【インタビュー】Waiveの田澤と杉本が語る“解散中”という新たな概念「バンドにとって死を意味すると思うんです、解散って」

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■来年が結成20周年という大義名分
■やるかやらないかは知らないけど

──田澤さんは“解散中”という言葉について、今、どう捉えていますか?

田澤:僕としては、京都公演のMCで本当に何の気なしに問い掛けたんですけど、もうめちゃめちゃ腑に落ちてます。僕らにとってもそれがひとつの望みなんじゃないですか? “本当にこれで終わりだ”ということではない、集まりたければ集まってもいい、という望み。なんか魔法が掛かれば。シンデレラみたいなものですかね? “12時まではOK!”みたいな(笑)。別にそれは1回じゃなくたっていいじゃん?っていう。そんな気がしてます。みんなでそういう話をしたわけじゃないんですけど、“またあったとして、それはそれでOKよね?”みたいな空気感があるんですよ。僕がそう感じてるだけかもしれないけど。それを受けていたからこそ、今回はツアー感が強かったのも……このままずっと続いていくようなバンドだとどこかで錯覚してしまうぐらいの……そんな感覚だったんですね。僕はこれをMCでも言ってたけど、「終わると思えない」というか。だから冒頭に言った、Zepp Tokyoを前に終わりが近づくにつれてちょっと正気に戻っていった、じゃないですけど、“あ、そういえば終わるんだったわ”みたいな。“また集まれると思ってるだけで、これがもしかしたら最後かもしれないんだ”と改めて考え直さないとダメなぐらいナチュラルに、Waiveのことをみんなバンドとして考えている状態だった、と。

──はい。

田澤:そうなったのはやっぱり、解散中という概念があの時点でハッキリしたからなんじゃないかな? 僕だけじゃなくて。貮方くんにとっても、淳にとってもそうだったんじゃないですかね? 解散中という概念が生まれるまでは、再演しては解散し直してる、みたいなところがあったんですよ。始まったら終わるから。期間限定であれ、再演して、二度目の解散、三度目の解散、みたいな感覚だったんです。だから、そういう意味では解散中という概念が生まれた、というのはデカい。

──繰り返しになりますが、では、これから先も解散中という名のもとに、みんなの気持ちがまた高まれば、いろいろ整えばやりたい、という感じですかね?

田澤:うん。

杉本:そうですね~。分かんないもんな、みんななに考えてるのか、正直。きっと“やりたくねえな”みたいな人は誰もいないんだと思ってるんですけど。

田澤:うん、そうそう。

──その度合いは分からないですもんね。

田澤:温度感はね。

杉本:そう、要は温度感ですね。大袈裟な言い方をすると、条件が各々にはあるっていうか。じゃあ「300本年間やろうぜ!」と言ったとき、「おう、いいよ!」と言えるやつと、「いやいや、さすがに困る」みたいなやつがいるとか(笑)。極論ですけどね。

田澤:「またやりましょう」という話が出たとして、それはOKなんです、きっと。「で……」みたいなところで、今の善徳くんの話になってきますよね。

杉本:でももうねぇ……やれることがないんですよ(笑)。

田澤:あぁ、それはそう(笑)。

杉本:これも大阪公演のMCで話したことで、今回のツアーは名古屋公演でいったん終わりだったんですけど、そこまでの全公演で唯一大阪(※Waiveの地元)だけが売り切れなかったんですよ。2005年以降、大阪公演が売り切れなかったのは初めてで。「解散しまーす! 再演しまーす!」という特需がついに切れた、という話を僕はしていて(笑)。

田澤:あはは!

杉本:別にそのこと自体はいいんです、適正値にいっているんだから。ビジネスのことを除くと、なにも間違ってなくて、いいんです。けど、やっぱりそうなるとひとつ弊害があるというか。「じゃあ、やろうよ!」と気軽に言えない要素が生まれたのは事実としてあって。解散中という言葉があるからまたやれる、というのもあるけど、無暗にライブをして“なんかよう分からんけど、もうでけへんな”という状況になってしまっても……。それって結局、解散中という言葉があるだけで、“復活してるバンドと一緒なんちゃう?”っていう。それもどうかね?と思っているので。そう考えると、その特需が望めないならば(笑)、全員をひとつにする、これはバンドだけじゃなくてスタッフもファンも含めて、大義名分として打ち立てられるのは、来年が結成20周年だというのがひとつ。やるかやらないかは知らないけど、勝手に訪れるであろう大義名分ですよね。この半年ぐらいで世界が滅びたりしない限りは(笑)。

田澤:うん。

杉本:それ以外は、もう自分らで作らないとダメになっちゃったから。もともと今回の再演プロジェクトが持ち上がったときに言っていた、謎のメジャーデビューに改めて挑戦してみる(笑)、とか。当初は漠然としていて、“解散してるバンドなんですよ。あっはっは!”で交渉決裂が続いたので、“解散中”という概念の説明を懇々としてみて、“なるほど! そういう新しいスタンスならアリですね!”と言ってくれる人に仮に巡り合えて、“じゃあやりましょう”となれたら、それがひとつのトピックになって我々を動かす可能性はある、とかね。あとはもう、億万長者になってるファンの人が現れて、“おぉ、君たちのプロジェクトに5億円ぐらい遣ってもらえないかな?”みたいなことを言ってきたら、“しゃあないっすね!”と(笑)。

田澤:ははは(笑)。

杉本:そういうことが起こってもおかしくないのでね。もうファンのみなさんもそれなりにお年を召されてるんで(笑)。

──事業に成功している方もいらっしゃるでしょう。

杉本:はい、いてもおかしくないので(笑)。例えばそういうことがあれば、“仕方なしに!”活動してもいいかな(笑)?

──いずれにせよ、なにかしら意味や意義を見出せるような活動をしていく、と。

杉本:そうじゃないとやっぱり、解散中という言葉におんぶに抱っこになっちゃうのは良くないですよね。例えば“5憶出そう”というパトロンが現れて、それにただ乗っかるだけじゃなくて、僕らが“8憶にして返しました!”みたいな。それならそれでいいし。とにかくそういうことができれば、やっていく意味があるのかな? ただ、なにを生んでいるわけでもなく、すべてが下降していく中で、“いや、でも僕たち解散中だからなんだってOK”みたいなのはさすがに……。ものを発信している側の人間として恥ずかしいとは思うから、そこをちゃんとしたいなぁ。

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