【インタビュー】10-FEET、2年ぶりシングル完成「全部をひっくり返すような存在。そういうものになったらいいな」

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10-FEETが7月24日、18thシングル「ハローフィクサー」をリリースする。シングルとしては「太陽の月」以来2年ぶり、音源としては結成20周年イヤーにリリースしたアルバム『Fin』以来約1年8ヵ月ぶりとなる最新作の完成だ。今年5月の自身史上最大級の野外ワンマンライブ<10-FEET野外ワンマンライブ2019 in 稲佐山>で初披露されたタイトルチューンは、先ごろ4日間にわたって行われた<京都大作戦2019 〜倍返しです! 喰らいな祭〜>でも全日演奏され、京都の空のもとに灼熱と希望を描き切った。

◆10-FEET 画像

収録された全3曲は、10-FEETの進化形そのものだ。自分たち自身がビックリするもの、心ときめかすもの、楽しくて刺激的なものを追い求めた結果、彼ららしくも新しいサウンドが、ここに生み落とされた。同期やシンセサウンドの導入とアグレッシヴなサウンドが同居したミクスチャー「ハローフィクサー」、疾走するストレートなビートに日本パンクの美学が息づく「heart blue」、そして、ひたすら数字が並ぶタイトルと歌詞がファニーで印象的な「123456789101112」。タイプの異なる3曲に宿る変幻自在、渾然一体のミクスチャーサウンドに迫るべく、メンバー3人に話を訊いたロングインタビューをお届けする。なお、先ごろ公開した“【動画】10-FEET、<京都大作戦2019>と「ハローフィクサー」を語る”も併せてお楽しみいただきたい。

   ◆   ◆   ◆

■10-FEETでできることって俺らが思ってる以上に
■もっとあるんじゃないかなと

──2017年に発表したアルバム『Fin』は、“これが最後のアルバムになってもいい”ぐらいの覚悟で作り始めた作品でした。

TAKUMA:はい、そうでしたね。

──でも作品リリース後にツアーやライブを重ねるなかで、気持ちの変化なども起こりました?

TAKUMA:『Fin』のとき、結成から20年分のバンドや音楽の経験値というか、そういうものを1回、出し切れたんじゃないかと思うんです。実際にそのときに出し切った感がけっこうあったんですけど、月日が経つにつれて、“もっとこうできたんじゃないか”とか、“これぐらいひっくり返るような作品をもっと作らなあかんな”とか、そういう思いもまた芽生えてきて。すごいアルバムができたと思ったし、同じような曲は二度と書けへんなって曲もできた。でも、もっともっとビックリするような曲や作品であったり、納得いくもの、満足するものを作れるんじゃないかなって。今振り返っても、もう1回思えていたし、作らなあかんなとも思って。そういうことを目指すからこそ、出てきた発想やったりしたのかなと。分からないですけどね、あまりそのへんは理屈っぽく考えていなかったんで。

▲TAKUMA (Vo&G)

──やり切るつもりで『Fin』を作ったものの、時間が経って、やっぱやり切ってないなと?

TAKUMA:10-FEETでできることって、俺らが思っている以上にもっとあるんじゃないかなと思えてきたというか。あとは、選んで、それをやるかやらへんかってことと、なしをありにできるセンスと経験値をもっと養うかってことですかね。でも、“それはちょっとやり過ぎちゃうの?”ってものとか、“ちょっと違うんじゃないの?”ってものが、意外におもしろかったり、逆にすごくいいねってなっていくのも、めちゃくちゃ楽しいと思うので。それって、最初の時点での発想で、奇抜やったり勢いがあったり、それに必要な決意や楽しい気持ちがないと生まれていかないと思う。『Fin』を作り終えてしばらくして、そういう道にまた進み出したんじゃないかなと思います。それがここからずっと続いていくのか、急に気が変わることもあるのか、ちょっと分からないんですけどね。でも、すごくおもしろいことになってます。

──作曲をするとき、いい曲を作ろうって気持ち以上に、刺激的なものを作ろうって感じなんですかね? 今の話を聞いていて、そう感じたんです。

TAKUMA:刺激的なものは絶対にほしいですね。“10-FEETの楽曲としてこれがリリースされたらおもしろくない?”ってことをメンバーと感じて、その曲自体からおもしろいアクションが生まれていけばいいなって。それはやっぱり、良い曲ってことが前提やと思うんですね。そうじゃないと、ただの独りよがりみたいになってしまうんで。良かったり、おもしろかったりしなきゃいけない。そのためにどういう作品を作ったらいいんやろう?とか、それぞれのどういうところを鍛えたらそうなっていくんやろう?とか、やることも見えてくるんですよね。

──『Fin』のツアーの合間などで、新曲について互いにアイデアを出したり、音を出してみたりってこともしていたんですか?

TAKUMA:作曲ジャムみたいな? それはそんなにやってなかったですけどね。でも“最近どんなん聴いてる?”ってラインをKOUICHIとNAOKIにして。“最近いいと思うのは誰?”とか聞いたりすることもあるかな。音楽的に共通している趣味や趣向は大いにあるけど、そのときどきに聴くものはわりとバラバラやったりするから。気分にもよると思うんですけど。それで今、どういう気分なんやろう?って気になって、聴いてる音楽について質問することもあるし。あと自分とは違う目線での2人の個人的なトレンドとか、好きになったバンドやアーティストを教えてもらいたくなってましたね。作曲とか制作中に、たまにそういうのがあるんですよ。

▲KOUICHI (Dr&Cho)

──そういえば個人的に、ここ何年もメンバーとはそういう話をしたことありませんでした。どういうのが好きなの?

KOUICHI:エド・シーランですね、最近よく聴いているのは。他もけっこう聴いてますけど、一番よく聴くのはエド・シーラン。昔からメロディある音楽とかよく聴いてたんですよ。だからポップスも普通に。

──京都の藤井フミヤ的なシンガー=KOUICHI先生ですからね(笑)。

KOUICHI:はい、“的な”というより“根本が”藤井フミヤさんっすから(笑)。

NAOKI:僕は最近、あんまり新しい人とかは聴いてないんですよ。昔よく聴いていたものをまた聴いたりってのが多いですね。昔の歌謡曲とかも聴いたりしますよ。松任谷由実さんとか竹内まりやさんとかも。だから去年、<ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018>に松任谷由実さんが出演していて、もちろん観に行ったんですよ。すごく癒されましたね。さすが、ポップス界の女王。松任谷由実さんが、野外のロックフェスというシチュエーションのステージに出ることもあまりないと思うんで。

──<氣志團万博2017>での山下達郎さんもすごく良かったですよ。

NAOKI:すごかったですよね!

──それにしても、ポップスがけっこう好きなんですね。

NAOKI:実はそうなんですよね。

TAKUMA:僕は最近、蓮花(れんか)という女性シンガーとか、ジェイソン・ムラーズ、プロディジー、レディオヘッド、もちろんエド・シーランも聴くし。最近はそんな感じかな。

──その日やそのときの気分によって聴く曲や音楽が変わるのは分かりますけど、今、名前の挙がったシンガーやアーティストから考えても、「ハローフィクサー」はなかなか結び付かないですね(笑)。

KOUICHI:ですか(笑)?

──曲が始まって20秒間は、スイングする心地よさなんですけど、21秒からですよ。ドカスカ攻め始めるじゃないですか。そこにポップスの女王はいない(笑)。

TAKUMA:ねっ(笑)。

◆インタビュー【2】へ
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