【インタビュー】スキレット「現在のカルチャーは、“いつだって人生が素晴らしい”と誤解している」

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■ 僕らは本当に日本へ戻る必要があると思うよ

── セルフプロデュースだったことで、過去のアルバムと比較して制作には時間がかかりましたか?

ジョン:むしろ短い時間で済んだと思うよ。だって他の人のスケジュールを待つ必要がなかったからね。これまでのアルバムレコーディングに関しては、ツアーにツアーを重ねた後に4ヶ月のオフを取って、約1ヶ月間、スタジオに通ってレコーディングをしていた。でも自分たちでやるとなれば、ツアーの移動中に色々なことが出来るんだ。レコーディング機材をツアーに持ち込んで、ツアーバスや控え室、ホテルの部屋の中など、やりたい時にレコーディングスタジオのようなセッティングをして作業することができるんだ。仕上げたいと思った時に仕上げることができた。そしてレコーディングスタジオを1日借りて、よりいい音に仕上げるためにギターやストリングスなどのオーバーダビングをするんだ。できなかったことなんてごくわずかだよ。ボーカルだってすべてツアーバスの中や自宅で行なった。自分たちでコントロールできたのは良かったし、予算削減においても優れていたよ。

── いろんな場所でレコーディングを行ったとのことですが、そんな中でもユニークな場所はありましたか?

ジョン:劣悪なエコーが発生する場所なんかはあったよね。控え室とか。そんな時はツアーバスへ行って、窓側にソロボーカルのセットアップをしたりしたよ。ある時、ジェン(・レジャー/ドラム、ボーカル)がホテルの部屋で、深夜だったんだけど、大きな声で歌うからみんなが起きるんじゃないかって思って、カウチの上でクッションで頭を隠して突っ伏して、レコーディングしなければならなかったことはあったね(笑)。

── ニューアルバムから1曲、あなたにとって1番重要な曲や特別な思い入れのある曲を選んで頂けますか?

ジョン:そうだなぁ…“ヴィクトリアス” だね。この曲に関してはすでに話した通りだよ。そして恐らく“セイヴ・ミー” だね。この楽曲は僕が思うにオールドスクールなスキレット・ソングなんだ。まるで10年前のスキレットのようなね。その頃が好きなファン向けでもあるし、当時のスタイルは今も健在だよと伝えることができる。それから10年が経ってスタイルも変わったけれど、例えるならばまるでU2のような。100人のU2ファンにベストアルバムは?と聞いたらそれぞれバラバラのアルバムを選ぶような。いつ好きになったのかによってそれぞれ違う。なぜかっていうとレコードと人との相互作用のようなものだし、僕たちのファンは多様性があると思うんだ。“セイヴ・ミー” がクールだと僕が感じるのは、僕はメタルが好きだから。この曲にはよりメタルなギターのパートが多く入っていて、ギター・ソロも十分に容赦なくてオールドなスキレットのスタイルだ。それにこの曲の歌詞も好きなんだ!ダークで、少しゴシックでもある。こういったスタイルはしばらくやっていなかったから僕をハッピーにさせてくれたよ。


── 今回ニューアルバムと同じく2019年8月にグラフィックノベル『Eden: A Skillet Graphic Novel』も発売となりますね。フィクションだけど、あなた方メンバーが全員、実名で登場するんですよね?

ジョン:これは本当にいいんだよ!ファンもきっと気に入ってくれるはずだよ。サイエンス・フィクションで、同時にミステリアス、少しだけスピチュアルな感じもあればアクションもあって、クールなんだ。僕ら全員が実名で登場するんだけど、スキレットのメンバーとしてではないんだ。物語の中で僕とコリーは結婚していて、ジェンとセス(・モリソン/リード・ギター)とは途中で、違うグループと旅をしている彼らと出会うんだ。みんなが自分らしさを保とうと苦悩していて、他人を救う術も忘れてしまっているような、暗い未来が舞台になっているんだ。それを僕らがエデンと呼ぶのは、僕らがそんな場所から離れ、明るい未来へとたどり着こうとしているから。(物語の中で)探し求めているのが新しい地球への門戸のようなもので、だからそれをエデンと呼んでいる。聖書の中でエデンは神が創造したもので、争いも恐れも痛みもない新しい地球。そしてその入り口はあらゆる人に開かれていて、自分たち自身がそこで新たな世界を創造することができる、というのがアイデアなんだ。

── とても壮大で美しいコンセプトですね。ちなみにこの『Eden』は1冊完結なのでしょうか?それとも続いていくのでしょうか?

