【ライブレポート】感覚ピエロ×ニガミ17才、「俺のなかにはニガミ17才の血が」

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感覚ピエロが、対バン&ワンマンツアー<感覚ピエロ 5-6th anniversary「LIVE - RATION 2019」 ~奮い立たせてなんぼでしょ~>を開催中だ。5月の東阪クアトロから幕を開けた同ツアーは、7月20日の大阪BIGCATまで全25公演の規模で行われるもの。対バンシリーズには、忘れらんねえよ、ミオヤマザキ、オメでたい頭でなにより、Hump Back、SIX LOUNGE、LEGO BIG MORLなどを各地に迎えて、約3ヵ月にわたり全国で熱演を繰り広げる。

◆感覚ピエロ×ニガミ17才 画像

BARKSでは昨年に引き続き、感覚ピエロのツアーに密着してライブレポートおよび対バンとの対談をマンスリーで連載していく。その初回は、かねてから感覚ピエロが対バンを熱望していたニガミ17才。“オシャレ変態バンド”との異名を持つ彼らと初共演を果たした5月30日の栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2公演のレポートからお届けしたい。

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岩下優介(Vo)、平沢あくび(Key)、イザキタツル(B)、小銭喜剛(Dr)がステージに全面に並び立ち、それぞれのメンバーを紹介していく楽曲「A」から、ニガミ17才のライブがスタートした。ゆらゆら帝国やZAZEN BOYSといったバンドを彷彿とさせるキレのあるグルーヴ。そこに、岩下の感性鋭く衝動的なボーカルが重なり、中毒性の高いサウンドを作り上げていく。




“♪曖昧に再現したい”と、ひたすら繰り返されるフレーズが陶酔感を生む「おいしい水」から、キーボードのあくびがティッシペーパーをフロアに撒き散らすパフォーマンスを見せた「ねこ子」へと、次々に楽曲を畳みかけると、フロアは摩訶不思議なニガミ17才ワールドに包まれていった。

感エロとの対バンに寄せて、MCでは岩下が「ジャンルも全然違うけど、いいんじゃないですか、音楽っぽくて」と伝えたあと、持ち時間を15分ほど残したところで、早くも「最後の曲です」と繰り出した長尺のナンバー「かわきもの」が素晴らしかった。一般的にノリづらいと言われる5拍子のリズム。そこで岩下が絶妙なマイクパフォーマンスを繰り広げながら、4拍子のハンドクラップを巻き起こすという荒業を見せると、ボサノヴァ風、演歌風へと、次々に曲調を変えて、フロアに楽しい一体感を作り上げていった。




ニガミ17才のようなインストの要素も強いバンドは、コアな音楽好きに好かれがちな面もあると思う。だが、それを“玄人向けのマニアックな音楽”で終わらせず、誰もが楽しめるキャッチーなかたちへと昇華させ、その楽しさを啓蒙していくような、このバンドの気概はすごくいい。「これこそ音楽です!」(岩下)、そう何度も伝えたステージには、ジャンルも、リズムも関係なく、ただ気分の赴くまま身を委ねれば正解だという、音楽の本質が詰まっていた。

ニガミ17才が会場を温めたあと、「やれるか!? 宇都宮!」という横山直弘(Vo/G)の叫びで幕を開けた感覚ピエロのステージ。このツアーの開始直前に配信リリースされた新曲「ARATA - ANATA」の開放感あふれるバンドサウンドを皮切りに、キャパシティ300人のフロアを一瞬にして熱狂で埋め尽くしていく。続けて、「疑問疑答」へ。“「選択」の連続を生きる全人類に捧ぐ”あるいは、“あなたの世界は、何色か?”と聴き手に問いかける、感覚ピエロの楽曲のなかでも、とりわけメッセージ性の強い楽曲たちが、4人の個性が激しくぶつかり合うアグレッシヴなバンドサウンドにのせて力強く響きわたっていった。





