【インタビュー】SHACHI、キュートなルックスとリリックへの共感の輪が広がっている注目の女性ラッパー

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独特の甘さと軽やかさが共存する声を武器に、国内外でその名を広めつつある女性ラッパーSHACHI。昨年発表した初のMV「Turn Up The Music」も180万回に届く勢いで再生されていて、そのキュートなルックスはもちろんだが、それ以上に自身の経験から紡ぎ出されているというリリックへの共感の輪が広がっているのではないだろうか。そんな今注目のアーティストSHACHIが、今年7月に放送されたテレビ朝日のスペシャルドラマ「ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ」の主題歌「One Day」を含むDigital EP『alone』をリリース。サウンドプロデューサーSAMEとの制作や自身のこれまでなど、多岐に渡る話を聞かせてくれた。

■伝えたい気持ちや自分の思いをしっかり込めています
■音だけじゃなく言葉も受け取ってもらえたら嬉しいな


――全7曲が収録されたDigital EP『alone』が完成しました。これまでは全てシングルという形での配信でしたが、今回このサイズで作品を作ってみていかがでしたか?

SHACHI:どうしたら最初から最後まで聴きやすいものになるのかを考え、今回はイントロやインタールードを挟んでみたんですが、そういう部分が意外と肝になってくるんだなと感じました。また自分が他の人の作品を聴く上でも、これはこういう気持ちで作ったのかな?とか、聴き方が変わってきたというか。音楽を聴く楽しみが倍増したし、より音楽を作る時間も楽しくなった気がします。

――EPに先駆けて配信された「One Day」と「Tokyo」も、かなり好評だったようですね。

SHACHI:海外のリスナーの方も結構多いんですが、前回の配信から結構間が空いていたので、英語で「まだなのか!?」「いつまで待たせるんだ!」っていうコメントがたくさんあったんですね。そういった方達からも「待っててよかった」とか「おかえり」って言っていただけたし、ワールドワイドを感じられて嬉しかったです。

――SHACHIさん自身、どの曲も確かな手応えを感じていらっしゃるんじゃないでしょうか。

SHACHI:そうですね。私の中では全曲が自信作なので、1作丸々通して聴いて欲しいという気持ちです。でも今回、改めて考えたんですよ。ひとつひとつ真剣に作ったし、どこに出しても恥ずかしくないものになったけど、SHACHIってまだ全然知られていないし、実際聴いてくださっている方も少ないから、どうしたらたくさんの方に届けられるんだろうって。


――なるほど。

SHACHI:一緒に制作をしているSAMEさんと音楽活動を始めた時、何も基盤がない状態でYouTubeに曲を上げたら結構再生されて色んな方に届いたように、きっかけさえあれば広がるんじゃないかなって思うんです。だから今は、誰でも見たり聴いたりできるYouTubeとかサブスクのようなところに自分の曲をそっと置いておくから(笑)、よかったら聴いてください…って思っています。

――去年の夏に公開された初のMV「Turn Up The Music」も、大きなきっかけになりましたしね。

SHACHI:はい。たくさんの方から反響をいただきました。私は喋ることがあまり得意ではなくて、緊張すると何を言ってるかわからなくなってしまうんですが、ひとつひとつの作品には、伝えたい気持ちや自分がどういうことを思っているのかをしっかり込めています。だからこの曲に限らずですが、音を聴くだけじゃなく、言葉も受け取ってもらえたら嬉しいなと思っています。

――今作には収録されていませんが、その「Turn Up The Music」はSHACHIさんの所信表明のような1曲でもありましたね。

SHACHI:私自身、この歌の世界で一度挫折を経験しているんですが、その時に自分を見捨てないでいてくれた仲間たちがいたことがすごく嬉しかったので、絶対に諦めたくない、自分はまだまだ夢を叶えたいんだという気持ちを歌っています。オチサビでは“言葉も生まれも肌の色も関係ない、くだらない事はほっといて音楽を楽しもう”と歌っているんですが、なんだかんだ言って、音楽にも国境があると思うんですね。これは白人の音楽、これは日本の音楽、これはブラックミュージックとか。そういうのを取っ払いたいという気持ちも込めました。私がああいうレゲトンみたいなトラックで、ああいうフロウで、ああいうビートでラップをするって、多分世界から見たらユニークに映るのかもしれないけど、とにかく全部取っ払ってみんなで楽しみたいんです。すごく大きく言えば世界平和というか、みんなでハッピーに行こうよっていう前向きな気持ちがこの曲には込められています。

――心から、音楽の力を信じているんですね。

SHACHI:そうです、そうです。SHACHIは、誰かのためになる曲を作りたいというところから始まったんですよ。私は何かあるたびに音楽にすごく救われてきたから、自分に曲を作るチャンスがあるんだったら、自分の曲で誰かの何かが少しでも変わるといいなと思っているんです。

