダーのロベルトがいろんなアーティストを集めてやった現代のブエナビスタ。ブエナビスタは革命前のキューバを、INTERACTIVOは現代のキューバを体現している。その対比も面白いですし、それが一番伝わりやすいのがこの作品です。

豊間根:ファンキーだよね。僕らが知っている黒人音楽のファンキーさではなく、キューバン・ファンキー。そのファンキーさも、キューバン・ルーツ・ファンキーではなく、現代的なバンドという気がします。

▲INTERACTIVO

◎REXY-2
INTERACTIVO/『INTERACTIVO EN VIVO EN FUJI ROCK(インタラクティーヴォ・エン・ヴィーヴォ・エン・フジロック)』
国内盤CD/2,200円(税抜き)
2019年4月19日発売


▲『INTERACTIVO EN VIVO EN FUJI ROCK』

山田:REXY SONGの2作目は、前作と同じINTERACTIVOの2018年フジロック初来日のステージをそのまま収録したアルバムです。ライブ盤は難しいと言われるこのご時世、周りからは「やめといたほうがいいんじゃない?」と言われましたが、それでもこの作品を出すに至った一番の理由は「ライブが良かった」という一言に尽きます。僕は、場外ショップエリアの岩盤売り場で15年働いてきて、15年会場の中に入らず、ライブも観ていません。でも、ライブが良かったバンドのCDがドカッと売れるので「このアーティストのライブ良かったんだろうな」というのを数字で知るのが面白くて。昔で言うとBattles、最近だとONE OK ROCKがものすごかったりして、そうしたバロメーターの中でINTERACTIVOのCDの売れ行きが良かったんです。さらに後日、映像を見せてもらったときに、過去音源を聴いてきた中でずば抜けて面白かった。彼らはジャズ畑の人などが集まっていて巧いですし、あまりロックっぽくない印象がありましたが、フジロックで鳴らす音はすごくロックでアレンジが効いたフェス向けサウンドになっていて、さすがでしたね。INTERACTIVOというバンドのポテンシャルの高さを秘めているのが生々しく見えてくるようなアルバムになっています。



▲INTERACTIVO(2018年フジロック前夜祭/photo by Taio Konishi)

── 異例の2年連続出演とライブ盤のリリースからは、このバンドに対するフェスとレーベルの推し度がわかりますし、私のように昨年見逃した人には今年のステージは観たいと思わせられる作品ですね。

豊間根:INTERACTIVOは第1作目、レーベルを象徴するバンドですからね。「他のライブ・アルバムとフジロックの音源を比べて聴いたら圧倒的にフジロックのほうが良かったから出した」と日高も言っていましたが、その通りだと思いますし、「プログレじゃん!」というインプロをやっていたりもするのでフジロックのお客さんやロック・ファンには取っつきやすいアルバムだと思います。


◎REXY-3
BANDA BASSOTTI/『LA BRIGATA INTERNAZIONALE(ラ・ブリガータ・インテルナツィオナーレ)』
国内盤CD/2,500円(税抜き)
2019年4月19日発売


▲『LA BRIGATA INTERNAZIONALE』

四方:これも日高が「BANDA BASSOTTIだ!」と言って始まった作品です。2002年、2005年にフジロックに出演し、今年3回目の出演も決定している30年のキャリアを誇るイタリアのパンク・バンド。そのため手に入らないCDも多く、今年フジロックで観る人の予習にもなるでしょうし、音を聴いたことがない人も多いのではないだろうかということでベスト盤がいいんじゃないかと。その制作には、古くからバンドと深い関係にある花房浩一さんに曲順、解説も含めてお願いできないか相談したら「やります」と言ってくださって。そうしてこの作品のリリースが決まった後、まさに制作中にバンドのリーダー(アンジェロ“シガロ”コンティ)が亡くなったんです。

豊間根:日高から電話で「もちろんバンド次第だけど、俺は出すよ」と言われました。その「出すよ」はフジロックにも出すし、CDも出すよという意味で。悲劇は悲劇ですが、そこで彼らとの関係と今予定されている未来の仕事は何の変更もなくやっていくということでしたね。

▲BANDA BASSOTTI

── そうした不幸があった場合、音楽は心の通うものですからバンドへのケアや作品の扱い方や届け方がより大事になりますよね。

豊間根:BANDA BASSOTTIはキャリアもあって、かなり政治的なことも歌っているので昔からバンドとしっかり関係のある、日本のファンにちゃんと丁寧に気も心も配っていただける花房さんを中心に据えて作るということは最初から決めていたことなんです。ぜひ岩盤が運営しているWebメディア「富士祭電子瓦版」で公開中のTOSHI-LOW(BRAHMAN)さんと花房さんのインタビューを読んでいただきたいです。そこではTOSHI-LOWさん自身やBRAHMAN自体が若かった時に経験したイタリア修行でBANDA BASSOTTIと一緒に回ったイタリアでの話が語られていて、当時のエピソードから音が想像できるし、そこにバンドの本質があるという話をしてくれたので、どんな僕らの解説よりもTOSHI-LOWさんや花房さんの体験や、そのときこう思ったという話が彼らの音をより象徴してしまっているという気がしましたね。フジロックではオールド・ファンも久しぶりなので楽しみにしていると思うんですけれども、全然知らなかった若い人たちにぜひ観て欲しいです。

四方:今年のフジロックでどんなライブになるのか楽しみにしていてほしいです。さあ、どうやってホワイトステージまで行くか!

山田:僕たちが、だね。場外からはちょっと遠いなあ(笑)。



▲BANDA BASSOTTI(2005年フジロック/photo by Masanori Naruse)

◆話題のRED HOT CHILLI PIPERSに迫る
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