最初にMCでは、「すごいよ、今日はニガミだよ」「ヤバいな」と、かねてから念願だった対バンが実現した喜びを伝えた、横山と秋月琢登(G)。さらに横山は、「ニガミ17才の前に、岩下さんがやってたバンドが嘘つきバービーっていうんだけど。そのバンドが2011年にCDを出したとき、俺、大学生だったの。で、「バビブベ以外」っていうクソかっこいい曲があって。そこからCDを買って、ずーっと聴いてました。だから、俺からしたらヒーローなんです。俺のなかには(ニガミ17才の)血が入ってます」と、自分がどれほどニガミ17才から絶大な影響を受けているかを熱弁していた。昨年の47都道府県ツアーもそうだったが、感覚ピエロの対バンは、彼らが本当に大好きで、リスペクトを寄せるバンドだけを招いている。だからこそ1本1本が特別なライブになっているのだ。

中盤には、今回のツアーで、この日初めてセットリストに加えた「暴動」や、感覚ピエロのレーベル名である「JIJI」(Just Imagine. Just Ideaの意味)を掲げたバンドの初期曲が披露された。プログレッシヴな側面が強く打ち出されたストイックな楽曲のなかで、どっしりと腰を落として弦をはじく滝口大樹(B)のベースが激しくうねりをあげる。「JIJI」の曲中では、秋月が横山の頭をわしゃわしゃと搔き乱すという珍しい光景もあった。リリースに伴わないツアーだからこその自由度の高いセットリストのなかで、伸び伸びとやりたい放題に暴れまわるメンバーのパフォーマンスは、やはり伸び伸びとしていて楽しげだ。



ハイテンションなパーティチューン「A BANANA」で会場にカラフルなタオル回しの花を咲かせると、この日(5月30日)が誕生日だという横山に向けて、アキレス健太(Dr)がゴスペル風にバースデーソングを届けた。そこで、今年27歳になった横山が「秋月さんがこのバンドを組んだ時の年齢になりました」と言うと、「大きくなったなあ(笑)」と、しみじみと笑う秋月。バンドメンバーでありながら、なんだか兄弟のようなふたりの関係性が微笑ましい。さらに、横山は「昔は誕生日までライブをしたくないって思うときもあったけど、今はみんなが祝ってくれてうれしいです」と素直に喜びを伝えていた。

クライマックスに向けて、アキレス健太がEDM風のビートを力強く叩き出した「CHALLENGER」では、フロアの床が抜けるじゃないかと思うぐらいのジャンプが巻き起こった。さらに「ハルカミライ」「メリーさん」といったアップナンバーが連射されると、フロアは「今までのツアーのなかで、いちばん熱い」「酸素がない!」とメンバーが漏らすほどのすごい熱気で包まれていた。本編ラストは「ありあまるフィクション」。秋月のキャッチーなギターにはじまり、感覚ピエロというバンドが持つ艶やかさも不敵さもすべて呑み込んだ楽曲の最後を、「だから宇都宮が大好きって言ってるじゃん!」に変えて、本編は幕を閉じた。



上裸でステージに登場したアキレス健太が筋肉美をアピールしたアンコール。直前まで何を演奏するかを決めずにアンコールのステージに立つ彼らは、この日、酸欠状態のフロアの限界をさらに突破させるべく「O・P・P・A・I」を選んだ。恒例の男女にわけたおっぱいコールで湧かせると、横山は「27歳になったのに、いつまで経っても乳離れできてない! こんな27歳でごめんなさい!」と叫び、秋月と滝口はティッシュ撒き散らしながらのフィニッシュ。対バン相手がニガミ17才だったこと、横山の誕生日だったこと──そんなエモーショナルな意味合いが重なったこの日、彼らはこの瞬間にしかない素敵な景色を作りあげていた。

なお、感覚ピエロは、このツアーを駆け抜けたあと、自身最大の挑戦となる幕張メッセでのワンマンライブ<感覚ピエロ 5-6th anniversary『LIVE - RATION 2019 FINAL』 ~幕張ヴァージンはあなたのもの~>を11月4日に開催する。4年前に初の47都道府県ツアーで臨んだ渋谷クアトロ、2年前の初となるゼップ公演など、これまでも感覚ピエロは、常に自分たちを追い込み、高いハードルを課しながら、そこに向かって全力で突き進んできた。そして、今回の幕張メッセはそんな彼らの歴史のなかでも、最大級のチャレンジになる。そのライブを成功させるべく、今、感覚ピエロは死に物狂いでツアーを駆け抜けている。


