【インタビュー】Chicago Poodle、10周年を語る_第二章「分岐点は2011年。やめていたかもしれなかった」

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■歌は誰でもうたえる
■曲は誰もが書けるわけではない

──その「ODYSSEY」はTVの音楽番組『JAPAN COUNTDOWN』エンディングテーマなどタイアップが5つ、2ndシングル「ナツメロ」、3rdシングル「さよならベイベー」も複数のタイアップがつくなど、デビュー年からいきなり快進撃ですよね?

花沢:「TVで聴いた」とか友達から電話がかかってきたりした頃ですね。

──“いい曲を作る”という使命感に駆られていたと思うのですが、曲の作り方は変わってきましたか?

花沢:ピアノで弾き語ってデタラメ英語を乗せるっていうスタイルは変わっていないですね。変わった点は、インディーズ時代はイントロからAメロ、Bメロって順番に作っていたんですが、この頃はサビから作ったり、Aメロから作ったりしていましたね。サビのメロディだけいくつかストックしたりとか。基本的にはテレコに吹き込んで。

辻本:いまはテレコちゃうやろ?(笑)。

花沢:スマホです(笑)。当時はカセットテープに録音したものをMDに焼いてメンバーに渡した記憶がありますね。

▲山口教仁 (Dr)

──なるほど。MD全盛期にインディーズ時代ですものね。

辻本:当時の花沢からもらったMD、まだ持ってますよ。

花沢:200〜300曲はあったと思います。

──そんなにですか。タイアップ曲だと、番組とかCM側とかのリクエストもあるのではないですか?

花沢:そうですね。ただ気づけばタイアップがついていたので。

山口:「ODYSSEY」とか「ナツメロ」はそうでしたね。

辻本:当時は完成した曲をいろんなところに聴いてもらってタイアップをいただいたパターンが多かったんです。

──インディーズ時代編のインタビューで辻本さんは、「気づけばバンドに加入していた」と話していましたが、Chicago Poodleって“気づけば”パターンが多いですね(一同笑)。

辻本:スタッフのみなさんに感謝しかないですね。タイアップに関して言うと、それまではTVでChicago Poodleの曲が流れる経験をしたことがなかったので、考え方が変わりましたね。ラジオ番組だとワンコーラスは流してくれたりしますけど、TVのスポットだと15秒だったりするので、サビの頭の短い時間でグッと惹きつけなきゃダメなんだな、と思ったり。

山口:限られた尺でどれだけいいものを届けられるか。



辻本:いい曲であり、さらにインパクトもある。たぶん花沢の中でもハードルが一段上がったと思うんですよね。「さよならベイベー」もサビ頭の歌詞を花沢に勝手に変えられましたし(笑)。

花沢:ありましたね。

辻本:最初は“あの日のように”っていうフレーズだったんですけど、レコーディングが終わったら花沢に「タイトルになる言葉が欲しかったから変えたよ」って。聴いてくれる人を意識するようになりましたね。

──では、メジャーデビューして生活はどう変化していきましたか? 例えば、より音楽に集中できる環境になったとか。

花沢:それはありましたね。いつでも制作できる状態で音楽のことだけ考えられる。“いままで以上に曲を作れるなぁ”って。

──ライブをする機会も増えるでしょうし。

花沢:ええ。あと変化としては徐々に歌うことについて考えるようになりました。興味が出てきたというか。

──歌への興味というのはどういう意味で?

花沢:インディーズ時代は自分の中で曲が95%の比率を占めていたんですよ。残りの5%が歌だったんですけど、デビューしてからはどんどん歌の比率が増えていったんですよね。

──そんなにいい声してるのに? ちょっと衝撃発言なんですが(笑)。

花沢:いやいやいや(笑)。歌は正直、いちばん自信がなかったんです。歌は誰でもうたえるものってずっと思っていたんですよ。だけど、曲は誰もが書けるわけではないから、僕ができるのはそっちやなって。

▲『10th Anniversary Best』通常盤

──確かに誰でも歌えますけど、カラオケで歌うのとは違いますからね。

花沢:なので、デビューしてからお客さんがどんどん歌を求めてきてくれたことを感じて、心に変化が生まれました。と同時に歌詞に関しても「こういうことを伝えたい」って2人に言うようになったり。

──それまで歌詞にもあまり意識がいってなかったということですよね。インディーズ時代編インタビューでも「いいメロディ」ということはおっしゃってましたが、それって音符の並びという意味ですか?

花沢:まさにそうです。たとえば、サビひとつとっても“起承転結”のようなドラマを考えるんですよ。

──花沢さんのなかには「いいメロディ」の黄金律のようなものがある?

花沢:はい。ヨナ抜き音階とか……語ろうと思えば、軽く3時間は(笑)。

──すごい。それは改めて別の機会にうかがうとして、「こういうことを伝えたい」という花沢さんからの話を受けて、作詞にも変化が生じましたか?

山口:お客さんの顔を思い浮かべながら書くようになりましたね。「どういう言葉が胸に届くんだろう?」、「共感してもらえるんだろう?」って。以前は言い回しとかスキルに走る傾向があったんです。僕がそのことをより意識するようになったのは地震のあとなんですよ。

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