キング関口台スタジオ、スタジオ併設のアナログ盤ダイレクトカッティング業務を開始

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キングレコードの関連会社「キング関口台スタジオ」がアナログ盤のカッティングマシンを蘇生させ、2019年秋よりスタジオ併設のダイレクトカッティング業務を開始する。東京・文京区の同スタジオでは7月30日、国内外で活躍中の4人の演奏家を招いての実演と録音の模様が披露された。

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“ダイレクトカッティング”は、カッティングルームとレコーディングスタジオを直結して、アナログテープやデジタルファイルなどの途中変換を一切せず、録音スタジオの生音をダイレクトに溝に刻むという技術だ。アナログレコード制作の最高音質を誇る反面、曲間を含む演奏の編集、やり直しがきかないため、ミュージシャン、エンジニアともに非常に緊張を強いられる作業となる。


国内では唯一だというスタジオ併設のダイレクトカッティング業務のスタートに際して、キング関口台スタジオの岩渕慎治社長からは「ダイレクトカッティングには感慨深いものがありまして、一周回ってここに帰ってきたという思いがしております。エンジニアも演奏者も一回勝負、非常に緊張感のあるレコーディングになります。いまダイレクトカッティングができるのは、ロンドンのアビーロードスタジオとここキング関口台スタジオだけだと言われていますので、ここから世界にも発信していきたい」と思いが語られた。

実演デモンストレーションでは、チェロ奏者の辻本玲がバッハ作曲「無伴奏チェロ組曲第1番ト長調」より「第1曲 プレリュード」を演奏した音が、別室にあるカッティングマシンによってラッカー盤に録音され、できたてほやほやのサウンドがその場ですぐに公開された。辻本は「普通のCDはたくさんの素材をつなぎ合わせて作るのですが、今回はダイレクトにレコーディングするということで緊張しました」と感想を述べ、できあがった音を聴いて「いい意味で雑味がたくさん入っていていいなと思いました」と笑顔を見せた。


続いて、再度登場した辻本がバッハ作曲「無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調」より「第1曲 プレリュード」「第4曲 サラバンド」「第7曲 ジーグ」を演奏。その後、ヴァイオリン奏者の米元響子がイザイ作曲「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調」より「第3楽章 亡霊の踊り」「第4楽章 フュリ(復讐の女神).アレグロ・フリオーソ」、ピアノ奏者の上原彩子がチャイコフスキー作曲「バレエ音楽『くるみ割り人形』」より「花のワルツ(編曲・上原彩子)」、オンド・マルトノ奏者の大矢素子がラヴェル作曲「亡き王女のためのパヴァーヌ(編曲・大矢素子)を演奏し、それぞれの演奏家の音がダイレクトカッティングされた。

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