取材・文◎秦理絵
撮影◎ヤマダマサヒロ

■<感覚ピエロ 5-6th anniversary『LIVE - RATION 2019』-奮い立たせてなんぼでしょ->5月30日(木)@栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2セットリスト

【ニガミ17才】
01. A
02. おいしい水
03. ねこ子
04. ゴーゴーエアロバイク
05. ただし、BGM
06. 化けるレコード
07. かわきもの
【感覚ピエロ】
01. ARATA - ANATA
02. 疑問疑答
03. LET IT DIE -Wake up-
04. Tonight Yeah!Yeah!Yeah!
05. 加速エモーション
06. 暴動
07. CRAZY GIRL
08. JIJI
09. A BANANA
10. CHALLENGER
11. ハルカミライ
12. メリーさん
13. A-Han!!
14. ありあまるフェイク
encore
15. O・P・P・A・I

◆【対談】感覚ピエロ×ニガミ17才 ページへ

■<感覚ピエロ 5-6th anniversary『LIVE - RATION 2019』-奮い立たせてなんぼでしょ->

5月08日(水) 大阪 梅田CLUB QUATTRO
※ワンマン
5月10日(金) 東京 渋谷CLUB QUATTRO
※ワンマン
5月14日(火) 神奈川 横浜BAYSIS
w/ 忘れらんねえよ
5月15日(水) 埼玉 HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
w/ 忘れらんねえよ
5月17日(金) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO
※ワンマン
5月23日(木) 北海道 札幌PENNY LANE24
w/ アルカラ
5月28日(火) 茨城 水戸LIGHT HOUSE
w/ アルカラ
5月30日(木) 栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
w/ ニガミ17才
6月01日(土) 宮城 仙台CLUB JUNK BOX
w/ ニガミ17才
6月07日(金) 京都 MUSE
w/ 夜の本気ダンス
6月08日(土) 奈良 NEVER LAND
w / ヒトリエ ※ワンマン (気持ちはツーマン)
6月14日(金) 滋賀 U★STONE
w/ Hump Back
6月15日(土) 兵庫 music zoo KOBE 太陽と虎
w/ パノラマパナマタウン
6月16日(日) 香川 高松DIME
w/ LEGO BIG MORL
6月26日(水) 熊本 B.9 V2
w/ オメでたい頭でなにより
6月27日(木) 福岡 DRUM Be-1
w/ オメでたい頭でなにより
6月29日(土) 岐阜 CLUB ROOTS
w/ LAMP IN TERREN
6月30日(日) 三重 松阪M'AXA
w/ LAMP IN TERREN
7月05日(金) 岡山 CRAZYMAMA 2nd room
w/ SIX LOUNGE
7月07日(日) 広島 CLUB QUATTRO
w/ SIX LOUNGE
7月13日(土) 山梨 甲府KAZOO HALL
w/ LEGO BIG MORL
7月14日(日) 東京 マイナビBLITZ赤坂
w/ ミオヤマザキ
7月15日(月・祝) 群馬 高崎club FLEEZ
w/ ヤングオオハラ
7月19日(金) 愛知 DIAMOND HALL
w/ ハルカミライ
7月20日(土) 大阪 BIGCAT
w/ バックドロップシンデレラ
▼チケット
東名阪公演:スタンディング / 2F指定席&スタンディング (マイナビBLITZ赤坂のみ) 4,500円(税込)
対バン公演:3,900円(税込)




■<感覚ピエロ 5-6th anniversary『LIVE - RATION 2019 FINAL』〜幕張ヴァージンはあなたのもの~>

11月04日(月・祝) 幕張メッセ イベントホール
open17:30 / start18:30
▼チケット
全席指定 ¥5,800円(税込)
※年齢制限:小学生以上有料。未就学児童は入場不可
e+:https://eplus.jp/
チケットぴあ:https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=D9290007
ローチケ: https://l-tike.com/
Yahoo!チケット:http://r.y-tickets.jp/kkp2019
LINEチケット:https://ticket.line.me/sp/kankakupiero
(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

■番組『感覚ピエロの××TV』


放送日時:2019年5月4日(土)より毎週土曜日配信
▼【#01 感覚ピエロの××TV 】企画会議 Vo&Gt 横山直弘編
https://www.youtube.com/watch?v=F8nRCiTdpq0


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