【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.115「“30”、そして新たなタイマー始動 -THE YELLOW MONKEY-」

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2019年7月7日、THE YELLOW MONKEYのタイマーが再び動き始めた。

4月下旬に皮切りし、9月まで続く<THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019 -GRATEFUL SPOONFUL->。その中盤となる、さいたまスーパーアリーナ公演2日目終演後、ステージ上のスクリーンに謎のショートフィルムが映し出された。その内容は、モノクロの世界で1匹のテントウ虫が飛び去った後、うごめく何かがひとつずつ浮かび上がり、最後は数字の「30」と猿のイラストが映し出されるとタイマーによるカウントダウンが始まるというアニメーションだった。その演出は、2016年の再集結が明かされたときに仕掛けられたタイマーによるカウントダウンを思い起こさせるものだった。

あのときのタイマーの横には金色に描かれた物体が描かれていて、後の「ALRIGHT」発表によって、それが生まれ変わる前のサナギであり、これからもう一度羽ばたいてゆくTHE YELLOW MONKEYを連想させるものと知ったわけだが、“再集結タイマー”が仕掛けられたのは、実はそれよりもずっと前の2013年の七夕で、その日ボーカルの吉井氏が滞在先のロンドンから他のメンバー全員に宛てた再集結を呼びかけるメールを送った事実は本人たちの言葉によって後に明かされてもいた。その記念すべき日から6年後となるこの特別な日をバンドと共に迎えようと集まったオーディエンスも多くいたことと思われるが、バンド側も“再集結スペシャル”として埼玉2公演を位置づけるなど、今ツアーにおける他の公演とはひと味違うライブが披露された。

あくまでも想像だが、今回ショートフィルムに映し出された「30」という数字が表すものが現メンバーとなって30周年を迎えることだとすれば、12月28日へのカウントダウンと解釈することもできる。だが、過去その日に開催されてきた<メカラ・ウロコ>は昨年の日本武道館公演をもってファイナルと銘打たれ、封印された。一体、今回のタイマーは何を意味するのだろうか。


私たちは今、もう一度タイマーをまわして生まれ変わったTHE YELLOW MONKEYを観ている。10代の頃はエロティックで熱く、艶やかな大人の秘め事を覗き見るような感覚で触れていた彼らの音楽は、それから30年近くが経過しようという現在も進化し、時よりハッとする言葉が耳に響くリリックとより一層磨きのかかったテクニックで奏でる濃密なロック・サウンドを聴かせてくれる。その上、再集結後初リリースとなったアルバム『9999』を「まだまだ、こんなもんじゃない」と評する吉井氏の言葉は非常に頼もしく、彼の地で見て再集結を決意したというTHE ROLLING STONESのような国民的なポップアイコンへの道を突き進むバンドには期待しかない。

いくつになっても聴き手の心を揺さぶらせる日本を代表するロックバンド、THE YELLOW MONKEY。今回のツアーでは4種のセットリストが用意されており、各公演にハートやダイヤといったマークが付与されているのでチケットを購入する段階で自分がどのマークを観たいかを選ぶことができる。気になる人は4つのマークのコンプリートに挑戦しつつ、新たに回り始めたタイマーの意味する謎解きを共に楽しんでいこう。

文◎早乙女‘dorami’ゆうこ

◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】
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