ジョン:続編を作るというアイデアは僕らも好きだね。この本がどの位成功するのかわからないので続編に関して今はノーアイデアだけど、すごくいい本だと思うし、ファンも当然気に入ってくれるだろうって願っているよ。本音を言うと、本そのものの内容よりも、感じ方というか、希望に満ちていて、スピリチュアルで、まさにスキレットが本を書いたって感じなんだ。僕らの音楽と似通っていて、ダークなんだけど同時に美しくもある、みたいな。だからファンも気に入ってくれるだろうって確信しているし、実際ファンが気に入ってくれたら、さらに本を書くだろうね!実は『Eden』のために、エクスクルーシヴ・ソングをレコーディングするんだ。しかもその曲はスキレットのアルバムには聴くことができない。あくまでその曲は『Eden』を購入してくれた人のみが手に入れられるんだ。今週(*7月初週)レコーディングするんだけど、曲のタイトルは “Dreaming an Eden” っていうんだよ。

── 今作、そして前作の楽曲を目の前でプレイしてもらう日を日本のファンは楽しみにしていると思います。前回の来日から随分と長い月日が経っていますが、ジャパンツアーの予定はありますか?

ジョン:前回日本に行ったのが確か2010年だったと思うんだけど、とても楽しい時間を過ごすことができたし、とても日本が気に入ったんだ。以前、僕のポッドキャスト“COOPER STUFF - Thought Of the Day”の中で日本のことを語ったことがあるんだよ。3分ほどのものだけど、ほぼ毎日、僕が感じたこと、僕の今日の1曲みたいなことを語って、(聴いてくれた人に)インスパイアを与えられたらなと思っているんだけど、その中で日本から影響を受けたことについて触れたんだ。日本の人たちが日本にいることをどれだけ愛しているか、仕事に対してや自分自身に対するリスペクトを持っているかということ、自分たちの行なっていることに誇りを持っていることなどに影響を受けたっていう、素晴らしい体験について語ったんだ。食事も素晴らしいし。日本のことをそんなに知ってはいないけれど、その時の Thought Of the Dayのポイントは、リスペクトすること、リスペクトすることの価値について僕が学んだことだったんだ。そうだね、僕らは本当に日本へ戻る必要があると思うよ。まだその予定は立っていないけれどね。

── ありがとうございます!もし、再来日公演が実現したらセットリストはどんな感じになると思いますか?

ジョン:そうだねぇ、ヒットした曲は演奏しなきゃって思うんだよね。“モンスター”(『アウェイク』2009年)、“ヒーロー”(『アウェイク』) や “フィール・インヴィジブル”(『アンリーシュド』2016年) 、“レジェンダリー” といったね。でも、日本のオーディエンスってメロディックな曲が好きなんだなって覚えているんだ。“アウェイク・アンド・アライヴ” (『アウェイク』)みたいな曲だね。恐らくそういった曲をやって、サプライズで何か足すとか、そんな感じかな。


── 来日の報せが届くのを心待ちにしていますね!ちなみに、特別に日本の人々のために“Thoughts of the Day” を届けるとしたらどんな思いを送りますか?

ジョン:日本のファンへ送る思い?うーん本当にたくさんの思いが浮かぶんだけど…多分ひとつだけを伝えるとするならば “Hope (希望)” だろうね。ホープって僕の書く音楽について表す思いでもあるし、人々に伝えたい思いでもある。ホープなしの人生なんて実にひどいものだよ。

インタビュー、訳:宮原亜矢
アーティスト写真撮影:Chrissy Nix

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■ アルバム『Victorious / ビクトリアス』

2019年8月2日発売
WPCR-18230 / ¥1,980+税

トラックリスト:
1. Legendary / レジェンダリー
2. You Ain’t Ready / ユー・エイント・レディー
3. Victorious / ビクトリアス
4. This Is the Kingdom / ディス・イズ・ザ・キングダム
5. Save Me / セイヴ・ミー
6. Rise Up / ライズ・アップ
7. Terrify the Dark / テリファイ・ザ・ダーク
8. Never Going Back / ネバー・ゴーイング・バック
9. Reach / リーチ
10. Anchor / アンカー
11. Finish Line / フィニッシュ・ライン
12. Back to Life / バック・トゥ・ライフ
13. Victorious (Demo Version) / ビクトリアス(デモ・バージョン)*日本盤ボーナス・トラック

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