――ちなみに、先ほど”挫折を経験した”と言われましたが。

SHACHI:ちょっと勘違いをされて、人間関係が上手くいかなくなったりしたことがあって。それでも私のことを信じているよ、ずっと一緒にやりたいよって言ってくれる子達もいて、認めてくれるというか、必要としてくれるってこんなにもありがたいことなのかって思ったんです。自分を必要とされるっていう経験をあまりしたことがなかったので、改めてそんな風に思える関係って大切だと思ったし、絶対に自分からは切らないし手放さないって決めたんです。今のこの世の中、例えばネットの友達とか簡単に切っちゃうような人もたくさんいるけど、自分から関係を断ち切るようなことはしないって。

――みんなそれぞれ違う価値観で生きているんだから、お互いを認め合えれば、切るとか切られるみたいな単語は無くなりそうですよね。
SHACHI:本当に!私もそう思います。

――先ほどお名前が出ましたが、SHACHIさんはSAMEさんというプロデューサーと一緒に制作をされているんですよね。

SHACHI:SAMEさんは子供の時から友達なんですが、すごく意志の強い、自分が決めたことは絶対にやり抜く人です。子供の頃は、音楽を作るなんてふざけて言っているのかなと思っていたけど、気づいたら本当に海外で音楽をやっていた。もともとSAMEさんはラップをしていたんですが、海外でプロデューサーの仕事に目覚めたようで「一緒にやろう」って誘われたんです。ちなみにこのSHACHIという名前は、SAMEさんがサメだから海の生き物でサメよりも強いものがいいなと思って付けました(笑)。シャチって愛くるしい見た目なのに、すごく強い。狩りの仕方ひとつとっても決して弱いものいじめをしないところがかっこいいし、そういう風に自分もなりたいなと思って。


――SHACHIさんは、ラップや、ヒップホップのカルチャーには興味を持っていたんですか?

SHACHI:もともと海外の音楽が好きで、ヒップホップもR&Bもロックもよく聴いていました。ただ自分でやりたいとは思っていなかったから、誘われた時は「できないよ」ってはっきり言いました(笑)。でも全部教えるから任せて欲しいって。結構スパルタでしたけどね(笑)。

――(笑)。

SHACHI:SAMEさんの作る曲、すごく好きなんです。私は歌詞を覚えるのが苦手で、カラオケで1曲丸々歌える日本の曲ってたぶんなくて。海外の曲は好きだけど、恥ずかしくて歌えない(笑)。それなのにSAMEさんの作る曲は初めて聴いた時からすごく好きだったし、耳に残るし、一緒に作っていても楽しいなって思える魅力があるんです。今はSAMEさんがトラックを作っているんですが、一緒に考える時もあります。ドラムの音とかシンセの音とか、素材を選ぶ時は結構意見を聞いてくれるし、私もこういうのがいいとか、どれくらいのリズムがいいとか色々言いますね。

――歌詞に関しては?

SHACHI:一緒にビートを作りながらなんとなくのテーマとかをお互い話して、そこから自分の言いたいこととか全体のテーマみたいなものを書き、どこをフックにするかバースにするかを選んでいきます。で、実際そのバースの部分のラップのリズムはどういう感じにする?みたいな感じで話し合いながら、一緒にマイクで合わせつついい感じに直す作業をしていますね。歌いながら作って録っている感じです。私は全くの初心者でしたが、SAMEさんとやっていくうちにだんだん「これがかっこいい」とか「これはいける」っていうのがわかってきて。少しずつ成長できているかなとは思います。

――たぶん、こうじゃなきゃいけないっていう固定概念が邪魔しないのが良かったんじゃないでしょうか。

SHACHI:そうですね。身の丈にあったことを言おう、くらいなんで(笑)。

――”身の丈”(笑)。

SHACHI:いい車に乗っていたり、可愛い女の子が出てきたり、いわゆるヒップホップ・ドリームを見せてくれるような人達の音楽もすごくいいなと思っているし、そういうシーンもあっていいと思うけど、私みたいなタイプがいてもいんじゃないかなって思うんです(笑)。

――それこそ、「One Day」が主題歌になったドラマ「ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ」みたいなことですよね。かなり誇張されているところもありましたが、例え素人であっても、言いたいことがあって、伝えたい思いがあるからラップという手段を使うっていう。

SHACHI:そうです。技術なんかじゃなくて、気持ちがこもっていれば伝わるんだっていうことでしたからね。私も、右も左も分からないところから始めて、ずっとSAMEさんと2人でただ曲を出してきましたけど、少しずつ色んな人が聴いてくれるようになって、今回人生で初めてメジャー(レーベル)で作品を出すことにもなって。

――思いが伝わったからこそですよね。

SHACHI:一緒に頑張ろうって思える仲間が増えるって、こんなにも心強いものなのかと。すごく嬉しいし、これからもっと先へ進んでいくんだという気持ちを新たにしているような感じです。まだまだですけどね。もっともっと世の中に伝わっていくといいなって。

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