【インタビュー】Blue Vintage、オーガニックで心地よい感触のハートウォームなニューアルバム『BLUE』

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爽やかな潮風を感じるサーフミュージックとアダルトで洗練されたシティ・ソウルとをブレンドした、口当たりはいいがしっかり酔わせてくれるカクテルのような音楽。ボーカル・J.Speaksの日本人離れしたブラック・フィーリング溢れる歌声と、ギター・Taigaのブルース、ファンク、ロックなどを内包する多彩なプレイの融合が生み出すBlue Vintageの楽曲は、J-POP好きだろうと洋楽派だろうと聴き手を選ばない。ニューアルバム『BLUE』は、派手なパーティー・チューンから本格派レゲエ、メロウなR&B、スウィートなアコースティック・バラードなど、オーガニックで心地よい感触のハートウォームな全11曲。ちょっぴり心が疲れたそんな時、Blue Vintageの音楽をそっと届けよう。

■“これで最後かもしれない”という気持ちは常にあります
■周りのサポートがないとアルバムはできないという意味も込めて


──Blue Vintageの曲から感じるフィーリングって、都会の夜のクラブのチルアウトタイムみたいなイメージと、休日の昼間の海辺の感じのどちらもあると思うんですよね。実際、お二人はどこで育ったんですか?

J.Speaks:ああー。自分はフィリピンで生まれてサイパンで育ちました。ハワイにもいたので、小さい頃から都会というものにすごい憧れを抱いていたんです。でも、いざ都会に住んでみたら後悔したんですけど(笑)。そういったものが自然と曲に出ているのかもしれない。

──じゃあ、週末はできれば海にいたいみたいな?

J.Speaks:理想を言えば、冬は南国に行って夏になったらライブをしに東京に来るっていうのがいいですね(笑)。

Taiga:僕は東京生まれなんで、田舎も海も大好きですけど住むのはちょっときついのかなと。排気ガスの匂いが落ち着くというか、“あー東京に帰ってきた”みたいな(笑)。だからJくんが言ったみたいに、半分半分で暮らしていけたらベストなのかなと思っていて、海外半分日本半分でやっていけたらという夢はあります。

──そのバランス感覚、めっちゃ音に出てると思います。そんな二人が出会ったのが2013年。どんなきっかけで?

J.Speaks:当時、自分はアーティスト活動のほかに作家業もやっていて、その時出会った人がTaigaの所属していたレコード会社の人と仲が良くて。Taigaを売り出すためにメロディと歌詞が書けて歌える人はいないかとなって、自分が呼ばれたという感じです。1曲作って送ったら周りの反応がすごく良くて、話していくうちに“こんなにフィーリングの合う奴がいるんだ”と思って、そこからとんとん拍子だよね。

Taiga:そうですね。

──“こんなにフィーリングの合う奴がいるんだ”というところを、もうちょっと詳しく教えてください。

J.Speaks:まずTaigaはサーファーでもあるので、海に携わる人って独特な空気があるんですよ。沖縄の人もそうですけど、ゆったりとした感じがまず合うというところから、音楽を作る上で言葉はなくても通じ合う部分があったりして、そこがいちばん大きいですね。

Taiga:僕が持った第一印象は、“ハンパじゃない人が来たな”ということ(笑)。初めて会った日に会議室で僕の曲を聴いてもらって、“こうやったらレゲエっぽくなるね”とか、その場でメロディを何パターンも出してくれて。後日、Jくんの声が入った音源が送られてきたんですけど、思ってた以上のものが返ってきて、“この人ハンパじゃない”と思いました。これだけ歌えたらマジ無敵だと思ったので、僕のほうから“これから一緒にやっていきませんか”という話をしました。

J.Speaks:僕は表舞台に立つのを諦めていたわけではないんですが、縁がないだろうなと。ずっと違うユニットで頑張っていたんですがいろいろあって、“ここじゃないのかな”という気持ちでしたね。Taigaと出会うまでは。


──Blue Vintageには、ソウル、ファンク、レゲエ、オールディーズなど、相当に幅広い音楽性を感じます。元々どんな感じだったんですか。

J.Speaks:僕は昔、ゴリゴリのラッパーでした。中高校生時代はラップをやっていて、大学時代にハワイに行った時に遊びでバンドを組んだんですよ。メインボーカルに、“サビ歌うからハモって”って言われてやってみたら反応が良くて、だんだんパートが増えていった(笑)。

──音楽のヒーローは?

