【対談】 RUKI×REITA(the GazettE)、経験を積み重ね向かうは横浜アリーナ<「第九」>

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■今のthe GazettEは自分たちが本当に納得した作品をリリースしていける環境

──海外ツアーを軸に据えた活動を行う海外バンドの場合、アルバム1枚を作ったら、それを手に2〜3年ツアーを行うのは当たり前。the GazettEはまさに、そのスタイルを国内で作っている数少ないバンドじゃないですか?

RUKI:その考え方はあります。

REITA:そっちのほうがいいですよね。作ってはツアーをして、作ってはツアーをしてのサイクルを短いスパンで繰り返していくと、どっかでガス欠になっちゃいますから。

──ツアー中に新曲制作などもやっているのでしょうか。それとも、完全にツアーを終え、気持ちを新たに制作へ取り組む形でしょうか。

RUKI:俺はボイスメモへアイデアを録ったり多少は準備もしていますけど。個人的には、制作のときにはそれだけに集中できる時間が欲しいというタイプです。とくにthe GazettEはアルバム毎に形を変えていくバンドなので、前回のアルバムの意識を持ったまま同時に次もと考えるのではなく、一度完全に気持ちを切り離したうえで新たに次の制作へ向かいたい。その結果、リリースのペースも自然と空いてしまうことにはなるんですけど……。

──今は、その環境を実際に作れていますからね。

RUKI:そこは、レコード会社の理解があってのことなので、ありがたいこと。the GazettEも、デビューして何年かは早いペースでリリースを続けていました。ただ、それを繰り返し続けると、自分たち自身が空っぽになってしまうんですよ。

REITA:以前は、毎年のようにアルバムを出していましたからね。

RUKI:なので、レコード会社の方にリリースのペースについても相談をしたところ、3年に1枚という感じでやれている今の環境を作れたわけです。

REITA:「何時までに出せ」とか言われないし、そこはけっこう自由ですね。以前までは、まだ何も出来てないにも関わらず、自分たちで次の作品やツアーなどの動きを発表し、結果自分たちで自分たちの首を締めてしまっていたので、さすがにそれは辞めました。

RUKI:今は、自分たちが本当に納得した作品を作ってはリリースしていける環境にthe GazettEはいます。

──先も見据えつつ、それ以上に、今をしっかり見据えてゆくことが何よりも大事だ。

RUKI:先へ向かってのアイデアも出していますけど、今は集中すべきはNINTHを完成させるという感じです。


──前回の「DOGMA」ツアーから、アルバムの楽曲を長い期間をかけじっくり昇華してゆくスタイルを取るようになったというのは、やはりそれくらい時間をかけないと、自分たちも満足しきれないということでしょうか。

REITA:以前は、アルバムを出してから2〜3ヶ月くらい、合計二十数本のツアーをまわってファイナルを迎え、そこからまた次の作品の制作へ向かってというのが当たり前の流れでしたけど。どうしても、それだとね……。

RUKI:自分たちの中で完全にアルバムの世界観を昇華しきったわけではないところでツアーのファイナルを迎えてしまうこともあった。だから、アルバム『DOGMA』を出した辺りから、同じツアーの中でもいろいろ形を変え、長くやっていこうというスタイルに変えたわけなんです。とはいえ、何時もならシングルを出したうえでアルバムへ繋げる形ですけど。『DOGMA』ツアーのときは、アルバムを出し、そのあとにシングル「UGLY」を出したり、先にも語ったようにツアーのファイナルを2回行ったりと、けっこう変則的な形も取っていたので。それらの経験も踏まえたうえで作りあげた流れが、今回の「THE NINTH」ツアーですね。

REITA:でも、本気でアルバムの曲たちを昇華しようと思ったら「これくらいはやるよね」という感じですけどね。

RUKI:アルバムの制作期間も含め、本気で作品を昇華することを考えたら相応に期間や本数は必要なこと。以前のように、2ヶ月でアルバムを作りあげ、それを2〜3ヶ月のツアーで昇華して、それでまたすぐにアルバムの制作に入るという流れを突き詰めていくと、精神的にげっそりしちゃいますからね。

──やはり、アルバムの世界観を完全に昇華するうえでは、ある程度の期間が必要なわけだ。

REITA:そうじゃないと、次にはいけないし。

RUKI:それにライブツアーって、実際にやってわかることもいろいろとあるんですよ。今回のツアーを通してけっこう勉強になるなぁと思ったのが、「会場の規模によって合う表現、合わない表現があるな」ということ。当たり前の話ですが。

──今のthe GazettEは、ダイナミズムのある楽曲が軸ですからね。

REITA:どこの会場でも同じように見せたい気持ちを持って全力でやっていますけど。会場の広さや照明の当たり具合、それこそメンバーどうしの距離感も含め、いろんな要素が楽曲にも異なる形で投影されるんだなというのは、今回のツアーを通して感じたことでした。ただし、その違和感さえも、メンバーもファンたちもプラスに受け止めて楽しめてたなとも感じてたけどね。

──やはり、やらないとわからないこともいろいろあるんですね。

RUKI:どんな環境でも似合うように、という意識でいます。ただし海外ツアーではとくにそうですけど、設備が整っていなかったりするからこそ、環境を踏まえてのセットリストというのも考慮すべき点としてあるのも事実です。

──楽器隊の場合、とくに海外公演は機材面をどう整えてゆくか大変じゃないですか?

REITA:今回のツアーでは、あらかじめ国内を含め小さなステージでもライブをやることがわかっていたから、コンパクトに収まる機材の準備をして臨んだのであまり困りませんでした。ただドラムは海外では常にレンタルだったので、いろいろあったみたいでしたね。何処かの会場では、バスドラの左右の色が違ってたりしていたからね(笑)。

RUKI:バスドラのみならず、タムでもそういうのがあった。戒はめちゃくちゃ気になってたみたいだったけど(笑)。

──その都度、対応していくのは大変ですよね。

RUKI:それが、次第に感覚が麻痺していくんですよ。当たり前の環境が無いことが、当たり前になってくというか。

REITA:熱くて狭い会場は、ぜんぜん慣れましたね。


──目の前に近づいた、8月15日(木)に横須賀芸術劇場で行う<PHASE#05「混血」>と9月23日(月・祝)に控えたファイナル公演<「第九」>。公演内容が気になります。

RUKI:軸は一緒ですけど。<「混血」>は遊び心があるというか、アルバム『NINTH』に至るまでの過程の姿を、アルバム『NINTH』という濃い血の中へ混ぜ合わせた公演にしていこうとは考えてる。そのうえで、改めてファイナル公演で、アルバム『NINTH』としての世界観をしっかり見せきりたいなと思っています。

REITA:横須賀芸術劇場って、作りが独特なんですよ。5階くらいまで客席があるように天井も高いし。何より、ステージから見える景色がすごくいいんですよ。

──今のthe GazettEの場合、そこが高田馬場AREAでも横浜アリーナでも、向かう意識に大きな変化が現れるわけではないですよね。

RUKI:大きな変化はないけど、むしろ100人規模のほうが緊張します。

REITA:逆に、緊張しちゃうよね。

──ライブハウスツアーでは、お客さんたちの距離が本当に目の前でしたからね。

RUKI:確かに近いなとは思いましたけど。それ以上に、メンバーとの距離が近いなという(笑)。

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