J.Speaks:ヒップホップだったら、最初にのめり込んだのはクーリオです。彼が入り口を開いてくれて、ヒップホップとR&Bは密接な関係だからボーイズIIメンに行って、マライア・キャリーやR.ケリーに行って、ハワイはレゲエがよく耳に入ってくるので、ハワイアン・レゲエが好きになって。そう考えると幅広いですね。

Taiga:僕は、スティーヴィー・レイ・ヴォーンですね。ギターのトーンは、生涯かけて彼に近づいていきたいと思っています。あとはエリック・クラプトン、荒々しさで言うとジミ・ヘンドリックスとか、そのへんをずっと聴いてました。

──Taigaさんは俺が俺がのリードギターというよりは、クールなカッティングもシンプルなアコギのリフも、むしろバッキングを丁寧にやる印象があります。

Taiga: Blue VintageのTaigaとしては、曲を聴き終わった後に歌詞や歌のイメージが頭に残るようにしたいので。リフが多い曲ならギターソロをしなかったり、バッキングばかりの曲ならちょっとソロを入れさせてもらったり、あまりギターが目立ちすぎるとギター好きな人だったらいいんですけど、そうじゃない人は頭に残らないと思うので、そのへんのバランスはすごい考えて作っています。Blue Vintageは、あくまで歌モノにしたいので。


▲J.Speaks

──ユニットを組んで今年で6年。2015年にシングルとアルバムを出したあと、2018年にミニアルバム『IVORY』を出して、けっこう間が開きましたね。

J.Speaks:『IVORY』を出す前に、空白の1、2年間があったんです。音楽をやっていく上で誰もが通る道だと思うんですけど、いろんなことがうまくいかなくてずっともがいていた。その時にできた曲が「渚のハニー」で、この曲は何万人も入る大型フェスでぶち上がってやりたいという気持ちを込めて作った曲で、それがきっかけで歯車が回りだしたんですね。ただ、現実的にうちらはほぼ無名で、もっと地力をつけて名前を知ってもらわなきゃいけない。その時に今の事務所からお話をもらって、このチャンスは絶対逃すまいと思って、そこから毎週日曜日にインスタで“勝手にCMシリーズ”を始めて、カバーやセッションなど、今も死に物狂いでやっています。おかげで海界隈を歌うアーティストさんには名前が知られるようになって、間違ってはいなかったと思っています。続けることは大変ですけど、それが一番近道なのかなと思っています。

──海と言えば、「Hey Hey Hey」のミュージックビデオで、海沿いの素敵なカフェみたいな場所が出てきますけれども。

J.Speaks:あれは逗子のsurfersというところです。あの場所もゆかりがあって、今の事務所に入る前に何回かライブしたことがあって、店長さんも気に入ってくれて“早くバンドでやれよ”とずっと言ってもらっていたんですよ。その時は、DJを入れた3人でやっていたので。バンドでできるようになったら絶対ここでやろうと思っていて、ここ1、2年はがっつりバンドでやるようになって、最近また仲良くさせてもらっています。

──「Hey Hey Hey」は ニューアルバム『BLUE』の1曲目でもあるし、海が好き、パーティーが好き、酒が好き、女の子が好き、みたいな(笑)。好きなものをいっぱい詰め込んだ、等身大のファンキーなロックチューン。アルバムの最初と最後、「Hey Hey Hey」「渚のハニー」が一番派手でアッパーな曲になっています。

J.Speaks:ぶち上がって始まって、ぶち上がって終わろうみたいな。このアルバムで終わらせたくないというテーマが自分の中にあったんです。まず勢いをつけて「Hey Hey Hey」でアルバムを始めて、最後にまたワクワクするような「渚のハニー」を置いて、次も作らなきゃということですね。Blue VintageのBLUEから取ったアルバム名なので、これが自分たちのベストということなんですけど、“これで最後かもしれない”という気持ちは常にありますし、周りのサポートがないとアルバムはできないという意味も込めて。

──曲はここ1、2年の曲ですか。

Taiga:古い曲もあります。「Good Morning Tokyo」「Empty Room」は、一番最初のCD(2015年『PURPLE』)から持ってきた曲ですね。「渚のハニー」は『IVORY』にも入っていますし、そういうものに最新の曲を加えたという感じです。今のベストです。

J.Speaks:昔の曲も再録音しているので、何千回と歌ってきた曲を余計なものをそぎ落とした歌い方で、あらためて入れさせていただきました。

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